■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2013.12.22 ■■■

     孔子廟の木

カイノキと言われると、思わず、街路樹で見かける豆が実る「槐の木」こと、エンジュの話かと思ってしまうが、楷書のカイノキである。
  → 「出世記念の木 [エンジュ]」 (2013.7.26)

湯島聖堂に植わる「楷樹」は、孔子の墓所である山東省曲阜に生えている木の正子だという。大正四年に、林試の森で種から育てた苗木を移植したものが育った訳である。
もちろん、栃木県の足利学校、岡山県の閑谷学校、佐賀県の多久聖廟にも。

それにしても、もっと早く渡来していてもおかしくないと思われるが、どういうことなのだろうか。墓所の木は縁起が悪いということでもなかろうに。
それに、中国では珍しい木という訳ではなさそうだし。
  蜀楷木,蜀中有木類柞,木栄時枯口卉,隆冬方萌芽布陰,蜀人呼為楷木。
   [酉陽雑俎 続集巻十・支植下]

中国語圏では、山東辺りだと楷木と呼ぶこともあるようだが、もっぱら黄連木のようだ。硬い材質なので、彫刻材に向くらしい。その木肌の色が黄褐色だから、こんな命名になっているということかナ。
尚、若芽を茶として利用する地域では黄連茶で通じるとか。香りを愉しむのだろうが、日本で売っているのを見かけたことがないから、結構抹香臭かったりする可能性も。
別名としては、爛心木や孔樹。後者はわかるが、前者はなんか凄いネ。

長寿な樹木なので、大木に育つから、そこここに植えられていておかしくないのだが、日本では珍しい樹木とされている。しかし、教育機関では銘板付きで植えられていたりするので、目立たないだけで、それなりに広がっているのかも。おそらく、雌雄があるため、採種が難しく、簡単に増やせないだけのことだろう。
植物学上は、漆の木の仲間とされているが、葉の形状以外、日本のウルシ系樹木に似ているとは言い難い。学名がピスタチア・シモンシス・ブンゲとなっているから、食用実で知られるピスタチオの類縁と考えた方がイメージに合っていそう。

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