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オジサンのための料理講座  ↓イラスト (C) SweetRoom

2013.10.16

 

スパイシーな飲みものの試行…

寒い季節の生果実ホットドリンクの1つとして、姫林檎あるいは紅玉なら、シナモンとクローブの使用もありという話をしたころがある。
  → 生果実のホットドリンクは如何 (2010.12.1)
でも、なかなか試そうという気にはならないかも。
拙宅はクローブ/丁子の香りの浅漬けキャベツを食べたりするクチだから、どうということはないが、苦手な方だと手が出ないかも。まあ、なにせ、クローブのティーを平然と飲めるなら、おそらくどんなハーブブレンドでもいけると以前書いたことがある位で、初めてだとすぐに拒否反応がでたりするもの。
  → 素人が教授するハーブ入門[5:ハーブティー] (2009.6.24)

今回は、これにめげず、スパイス利用のお勧めということで、以下の3つを揃えることをお勧めしたい。いずれも、パウダーではないからお間違えなきこと。
 (1) シナモン[スティック(乾燥巻樹皮)] (→ 2008.6.17)
 (2) カルダモン[ホール(乾燥果実)]・・・グリーン
 (3) クローブ/丁子[ホール(乾燥花蕾)]
シナモンパウダーがあるからスティックを買う気がしない方もあるかも知れぬし、カルダモンは比較的高価とくる。どうせ使わずに捨てることになりそうと躊躇しがちだろうが、最近はどちらも少量品が販売されているから、どうというほどの出費にはならない。一度使ってみて、多少でも気に入ればなんとなくなくなくなってしまうのではなかろうか。
ともかく、すぐ側に置いてないと、試す気にならないので、是非ともご決断のほど。

実は、コレ、そろそろ時期的にワインを買い貯めする人が増えるとみての企画。
ほほう特売なら買うかとなり、貯まってしまう訳だが、いざ飲んでみるとどうも今一歩口に合わなかったり。そこで、どうしてもワインが残ってしまう。もちろん、無理に飲めないこともないがそれはいかにも興醒め。
まあ、料理酒に回してもよいのだが、そちらはそちらで結構残っていたりすることがあるもの。
そんな時は、スパイスを入れるのも一興である。
フルーツ味の甘いサングリア系統は安価なワインを飲み易くする方法としてよく知られているが、それと同じように瓶に少し残った赤ワインをスパイシーにして、賞味しようという目論見。

実に簡単である。上記3種類をボトルにつっこんでおくだけ。
量だが、初めての場合は、シナモンスティックをキッチン挟で切って4分の1位と、カルダモンの実1ヶ、クローブ1ヶ、でよかろう。本当はこれでは余りに弱すぎるが、初めての方はこの辺りで。2時間もすれば香りがつく。面倒だから、袋に入れて別容器でなくてもよかろう。ボトルから継ぐときもストレーナー無しでも問題なかろう。

ま、その前に、先ずはミルクティーでお試しあれ。
ミルクに入れて、軽く暖め沸騰しそうになったら茶葉を入れて、吹きこぼれないようしばらく弱火加熱すれば出来上がり。甘いのがお好きなら、そこでグラニュー糖かハチミツでも加えるだけのこと。
シナモン味が強いのが嫌いなら、少なめに。クローブは強目に出るが、相対的にカルダモンは弱目だから、実を割っていれてもよいかも。ただ、こればかりは、ヒトによって感受性は大きく違うので試すしかない。

まあ、所謂、ご存知「Masala chai」モドキである。さらに、生姜、スターアニス/八角(もしくはフェンネル/ウイキョウ、胡椒も入れると本格的なものに仕上がるらしいが、初めてでそこまでするのは止めた方がよかろう。それは敷居が余りに高すぎ。特に、八角は中華味感覚に陥るので、ティーだと違和感が出易い。そうなると、どうしても一緒に胡椒も入れたくなる。だが、その結果スパイシー度が急激に上昇する。コリャきついネとなること必定。
尚、生姜は、単純にジンジャーミルクとした方が落ち着いて飲めるのではなかろうか。

もう一段高いスパイシー度も目指そうとお考えの場合は、そんなこともお考えになった方がよいと思う。ただ、もう一つお買い求めになっておくのは悪くない。
 (4) スターアニス/八角[ホール(乾燥果実)]
上記3種と一緒にミルクに入れる際は、もちろん1ヶだが、それでも結構強烈。従って、ミルクに荒轢黒胡椒をササッと振るのを忘れずに。

ついでながら、ベルギー/オランダ/アルザス地方では12月初旬の聖ニコラスの日に「Speculoos」というビスケットで祝う習慣があるそうだ。このお菓子に入っているスパイスが上記のようなもの。まさに勢揃い状態なのである。
シナモン、クローブ、カルダモンに加えて、胡椒、生姜、ナツメグである。もちろん、スターアニスも入っていておかしくない。
そのお隣のドイツ南西部でも、クリスマスシーズン用のビスケット「Springerle」がある。こちらの特徴はアニスフレーバー。
おそらく、これらがアングロサクソン系の好む「ジンジャークッキー」の原型だろう。もっぱら生姜のシンプルフレーバーを強調した感じがするが、もともとはスパイシービスケットということ。一般的にはシナモンとナツメグ味をきかせたものにジンジャーパウダーを加えたものを指すらしい。
もっとも、日本での人気はフレーバーというよりは、その形状にありそう。「ジンジャーブレッドマン」と呼ぶべきだろう。こちらは、生姜単味に近いのが普通で、はちみつやシロップの独特の甘さを感じさせる菓子に仕上がっていることが多い。

ついでながら、この「ジンジャーブレッド」概念には混乱が見られるので注意した方がよい。
常識的には、スパイス系のパンとしての名称だが、そうなれば当然ながら代表は「パン・デピス/Pain d'épices」。おそらく、アルザス発祥なのだろう。ということで本来の主要スパイスは、スターアニス、シナモン、カルダモン、クローブに加えてナツメグ辺りではなかろうか。

八角が中国から伝わって、これは、アニスを上回る芳香ということで高く評価されたに違いない。
シナモンはエジプトの昔からということで外せない訳である。残りはカトル・エピス/Quatre Epice(4種スパイス)が嬉しい訳だろうが、中身が厳格に決まっているとは思えないから、カルダモン、クローブがまあ定番に近く、あとは胡椒、生姜、といったピリリものと、ナツメグのような好きなものを選ぶということではなかろうか。

何故、こんな話をウダウダ書いているかといえば、おそらくベルギー/オランダ/アルザス地方とは、文化の通り道にある一大拠点だったということを感じて欲しいから。各地からの様々な食文化がスパイスと共に到来して、色々と試したに違いないのである。まさに、交流地だった訳。それが、自分達の独自文化を発展させることにも繋がるのだと思う。日本もそうありたいもの。
その意気を見習って、ここはひとつスパイス文化に触れてみたら如何かと。

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