表紙 目次 | ■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2015.7.22 ■■■ 桃文字類 桃のお話第二弾。今回は文字話。 → 「夏の薬葉浴に使う木」[2013.7.15] 桃は大きな実が沢山つくので、木偏に旁として兆にしたという説もありそう。 日本語は百をモモと呼ぶからという訳ではないが、数としては100辺りが妥当だろうが、どういう訳か栢は柏を表す。杄も杉系の木らしいし、杤も栃である。しかし、兆はいくらなんでも。 それなら、子沢山ということで、杍はどうかという気がするが、李と混同されてこまるか。もっとも、これは酸桃だが。 まあ、精霊が四方に気を発しながら歩き回るイメージの文字と見なすというのが素人としてはピッタリくる。 桃=木 + 儿 +丶x 4 古事記に、霊力ある果実として登場するにもかかわらず、桃の節句として残ってはいるものの、さほど重視されていない感じがする。(吉田神社では殿上人が桃弓で葦矢を放つ鬼逐/モオフ儀式が残ってはいるものの。)桜や梅ほどの人気が得られないのがなんとも不思議である。 大陸では、桃と言えば、西王母や桃源郷感覚が湧くのだろうが、日本でと仏教の浄土観と齟齬を来たしかねないから、お気に召さなかったのだろうか。 文字的には、海人にとっての女神イメージが湧かないと面白くないだろうから、1番は桜で、2番が梅ということになろうか。 櫻=木 + 嬰 (賏 + 女) 梅=木 + 毎 (母 +丶+ −) この3種は、同類であるとされるが、素人でも花を側で観察すれば、大いなる違いがわかる。 「櫻>桃>梅」ということで、・・・。 【花の柄の長さ】 長い>短い>無い 【花弁の形】 先割れ>先尖り>丸っぽい 【花芽の数】 多い(房状)>少な目(対状)>疎ら(孤立) “モモ”の名を持つ植物多しとのことなので、調べてみると確かに「○桃」だらけだ。ネクタリン、スモモ、プルーン、アンズ、サクランボ、ヤマモモ辺りは、花が同類だし実が食べられるからわかるし、桃仁に似た種を食べるクルミやアーモンドもまあ悪くない言い方。しかし、それ以外はどうにも合点がいかぬ。 特に苺的な果実で花も大いに違うのに桃とはコレイカニである。 「桃」とつけると、長寿実現植物的イメージが湧いてくるから、そんな名前で売り出して、商業的大成功をおさめた人がいたということか。 ▼ 本家の桃系 ● 桃[モモ] or "水蜜桃"・・・毛々[モモ]としたいが。 白桃,黄桃,佛桃/肥城桃, etc. はしきやし我家の毛桃本茂く花のみ咲きてならずあらめやも 寄木 [万葉集#1358] ● 椿桃[ネクタリン] or "油桃"・・・無毛実 ● 扁桃[アーモンド] or "蟠桃"・・・円盤実 ● 花桃[ハナモモ] or "碧桃" 寿星桃[ジュセイトウ]・・・矮性 ○ 「壽桃」 or 桃饅頭 ▼ 梅[ウメ]系 ● 酸桃 or 李[スモモ] 吾が園の李の花か庭に散るはだれのいまだ残りたるかも 三月一日之暮眺矚春苑桃李花 大伴家持 [万葉集#4140] ● 西洋酸桃[プルーン] ● 唐桃 or 杏[アンズ/アプリコット]・・・甘酢梅 ▼ 桜[サクラ]系 ● 桜桃[オウトウ] or 西洋実桜 ▼ 庭梅[ニワウメ]系 ● 英桃 or 梅桃[ユスラウメ]・・・生薬は「山桜桃」 ▼楊梅系 ● 山桃[ヤマモモ]・・・多分、「楊梅[yanme]桃」 ▼ 生姜[ショウガ]系 ● 月桃[ゲットウ] or 砂仁 ▼ 夾竹桃系 ● 夾竹桃[キョウチクトウ]・・・桃花に似ていると言うが。 ▼ 弟切草系 ● 金糸桃 or 美容柳[ビヨウヤナギ]・・・白楽天は未央。 ▼ 酢之木系 ● 苔桃[コケモモ/カウベリー]・・・[Ch.]越橘。苔は岩にすべき。 ● 蔓苔桃[ツルコケモモ/クランベリー]・・・[Ch.]紅苺苔子。 ▼ 胡桃系 ● 胡桃[クルミ] ● 山核桃[ペカン] ▼ 桃金娘系 ● 蒲桃[フトモモ] or 葡桃 ● [Ch.]香桃 or 銀梅花 ▼ 木天蓼 or 夏梅[マタタビ]系 ● 獼猴[ビコウ]桃[キウイフルーツ] ▼ 酢漿草[カタバミ]系 ● 楊桃 or 五歛子[ヨウトウ/ゴレンシ/スターフルーツ ▽ 刺草[イラクサ]系 ○ 羊桃[イラクサ]・・・ガセ? 上記楊桃の当て字では。 ▼ 枇杷擬系 ● [Ch.]第倫桃 or 五椏果・・・Elephant Apple. ▼ 番茄[トマト]系 ● [Ch.古語]狼桃・・・そう言えば、桃太郎番茄がある。 ▼ 赤鉄系 ● [Ch.]仙桃 or 蛋黄果[エッグフルーツ/カニステル]・・・金捨てる。 ▼ 蘭系 ● [Ch.]石仙桃[ホリドータ] 「日本の樹木」出鱈目解説−INDEX >>> HOME>>> (C) 2014 RandDManagement.com |