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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.3 ■■■

紙魚ならぬ壁魚

壁魚とは、シミ[紙魚]/Silverfishである。
銀灰色で白とは言い難いが白魚と呼んだりするようだ。"壁魚色"という言い方もあるから、独特な色調として認識されていたようである。
  「俗言重視」【佛畫】

そんな虫を取り上げている。・・・

【壁魚】,
補闕張周封言,
嘗見壁上白瓜子化為白魚,
因知《列子》言朽瓜為魚之義。


もちろん、棲息場所によって、衣魚とか書蟲とも称されることになる。一般的に大陸で通用するのは"蠹魚"で、木喰い虫を転用しているようだ。
ここでは、あくまでも壁。

工部員外郎の張周封はよく登場するが[→]、ここでは侍従職[補闕]である。

暇な時は、ボリボリと白瓜子に耽っていたのかも知れぬ。もちろん、カボチャの種[南瓜子]をローストしたお茶請けとして。茴香と塩で味をつけてあるのが普通だ。食べ始めると、止められないとかで、とんでもない量を食べる人もいるらしい。
そんなものが、壁面で"白魚"になったのを見たと言うのだが。
食べ過ぎて、そこらじゅう殻だらけになり、ゲンナリしてきて壁を見るとシミがいたということではないかネ。
茶でなく、酒の可能性もあろう。甘い黒瓜子と違って、お摘みにも合うし。

列子を引かれても、ナンダカネ〜だが、その言いブリが面白い。・・・
羊肝化為地皋,馬血之為轉鄰也,人血之為野火也。鷂之為之為布穀,布穀久復為鷂也,之為蛤也,田鼠之為鶉也,朽瓜之為魚也,老韭之為也,老之為也,魚卵之為蟲。 [「列子」卷第一 天瑞篇]

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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