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2009.10.29 |
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雑感: TVはどうなるのだろう…〜 家電展示会の中心は未だにテレビである。 〜2009年10月、幕張メッセで「CEATEC JAPAN 2009」が開催された。登録来場者は15万人で、対前年比24%減。(1)出典社数も3割近く少ないようだ。 見に行った訳ではないから、盛り上がり状況はよくわからないが、立体テレビが今年の華だったようである。(2) もう一つあげるとすれば、高性能半導体“Cell”を搭載したテレビか。“Cell”で一体何を実現するのか、固唾をのんで見られていたが、ついにお披露目ということ。こちらは、立体テレビと違い、実モデル。細かい仕様が決められ、近々100万円程度で上市されるらしい。 どちらにしても、テレビの将来を考えさせられる製品であるのは間違いなさそうだ。 〜 どこまでも画質向上なのだろうか。 〜 高性能半導体“Cell”だが、218GFLOPSだという。思いもよらぬ、超高処理能力だ。これを用いて、3つの機能を高めたようだ。(3) 【高画質化】ノイズを消し、低解像度映像を美しくみせる機能を搭載。将来的には、4,096x2,048あるいは3,840x2,150画素のデスプレーに対応するとのこと。ついでに、音声処理も高度化している。 【多チャンネル同時録画】相当な負荷だと思うが、8チャンネル全録のタイムシフトが可能。どうやって検索するのかわからぬが、膨大な録画量である。 【ネットワーク】詳細は不明だが、ブラウザ搭載とのこ。 そこまで追求するのか、といった感じがするが、これが日本の家電体質なのだろう。 液晶の美しさは日進月歩だし。 画像処理用半導体の威力もすごい。フルハイビジョンのデイスプレー(1,920x1.080)に従来放送(720x480)や地デジ(1,440x1080)の映像を映せば画像は荒れるものだが、それを画像処理で綺麗に写るようにした上、映像内容に合わせて画質まで調整できるようにした。(4) この辺りでよいのではと思うが、そこでとまらないらしい。 NHK体質というか、超高精細だけでなく、色覚学的に美麗な画面を目指し、ひたすら追求すべしということ。 〜 美しい大画面が嬉しいのは確かだが。 〜 確かに美しい大型画面は素晴らしい。拙宅では、テレビの最重要用途である。と言うのは、オペラを大きな画面で見たいから。画質で、たしかに楽しみの質も変わる。 しかし、それが万人の要求かといえば疑問ではある。 オペラ放送がなかったら、おそらくBSデジタルを見ようとは思わなかったろう。メトロポリタン・オペラ[MET]の特集放送だけでも(5)十分価値があると感じている位だ。 Franco Zeffirelli演出の手抜き無しの舞台で、世界の第一線で活躍するメンバーを揃え、Renee Flemingの案内という豪華版など、滅多に見られるものではない。 → 「入場料\4,000の映画館の話」 (2007.2.28) どの程度すごいのかといえば、児童合唱の完成度で歴然。一つの出し物のために、週1回2年間も練習を積み重ねてきたという。動物さえも、徹底的に仕込まれるプロ。変化を躊躇しない米国だが、ことオペラは実にオーソドックス。まあ、こんなことができるのはMET位しかなくなってしまったということかも知れぬ。
しかも、世界的にお金がかからない簡素な舞台が流行。それを現代的演出 と呼ぶが、残念ながら、小生はこれに慣れることができない。 MET以外にも、欧州の有名劇場や国内公演も放送されるが、気のおけない出し物も結構楽しいものである。質は今一歩のこともあるが、それはそれ、夏のバカンス用だろうし。 → 「BS Classic Navigation」 (C) NHK こんな話をしているのは、拙宅の場合、超高精細画面に魅力を感じるのはオペラ番組だけだから。 しかも、オペラ好きなど、クラシック音楽好きの、そのまた一部で、僅かな人数。似たようなニーズもあろうが、全てを合わせても少数派だろう。 多数派の様々な番組を見る人達にとって、超高精細画面が本当に嬉しいものなのだろうか。大いに気になるところだ。 〜 BS放送とはなんなのだろう。 〜
しかし、誰かが放送費用を負担しているのである。そんな歪んだことを何時まで続けるつもりなのだろうか。 そう強く思うのは、実は、BS(1920x1080)でなく、地デジ(1,440x1080)の教育3チャンネルでもオペラは流されているから。同じオペラだが、こちらの番組は全く別モノ。こちらは、まともな紹介サイトは無いようだし、当然ながら、上記リンクの「BS Classic Navigation」には一言も触れられていない。実に面白いコンセプトである。 NHKに限らず、このBS放送というのは不可思議そのもの。右表に、ある時間帯の全番組を載せてみた。(有料放送は割愛)通販だらけだ。しかも、呆れることに、3チャンネルを占有しての放送。内容からいって、1チャンネルで十分。とんでもない無駄である。聞くところによれば、どのチャンネルも再放送だらけだという。それに、地デジがあるのだから、BSに同じような定時のニュースなど不要。だいたい、NHKにしても、同じ番組を複数チャンネル放送しており、無駄以外のなにものでもない。