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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.7.6 ■■■

解夢色々

"一流"臭い、楊元慎[→]、侍従職"補闕"楊子孫[→]、秘書郎韓泉[→]による夢占いの話を書いたが、残りの3例をとりあげよう。

はなはだ難しいもの。・・・

許超夢盜羊入獄,
曰:
 “當得城陽令。”
後封為城陽侯。


かなり強引な解夢である。それが、有名人の元流ということか。

羊の大群でも見たなら吉兆と見るのは、自然な解釈だが、これは正反対。羊を盗んで投獄されれば、常識的には凶だろう。それが大吉とくる。
と、言うことは、両者はお仲間なのだろう。
夢占いに伺った訳ではなく、今日の夢見はどうだらこうだらといった馬鹿話に近いと見た。解夢の著名人たる元は、友が嬉しくなるような見方を提供し、二人でいつも楽しんでいたのでは。

この夢の場合は、流石に難しかったと思うが、盜羊と到陽の音が同じというこじ付け。そして、入獄とは、入城なりと、強引に解釈。
そんなものが当たるとは思っていなかったのに、本当に城陽侯に封ぜられたのでビックリの図。
そこで、それを吹聴し回った次第。

次は、偶然の一致か、虫の知らせのようなものか、解夢を行った当人も考えあぐねるようなお話。・・・

司農卿韋正貫應舉時,嘗至汝州,汝州刺史柳,留署軍事判官。
柳嘗夢有一人呈案,中言欠柴一千七百束。
因訪韋解之,韋曰:
 “柴,薪木也。公將此不久乎?”
月余,柳疾卒。
素貧,韋為部署,米麥帛悉前請於官數月矣,唯官中欠柴一千七百束。
韋披案方省柳前夢。

司農卿[9郷の1つで国家財務担当]の韋正貫は、科挙に応じるため、汝州@河南に到着した。その地の刺史をしている柳凌は、留まって軍事判官の任に当たっていた。
柳凌は、たまたま一人の男の夢を見て、これはどういうことか案じていたところだった。その男は、なんと、一千七百束の柴が失われていると言ったからである。
そこで、さっそく韋正貫に解いてもらおうということで、訪問した。
韋正貫の解答は、
「柴とは薪木のこと。
 貴公は、将に、この先永くは無いと言うことかも。」だった。
一月余り後、柳凌は疾病がもとで亡くなった。
平素、貧困だったので、どうなっているかと、韋正貫が部署を調べてみると、米麥帛については悉く数か月前に官庁に申請済みであった。しかし、一千七百束の柴だけは欠落していた。
それを見て、韋正貫は柳凌がかつて見た夢のことを想い巡らしたのである。


次の解夢は、状況を説明してもらっていれば、少々考えるだけで想像がつくというもの。・・・

威遠軍小將梅伯成,以善占夢,近有優人李伯憐遊州乞錢,得米百斛,及歸,令弟取之,過期不至,晝夢洗白馬,訪伯成占之。
伯成佇思曰:
 “凡人好反語,洗白馬,瀉白米也。
  君所憂或有風水之虞乎?”
數日,弟至,果言渭河中覆舟,一粒無余。

威遠@四川内江の藩鎮で小將だった梅伯成は夢占いが上手。
俳優の李伯憐は州
@甘粛平涼の川辺りに出向いて稼いだ結果、報酬[乞錢]として米百斛を得た。帰るに当たって、弟にこれを取に行かせたのだが、約束の時になっても到来せず。
その頃、李伯憐は昼日中、白馬を洗う夢を見た。そこで、梅伯成を訪れて夢占いをしてもらった。
梅伯成はひとしきり思いに耽り、結果を伝えた。
「あらゆる人は、換喩表現を好むもの。
 白馬を洗うシーンは、
  白米が流れたことを意味していましょう。
 従って、貴殿の憂い事は、
  風水害のことと思われます。」と。
数日後、やっと弟が到着した。
果たして、言われた通り、
 川から渭河に下ったら、そこで船が転覆。
 白米は一粒たりとも残らなかったことが判明。


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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