→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.1.7] ■■■ [歌鑑賞96]胡坐居の神の御手もち ㊄(5-7)-(5-7)-7 天皇幸行吉野宮之時 吉野川之濱 有童女 其形姿美麗 故 婚是童女 而 還坐於宮 後更亦幸行吉野之時 留其童女之所遇 於其處立大御呉床 而 坐其御呉床 彈御琴 令爲儛其孃子 爾因 其孃子之好儛 作御歌 其歌曰 胡坐居の 椅子に御坐されている 神の御手もち 神が御手自ら 弾く琴に 彈かれる琴に 舞する嬢子 (合わせて)舞を舞う女は 常世にもかも 永久に存在して欲しいもの これは、㉑大長谷若健命/雄略天皇の彈御琴により、吉野川之濱の童女に<儛>命じた際の歌だが、<樂>とは呼んでいないようである。📖樂遊歌舞の近さ 琴も歌も高天原とは無縁なようで、歌詠みの元祖たる速須佐之男命が持っていたレガリア【天詔琴】であり、いかにも神のご託宣を伺う用途の神器。市辺之押歯王之の八絃琴や皇后憑いた神を信じないでコト切れた天皇譚はそのままズバリだが、これが大きく変わったことがわかる。 ただ、天皇からすれば、好みの可愛い童女に舞わせ、弾琴することで、神の域に入ることができ、神と交信できるということのようだが、政治的決断が必要な訳でなく、重要祭祀と云う訳でもなさそうだから、実態は芸能だろう。 こうした転機は、⑯天皇から被給御琴の建内宿禰が祝歌片歌雁卵で寿ぎを行った辺りと云えそうだ。その話の直後に、高速船"枯野"を塩に焼き琴を作る話が続くことで、神器であることが強調されているものの。 (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |