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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.1.28 ■■■

芝の意味

芝/菌[茸]については、草篇で取り上げた。
   「耳(茸)と菌類」

そこで、道教話として、"隱芝"四種の極めて長い名称を引用しておいた。

しかし、実は、「卷二 玉格」に道教主流派の芝話が収載されているのである。そこでは、芝の外見的特徴は全く規定されておらず、信仰の世界に没入した時の各芝のイメージと、どのような道教の神に会えるドラッグかということで命名されている。
この箇所、道教体質の優れた解説と言えよう。・・・

句曲山五芝,求之者投金環二雙於石間,勿顧念,必得矣。
第一芝名龍仙,食之為太極仙。
第二芝名參成,食之為太極太夫。
第三芝名燕胎,食之為正一郎中。
第四芝名夜光洞鼻,食之為太清左御史。
第五芝名料玉,食之為三官真御史。


成式が、意図的に、そのように編纂したのは明らか。・・・
《茅君内傳》曰:
 「勾曲山有神芝五種
  第一曰龍仙芝
   似交龍之相負
   服之爲太極仙卿
  第二曰名成芝
   赤色有光扣其枝葉如金石之音折而續之即如故
   服之爲太極大夫
  第三曰燕胎芝
   其色紫形如葵葉燕象如欲飛状光明洞徹
   服一株拜爲太清龍虎仙君
  第四曰名夜光芝
   其色青實正白如李夜視其實如月光照洞一室
   服一株爲太清仙官
  第五曰玉芝
   色白如玉剖
   食拜三官正真御史也」

    [「太平御覽」第九百八十六藥部三 芝下]

そうそう、句曲山とは、(三)茅山@江蘇句容のこと。
第一福地かつ第八洞天とされており、[「洞天記」]道教の最高峰に位置付けられていると言ってよいだろう。

この山だが、道教を宗派として確立させた陶弘景が"山中宰相"として力を奮った地。 [→「釈老の時代」]
"三茅"との名称に変わったのは、儒教的孝道を取り入れるためのようで、茅氏三兄弟が病の親のために薬を採取した場所とされているようだ。茅蒼術のメッカなのである。(《黄庭経》編者 初代太師魏華存在とされているようだ。)
  「題茅山仙台葯院」  唐 劉言史
  擾擾浮生外,華陽一洞春。
  道書金字小,仙圃玉苗新。
  芝草迎飛燕,桃花笑俗人。
  楼台争聳漢,犬亦嫌秦。
  愿得青芽散,長年駐此身。


多種多様な薬がある訳だが、そのなかで高貴で有名なのが"五芝"ということ。神に会えるからである。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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