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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.23 ■■■

多骨=カルダモン

カルダモンはシナモンやサフラン同様に高価。その割に、使うシーンに乏しいようで、日本では人気が薄そう。小生は、ホールの種でコーヒーを、というのが好み。スパイス好きという訳ではないのだが。
  「スパイシーな飲みものの試行」[2013.10.16]
ともあれ、そのカルダモンの話が収載されているのだ。[卷十八 廣動植之三 木篇]・・・

【白豆】,
出伽古羅國,呼為多骨。
 形如芭焦,
 葉似杜若,長八九尺,冬夏不雕。
 花淺黄色,
 子作如蒲萄。
  其子初出微青,熟則變白,七月采。

伽古羅国産。現地名は"多骨"。
 全体の形は、芭焦に似ており、
 葉は、杜若/薮茗荷のようで、長さ8〜9尺、
 冬も夏も落葉しない。
 花は、浅黄色で
 実は、葡萄のように房状。
  実ができはじめた時は微かな青色だが
  熟すと白色に変わる。
  採るのは7月。


白豆がカルダモン/Cardamon
比較的小さい実のタイプが小荳蒄/ショウズク/Green cardamanでインド〜マレーシアに多い。
一方、ベンガル〜ネパール〜シッキムに多いのが大振りで長い実の白豆/ビャクズク/Black cardamon。色は褐色だが、完熟前の実を採取乾燥したものは白色だったりする。漂白しているのかも。

さらには、インドネシア産のような実が丸い種/Javanese round cardamonも。

これだけで、なんとなく感じる訳だが、カルダモンと一口に言っても、その類縁種は少なくないのである。

例えば、草果/Tsao-ko cardamonという名称は遍く知られているようで、広西タイプやベトナムタイプがあるようだ。
  「毒消し草果」
ヒマラヤ方面だと香豆らしい。

さて、それでは、成式の考えるカルダモンだが、これは種類としてはBengal cardamonだと思う。
その名前が"To-fu[多骨]"と呼ばれるのは、交易商人がベトナム人だったからで、その音は"Dò Ho"。

今村注では、伽古羅国はマレイ半島東海岸との説を紹介しているが、当たっているのではないか。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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