番組作成費用が足りず、埋め草に使う位なら、その時間はブラックアウトすべきだ。ガラガラになれば、不要ということがわかってよい。 NHKも民放も、BS事業が重荷なら精算したらよいだけのこと。事業家達に格安でチャンネルを譲渡して、産業を勃興させてもらうのが一番。 そもそも、違法性が疑われかねないカード挿入システムを導入し、ペイテレビ化を狙ったのだから、早くその方向に進めるべきだ。 もともと、TVとは、興行モノを家庭に入れただけのもの。「力道山」や「大相撲」を見たいとか、「歌謡ショー」をウリにして育ててきた世界。政治に関心がある読者を中心に発展してきた新聞とは発祥が違う。有料の演劇や見世物、映画で商売できるようにするのが筋だ。無料の教育放送は1つのチャンネルがあれば十分。 テレビは、庶民向けの娯楽産業とはっきりと言い切った方がよい。中途半端な公正な報道機関などというコンセプトをひきずっていると、出鱈目なエンタテインメントニュースが増えるだけ。それなら、そういうものとはっきりさせたらよい。 日本のテレビ事業の実態は、放送設備産業でしかないし、新聞も巨大印刷工場と物流網を抱えるビジネス。一緒になってメディア王国構築をしたいなら、事業構造の抜本的変革に手をつけるしかなかろう。 ともかく、NHKが訳のわからぬチャンネル編成をやめることだ。6つもチャンネルがあり、それを手離したくないなら、地デジは、ニュース・ドキュメンタリー、教育、その他の3チャンネルとするとかして、番組内容を完全分離し、BSは視聴者が限られるようなものを、分けて流させるべきだ。それが無理なら、チャンネルを減らすしかない。同じ番組を、他チャンネルでも流させるのを黙認するなどどうかしている。 早く手をつけるべきだろう。 〜 日本のテレビは儲かるビジネスでは。 〜 間違っている人が多いが、日本ではテレビ放送自体は斜陽とは言いがたい。視聴時間で見る限り、減少しているといっても、十分長いからだ。 それに、子供に、テレビを見るように、家庭で指導されていると考えても間違いではなさそうだし。「世界一テレビ漬。」(6)なのだから。 [“日本の中学生は1日平均2.5時間テレビを視聴。世界49カ国の中で最長でした。”] 当然ながら、広告費は減ったといっても、高止まり。テレビの広告効果が今もって高いと、ビジネスマンが考えていることがわかる数字である。 拙宅の場合、テレビがなくても、通常はなんの問題もない。例外的に見たりする番組もあるが、これが見れなくなったところでどうということもない。ただ、緊急時に報道番組を見るためには必要ではあるといったところ。 もっとも、世間の状況を知るためにチラチラと番組を眺め渡すことはある。番組内容はつまらないので数分と持たないが、広告は、世間の状況がわかり面白い。終わりまで見てしまう。しかし、そんな視聴スタイルの家庭は滅多にあるまい。 皆と同じような番組を見ていないと、周囲と話題を合わせることができないからである。対応できないと、最悪の場合、村八分状態に陥る可能性さえあるのが実情。テレビで情報を集めておく作業を怠る訳にはいかないのだ。 小中学生が「世界一テレビ漬。」になっているのは、致し方ない。 その結果、何かを「しながら」テレビ視聴ができるようになるのである。見もしない、テレビ放送が流れていても気にならないどころか、その方が安心感さえ覚える人が多数派となるのは当然の結果だ。これが日本社会の現実である おそらく、チャンネルをしょっちゅう変え続け、時間が許す限り「ながら」視聴し、好みの番組に入れ込む人達が、日本のリードユーザーである。 この状況を考えると、「8チャンネル全録のタイムシフト」という怪物テレビが欲しくなる人は大勢いる可能性はある。 ただ、操作は大変そうだから、機械が売れるとは限らないが。 マニュアルを読んでもさっぱり訳のわからぬハイテク機器だらけの産業なのだから。 〜 機械にどこまでお金を払うの だろう。 〜 しつこいが、小生にとってはテレビは重要なものではない。しかし、大画面でオペラを楽しみたいので、それに合うような廉価な製品を慎重に購入することになる。 しかし、普通の家庭にとっては、述べてきたように、テレビ視聴は社会生活上、極めて重要。それは放送内容の問題ではない。従って、最新のテレビが欲しくなるのが普通かも。補助金が出たので薄型大画面テレビの売れ行きが好調なのは当然かも。 ちなみに、拙宅最初に購入したBSデジタル機器は、大幅値引きのデジタル録画機器。今でも使っているが、現在売っている廉価品と同じような価格。さっぱり価格は下がっていないのである この機器に、50インチスクリーンとプロジェクター(1024x768)、および\10,000のアップコンバーター(1280x1024)をつけた。インチ当たりで見れば、3,000円程度。音は、既存オーディオセットで流している。 ついでながら、ニュースを見る時は、液晶ディスプレー。最初は19インチ(1280x1024)だったが、最近、27インチ(1920x1080)に変えた。インチ当たりで見れば、850円、1,700円といったところ。大量生産品だが、この程度なら廉価と考えたから。27インチは、HDMI端子もあるし、映像エンジンが搭載されており、十分美しい。購入したのは、とある量販店だが、普通はこんな価格の液晶ディスプレーは絶対に並ばない。日本は高価なものしか売れないのか、そんなものが売れるとこまるからかはわからないが。不思議な市場である。 