■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2014.2.10 ■■■

     気根が不気味な木

ラクウショウと言われても、ソリャどこの言葉かとなるが、「落羽松」という文字を見て、ホホーとなる。
しかし、どう言う意味なのかさっぱりわからないし、何故に松をマツと呼ばぬのかという素朴な疑問が湧く。
ところが、「沼杉」という名称も使われるという。葉は松というより杉のイメージに近いから、その方がよさそう。それに、生えている場所がもっぱら北米ガルフの湿潤地。まさにピッタリ。それに、マツ目スギ科の植物だし。
しかし、木を眺めると、ラクウショウで結構となる。
と言うのは、「沼杉」で、我々が思い描くイメージとは、実物が違い過ぎるからである。マツと訓で呼ばずに、ショウと音で呼ぶのもむべなるかな。見た瞬間、これは異国の植物だとわかるからだ。

なにが特徴かと言えば、かなりの高木であるというだけでなく、地中の根の一部が地上に這い出すというか、垂直の棒状の根がとび出してくる点。
いかにも異様。
気根だそうだが。
イチョウにも瘤のような気根があるせいもあり、なんとなく、古代的な息吹を感じる植物である。イチョウは乳房とか呼ばれるのでそう気にならぬが、こちらは不気味。古代人は畏怖感を抱いたのではないか。
(そうそう、「落羽」だが、落葉の様を指しているのだそうだ。)

この手の植物は一度は見ておいた方がよかろう。
東京なら、新宿御苑を推奨しよう。ここは、お花見や、広い芝生での一休みが人気だが、ラクウショウを眺めるのも乙なもの。
皆さん新宿門から入ると芝生・桜方面に直行するが、反対方向の西に向かって歩けばすぐ。一寸立ち寄るだけでよいのである。。ただ、この辺りは、母と子の森なる名称がついており、子供向けのイベント会場的に映ることもあり、オジサン族はどうしても躊躇してしまうが。
今のように門前道路ができる前は、都立新宿高校(小生は卒業生ではないので、念のため。)側の壊れた塀からこの森に入れる状態だったが、そこには、鬱蒼感が満ち溢れていた記憶がある。今や、整備され過ぎの感じもあり、面白味を欠くが、まあ、そうでもしないと人々に荒らされてしまうから致し方ないが。

おそらく、この辺りは、渡来樹導入拠点としての御苑となった際、一番早くに植樹した場所だろう。その木々がそのまま生き延びて大木になったのだと思う。
その頃、プロモーターとして大いに推奨した樹木は、今でも苑内に巨木が残っているところからみて、次の3種ではなかろうか。
 (1) プラタナス [鈴掛の木]
   ・・・東の外れ、開かずの正門前の立派な並木
 (2) ヒマラヤシーダー [ヒマラヤ杉]
   ・・・至るところで巨樹化
 (3) ユリノキ [百合の木] [→2013.8.14]
   ・・・ところどころ目立つ場所で巨木
これらに次ぐのが次の2種か。
 (4) メタセコイヤ [曙杉]
 (5) ラクウショウ [落羽松 or 沼杉]
メタセコイヤは「生きた化石」と呼ばれているし、ラクウショウの同類化石も発見されているそうだ。そうなると、両者ともに、長期的には、日本の環境への適合性が低い可能性もありそう。

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