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2004.9.27



人権擁護の戦い…

 2004年9月24日、突然「愛子内親王殿下ご近況」が公開された。(1)

 見ただけで、私的に撮影した映像であることがわかるものも多い。異例なことだという。(2)
 私生活を国民に公開することで、マスコミの風説流布に対抗する意味もあるそうだ。

 人権を守るために、私生活を公開せざるを得ない、というのはいかにも矛盾である。
 しかし、それもいたしかたないのが、日本の皇室制度である。

 そもそも、皇族には人権を認めないというのが、日本国憲法の精神である。
 憲法は、「皇族の人格に対する侮辱」を容認したのである。
  → 「人権無視の憲法」 (2004年4月17日)

 しかし、そのように考えている人は、ほとんどいないようだ。

 「・・・キャリアや、そのことに基づいた・・・人格を否定するような動きがあったことも事実です。」(3)とのご発言があったにもかかわらず、何も変わっていないようだ。

 騒動は沈静化したようだから、振り返ってみるよい機会だと思う。

 サンデー毎日によれば(4)、驚くことに、「葬儀や欧州王室の結婚式に短期間、外国に2回行った以外、約8年間、友好・親善の外国訪問をしていなかった」という。
 キャリアを無視したと言うより、キャリアを捨てよ、という圧力そのものである。
 宮内庁は、皇族にはキャリアなど不要、という原則を貫いた訳だ。

 このことがはっきりしているにもかかわらず、この問題を、一般の嫁問題と同一視するマスコミ人がいる。(5)
 しかも、「皇太子さまが敢然として抗議の意思を表明されたのに、少しは希望」と語る。
 皇族に人権を認めていないことを知りながら、このようなコメントを平然と記載する無神経さは驚きを通りこす。

 これは男女差別の問題ではないし、結婚女性の仕事との両立の問題とも関係ないのである。

 マスコミは本質的な問題には触れたくないのである。

 このようなマスコミの姿勢を見ていると、「秋篠宮夫妻にもう一子を期待したい」との長官発言も、どのような背景での言葉か想像がつく。おそらく、秋篠宮家にお子様ができた方がいいか、とのマスコミ側の質問に対して、ついお気軽な返事をしたのだろう。
 マスコミの仕掛けである。

 さらに呆れることには、この仕業を反省するどころか、相変わらず人権侵害を続けていたのである。私的な外出を記事にしようと、大新聞の記者が蠢いていたらしい。(6)

 こうした経緯を見ていると、宮内庁もマスコミも、人権感覚がほとんどないことがわかる。

 しかし、マスコミ人が指摘するように、確かに希望はある。

 前例破りの写真公表が行われたからである。
 それに加えて、皇太子妃の、私邸での長期静養も画期的だった。こちらも前例などあるまい。

 流石に、「皇太子殿下も私邸にご宿泊」まではいかなかったが、短時間のご訪問だけは実現した。

 わずかではあるが、人権擁護の方向に進んでいるのだ。

 ・・・思わず声援を送りたくなる。
 ここまで頑張って、前例破りを進めているのに、孤立無援な状態が続いているからだ。

 民間人とのご成婚に至る過程では、驚くほど多くの声援があったのに対し、今回は、声援はほとんど聞こえてこない。

 人権に、たいした価値は無い、と考えている人ばかりのようだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.kunaicho.go.jp/03/d03-03ph-01.html
(2) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/koushitsu/news/20040925k0000m040042000c.html
(3) http://www.kunaicho.go.jp/koutaishi/denkakaiken-h16gaikoku.html
(4) http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/sunday/2004/0530/tokusyu1.html
(5) http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/kimagure/2004/kimagure2004_0518.html
(6) http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040916ic21.htm

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