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2003.12.29
 
 


カドミウム米規制への無理な抵抗…

コーデックス委員会のステップ
Step 1 規格作成を決定し
作業を担当部会に割り当て
Step 2 事務局が規格原案を作成
Step 3 規格原案について
各国政府及び国際機関に
コメントの提出を要請
Step 4 事務局は受領した各国コメントを
担当部会に送付し
担当部会が
規格原案の改正を検討
Step 5 規格原案を
コーデックス委員会/執行委員会が
規格案として採択
Step 6 規格案について
各国政府及び国際機関に
コメントの提出を要請
Step 7 担当部会が規格案の改正を検討
Step 8 コーデックス委員会が
規格案を検討し
国際食品規格として採択
 2004年、コーデックス委員会のCCFAC(食品添加物汚染物質部会)で、米のカドミウム含有量規制の議論が本格化する。
 これに対して、2003年12月、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会が日本は米のカドミウム規制値を0.4ppmで主張することに決めた。
  (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/12/h1209-1.html)

 1998年に作成されたデンマーク案(0.2ppm)に対して、日本政府は必死の抵抗を続けている。
 主要国(米国、カナダ、仏、西、伊、等)が欠席していた第35回CCFAC(2003年3月タンザニアで開催)で、「日本が東アジア地域の主要な食品である米と大豆の基準値については、暴露評価の結果に基づいて基準値を検討すべきと提案し、議論の結果、米、大豆、落花生の基準値原案をステップ3に戻すことを決定」させた。
 「ステップ5としてコーデックス総会で採択するよう勧告する」ことを防いだのである。
  (http://www.maff.go.jp/cd/html/B24.htm)

 2003年7月の第26回CODEX ALIMENTARIUS COMMISSIONで行った日本の主張を見ると、基準値案はJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会合)のリスク評価に基づけ、というものだ。しかし、これは暫定的設定値でしかない。換言すれば、第61回JECFAのリスク評価を待てという訳だ。健康リスクが見えている場合、普通は急いで規制を作成するものだが、日本政府は逆の「引き延ばし」姿勢をみせた訳である。
  (http://www.fao.org/DOCREP/MEETING/006/y9574e.htm#P22_836)

 もともと、日本は至るところで鉱山開発をしていたから、カドミウムの土壌濃度は高い。高濃度の米が生産されている地域が多いのは間違いないのである。日本では1割以上の地域で作られた米が、0.1ppmを越すのではないか、と語る人がいる位だ。
 実際、網羅的調査でないが、2003年の国内産米調査結果は酷い状況である。2002年に引き続き、食品衛生法の基準(1ppm未満)を越えた米が見つかっている。0.4ppm以上は、食糧庁が買入れ、非食用に処理しているのだが、こちらも30箇所にのぼる。
 (http://www.syokuryo.maff.go.jp/archives/data/pure11.htm)

 従って、リスクの高い地域で、しっかりとした疫学調査を行えば、健康に対して甚大な影響を与えている結果がでかねない。にもかかわらず、行政は知らん顔である。

 これは小さな問題ではないのだ。
 1日摂取量30μgを越えると腎障害が1%発生するとの主張も耳にするようになったからだ。毎日高濃度米を食べれば、この摂取量を軽く越えてしまう。
 人口の1割がこの状態だとしたら、12万人もの腎障害患者が発生しかねない訳だ。1%だから目立たないが、集めれば、とてつもない数字になる。

 こうした状況を考えると、日本政府の規制値緩和主張「0.2ppm→0.4ppm」に説得性は薄い。「0.2ppm→0.1ppm」にすべきとの主張の方が正当に聞こえる位だ。
 発展途上国でもないのに、日本政府は、いつまで、このような姿勢を続けるつもりなのだろうか。
参考 →  「自滅の道を歩む日本の農民」  (2002年12月16日)


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