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2003.11.22 |
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デジタル印刷はこれから…「原稿から版組み」までの電子化が急速に進んでいる。→ 進み始めた電子版組み化 しかし、電子化といっても、後段の「原版から紙への印刷」が変わらないと、その意義は半減する。 従来型の仕組みの印刷を続けているなら、コンピュータの電子ファイルをプリント出力し、このイメージをフィルム化し、さらにフィルムから焼き付けて印刷原版を作ることになる。ほとんど手作業の世界である。前段の「原稿から版組み」が電子化され、写植機械操作のプロが不要になっても、後段に入るとほとんど職人芸の連続になってしまう。 しかも、コンピュータ画面とフィルムイメージの間の色校正も微妙なスキルが要求され、簡単ではない。 (コンピュータの色データはRGBだが、印刷の色データはCMYKなので、変換でどうしても色が変わる。) これでは、「原稿から版組み」を電子化しても、インパクトは弱い。 そこで、専門家の作業をカットして、電子ファイルから直接フィルム作成に進む方式(Computer To Film)に進んだ。 1工程が省けるから、資材無しで、労賃も浮く。 しかし、誰が考えても、フィルム化工程自体が、時間と資材の無駄である。そこで、直接印刷原版作成に進む仕組みが90年代後半から急速に浸透し始めた。CTP(Computer To Plate)である。 ここまできて、ようやくフィルム焼き付け専門家が不要になった訳だ。 といっても、デジタルデータ利用のワークフローはまだ未確立状態のようだ。CTPが入って、ようやくこれから動きが始まると考えてよさそうである。 (Direct Digital Color Proof等はほとんど進んでいないようである。尚、ファイルフォーマットはPostScriptかPDFだが、後者がほぼ標準。CIP4が制定したXMLベースの作業指示標準フォーマットJob Definition Formatに統合されないと、ワークフローは完成しない。) (http://www.jfpi.or.jp/public/houkoku/h14_2.pdf) さらに、コンピュータ技術の進歩で、印刷機の能力も上がるた。職人芸だったインク量/濃度の調整スキルも不要になり始めており、素人が印刷できる状況が実現できつつある。 ここまで技術が発展したのだから、DTP/CTPが一気に進みそうなものだが、業界全体の実情からいえば、まだまだ旧態依然たる状況と見た方がよさそうだ。 仕組み全体を変えるには、大規模投資が必要になる。企業にとっては浮沈をかけた決断である。零細業者では、簡単に進むことなどできないのである。 さらには、その先の技術が現われ始めている点も決断を遅らせる要因になっている。 (電算写植の高額な投資で懲りているせいもあろう。) 印刷機をデジタルコピーマシーン形式にした完全デジタル化システムがすでに商用化されているからだ。こちらは版を作る必要さえ無い。オンデマンド(Print On Demand)出版だ。 すでに、この仕組みは、少部数の印刷市場では普及が始まっている。 PDFファイルでインターネット公開する書類のようなものは親和性がよいシステムである。このような書類については、IPベースの印刷デジタルネットワーク化まで進んでいく可能性がある。 しかしながら、現行技術ではメジャーの地位を脅かすほどではない。ハードカバーにするための「折」が上手くいかないし、写真の印刷精度もようやく追いついてきた程度だからだ。 印刷業界の電子化の進展はまだ時間がかかりそうである。 しかし、待ったなしであることは間違いない。前段がデジタル化すれば、安価な海外印刷もメリットが生まれるからだ。国内で生き残るためには、全デジタルで高品質短納期化を実現するしかないからである。 メディア業界の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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