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2003.12.10
 
 


***イラクに関する政策論議が盛んだが、大きな流れを見て対応を考える必要があろう。その場しのぎや、情緒的対応だけは避けて欲しい。***

戦争の時代 2:資源争奪戦…

 イラク戦争とは、米国のエネルギー安全保障政策の一環にすぎないのかもしれない。
  → 1:米国の方針
 もしそうなら、米国の今後のイラク政策で、世界全体の流れが決まるかもしれない。

 エネルギー安全保障とは、裏返せば、原油といった一次産品取引もグローバルな自由貿易の枠組み内に入れろ、という方針に他ならない。一次産品を自由取引の世界に組み込み、安価かつ安定的に調達できる体制を敷こうという考え方だ。
 知恵で競争するグローバル経済を実現するためには、資源所有者にヘゲモニーをとられてはならないのである。
 そして、エネルギー以外の鉱物資源は、ほぼその通りになってきたといえる。問題は、原油もそうさせることができるかだ。

 米国によるイラク原油管理が成功すれば、グローバル化は加速され、エネルギーも安価になろう。一方失敗すれば、グローバル化は頓挫しかねない。
 米国がグローバル化政策を放棄し、保護主義に移行する可能性さえある。
 そもそも、欧州の中核国が反米=反グローバルリズムの流れを作っているから、経済のブロック化の素地ができている。米国が下手に動けば、一気に世界が保護主義に陥りかねないのである。
 そうなると、各国はどの経済ブロックに入るかという話になりかねない。そして、経済ブロック間の争奪戦になるのがエネルギー資源である。

 言うまでもなく、争奪戦の焦点は膨大な埋蔵量があるペルシャ湾とカスピ海になる。従って、イラク戦争の解決に失敗すれば、この全域で火を吹きかねない。テロリストは、これを狙って戦略的に動いていると見ることもできる。

 ペルシャ湾の所有権は曖昧である。米国の軍事力がどうにか紛争を抑えている状態と言える。これが崩れれば、世界経済はガタガタになる。

 そして、カスピ海は、ペルシャ湾以上に危うい世界だ。

 沿岸国はロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、イラン、アゼルバイジャンの5ヶ国だが、埋蔵域の帰属ははっきりしていない。
 漁業権交渉では、沿岸以外は、共同管理とすることで決着していたが、それが地中資源に及ぶ根拠はない。というより、湖水と見なせば、そのような計らいもありえるが、内海なら隣国分割が原則である。南と北に位置するイランとロシアは資源の権利を失ってしまう。
 当然ながら、ロシアとイランは湖水派であり、内海派と対立する。資源の争いであるから、どの国も必死である。理屈で解決がつくことなどあり得ない。力の世界だ。
 そのため、力が弱い内海派は米国に支援を仰ぐことになる。ロシア/イランは米国と対峙することになる。

 こうした対立が内乱を引き起こす。


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