おわかりになるだろうか、ずっと、テレビを購入してこなかったのである。 しかし、フルハイビジョン(1920x1080)対応機器が登場した時には、拙宅もついに購入することとした。プロジェクションTVの50インチクラス。フルハイビジョン対応のDVDプレーヤーも購入した。プレーヤーだけなら安い。 購入したのは、相当前だが、インチ当たり価格では、今もって、量販店の液晶テレビの補助金価格が追いついてきたという状態だ。ご存知の通り、プロジェクションTVは並んでいない。 市場の状況がよくわかる。どうせ買うなら、高いものにしたい人が多い社会なのである。拙宅が廉価品になる最大の理由は、海外の価格を見ているから。日本仕様だから高価という類の製品などまっぴら御免と考えていれば、そうならざるを得ない。 〜 日本に立体テレビの時代がくるだろうか。 〜 ただ、高価なものがお好きな人が多いといっても、立体テレビの時代がくるものかな。大いなる疑問。 ハリウッドの視点から見れば、これしかなかろうというだけではないか。昔の映画を電子処理してブルーレイに落として、産業大発展という位しか道はないと考えるのはよくわかる。 実際、3Dシアターは、米国では流行っているようだし。チャンスはありそうにも思う。ただ、米国のシアターとは、一種のイベント産業でもある。広大な国ならわからにでもないが、日本とは違うのでは。日本ではシアターの数がまだ50箇所程度で、映画館の数とは比べるような数字でもないが、(7)これが広がるものだろうか。 その状態で、家庭普及は簡単ではなかろう。偏向ガラス入りの眼鏡をかけなければ見れなくて、煩わしいしことおびただしいし。 だらだらと雑感を書き綴ってきたが長くなったので、ここまでとしよう。尻切れトンボで失礼。 --- 参照 --- (1) 「CEATEC JAPAN 2009 終了のご報告」CEATEC JAPAN 実施協議会 [2009年10月10日] http://www.ceatec.com/2009/ja/news/infolist_detail.html?info_no=00056 (2) 芹澤隆徳: “CEATEC JAPAN 2009: フルハイビジョン3Dテレビの最新事情” ITmedia [2009年10月07日] http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0910/07/news029.html (3) 芹澤隆徳: “CEATEC JAPAN 2009: 圧倒的な“頭脳”で何をする? 「Cell REGZA」詳報” ITmedia [2009年10月06日] http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0910/06/news015.html “200GFLOPSの液晶テレビ「CELL REGZA」” ITmedia [2009年10月05日] http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/05/news067.html (4) 「新「メタブレイン・プロ」にみる画質アプローチの変化」 ITmedia [2006年08月24日] http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0608/24/news029.html (5) 「華麗なるメトロポリタン・オペラ」NHK 2008年,2009年 http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/soukyoku/2008/09/008.pdfbr> http://www.nhk.or.jp/bsclassic/special/met_200910.html (6) 「今月のドア上ポスター 2009年[5月]」 栄光ゼミナール http://www.eikoh-seminar.com/event/ad/2009.html#ad_200905 (7) デジタル3-Dシネマ ワーナー・マイカル・シネマズ http://www.warnermycal.com/3d/pc/ UDX Theater [@秋葉原] http://www.udx.jp/theater/ マジックランプシアター 東京ディズニーシー http://www.dreamagic.jp/tds/attraction/mlt.html ミクロアドベンチャー! 東京ディズニーランド http://www.dreamagic.jp/tdl/attraction/mcr.html (図の出典) 「平成20年度の一般放送事業者及び有線テレビジョン放送事業者の収支状況[別紙]」 総務省 [2009.9.9] http://www.soumu.go.jp/main_content/000037447.pdf (同上のデータの出典) 「2008年(平成20年)日本の広告費」 電通 http://www.dentsu.co.jp/marketing/adex/adex2008/index.html メディア業界の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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