表紙
目次

📖
■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.10.27 ■■■

Banyan tree

成式が知らない筈はないと思うのだが。
こんな木があるゾとの一文。・・・

木龍樹,
徐之高冢城南有木龍寺,寺有三層磚塔,高丈余。
塔側生一大樹,繞至塔頂,枝幹交。
上平,容十余人坐。
枝杪四向下垂,如百子帳。
莫有識此木者,僧呼為龍木。
梁武曾遣人圖寫焉。

木龍樹の話。
徐之高が高く築いた城の南に木龍寺がある。
その寺には、三層からなる煉瓦作りの塔。
高さは1丈余り。
その塔の側らに一本の大きな樹木があり、塔の周りを取り囲んでおり、上は塔頂まで達していた。
しかも、枝や幹が横方向に伸びて交叉状態。
樹木の上部は平で 10人ばかりが座れるスペースができていた。
枝の梢は四方に向かって垂れ下がっていて、
まるで、蒲葵で葺いた禊用仮屋
[百子帳]の如し。
この樹木のことを識る者無し。
僧侶は龍木と呼んでいる。
梁 武帝
[在位:502 549年]は、かつて、人を遣わし
写生図を作らせた。


出典はコレ。・・・
《聘北道里記》云龍寺:寺有三層磚塔,側生一大樹,繞至塔頂,枝干交横,上平容十余人坐,枝杪四向下垂,團團如百子張,経過莫有辨者。梁武帝曽遣人圖冩樹形,還都,大体屈盤似龍,因呼為龍寺。
  [段公路:「北戸録」卷三 無名花]
(尚、"江コ藻"[509年-565年]:《聘北道記》との記載が巻四にある。「随書」の「北征道里記」のことだろうか。)

ともあれ、この樹木、ヒンズー教聖樹の孟加拉榕/ベンガル菩提樹/Indian banyan treeと見るのが自然。ただ、このお寺が実質的には道観的だったとしたら、渡来樹木であるとは考えられぬから、細葉榕/ガジュマル/Chinese banyanということになろう。
   「白色乳液を出す聖なる樹木」[2014.9.1]
  [類縁樹一覧]→ 「印度瞑想樹」[2015.7.15]

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>>    トップ頁へ>>>
 (C) 2017 RandDManagement.com