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2009.7.18
 
 


麻生政権とは…

 ついに解散日が本決まりになったようだ。
 自民党は、公明党の支援なしには小選挙区で戦えない状態だから、旧盆解散など、もともとあり得ないし、任期切れ解散を避けるにはここしかないというだけのこと。
 先延ばしにすればなんとかなるという目算もないが、敗北も怖いからズルズルと来てしまった訳だ。緊張感亡き組織だ。こうなってしまうと、各議員は自分の落選防止の目線だけで動くから、バラバラにならざるを得まい。だいたい、選挙責任者不在で解散に踏み切るのだから、常軌を逸しているし。

 というような類の“床屋談義”が、海外メディアも報道されている。政権交代必至という話だけで、それ以上のコメントが無い記事も多い。失礼ながら、これには、大笑い。
 海外メディアは、政策的な視点でのコメントが含まれていたり、政治の方向を示唆するような話が含まれていることが多いものだが、ついに止めたようだ。日本とは、そういう国だと、ついに理解したのだろう。

 まあ、都議選の報道を見て、日本をよく知らない海外ジャーナリストは驚いたのではなかろうか。
 間違ってはこまるが、民主40.7%、自民25.8%と大差だったという点ではない。(1)“次期衆院選の比例代表の投票予定先についての回答は、民主53.4%、自民22.3%、公明7%、共産6,2%”(2)とさらに差が開く状況を言っているのでもない。(小選挙区議席は100程度か。幹事長経験者達や、都選出の与謝野馨財務相・金融担当相が落選しかねない数字だ。)
 ここまでズルズルと退潮一途なのに、ただただ補正予算でお金を注ぎ込む以外、魅力的な政策提言が全くできない政治勢力が政権を担っていることに、ようやく気付いたということ。

 メディアは「麻生降ろし」の動きを報道しているが、そんなものに何の意味もない。
 そもそも、麻生内閣は、参議院選挙での敗北総括で、経済改革を中止して、バラマキ予算実現を始めるために生まれた異端の政権。政策の方向転換などできる筈がないからだ。ここまで来れば、高齢層に悪評の首相を、新しいタイプの人にしたところで、シェアが22.3%から25.8%になる程度の効果しか期待できまい。
 支持が集まらないのは当たり前である。バラマキで経済が好転する訳がないから。そして、バラマキを続けられなくなってきたことが、生活実感としてわかってきたからでもある。
 このままでは、将来はますます悪くなるだけとなれば、どうなるかわからなくても、「政権交代」しかなかろうと考えるのは自然なこと。

 それに、社会保障費用の出費枠を外してしまったから、ついに、ビジネスマンが見捨てたことも大きい。地方選で自民党票が失われて当然ではないか。
 以下の自民党支持層が裸になってしまったということでもあろう。
  ・公共投資とそのメインテナンスで食べている層
  ・政府・自治体の支援を受けている地場サービス産業で食べている層
  ・上記に土地を提供するなどして収益を得ている層
  ・政府・自治体の規制により利潤を保証されている層

 それだけではない。
 ラクイラ・サミットでの麻生首相の動きがひどかったことも大きい。
 オバマ大統領の態度は、要求があったから話しただけというもの。政治家とはリーダーシップを発揮する職業なのに、それができないだけでなく、国民の支持率がとてつもなく低いから、致し方ないが。

 そういえば、ラクイラ・サミットでの日露首脳会談も圧巻。外交関係を悪化させたことを、公然化したかったようだ。露と核兵器削減で協調していきたいオバマ政権にとって、これも不愉快な動きだったに違いない。もともと、露は極東経済進展のために、一歩踏み込むところまできていたと言われていたのに、麻生政権はあえてぶち壊す動きを指揮してきたのである。妥協的な平和条約締結はしないといえば聞こえはよいが、これで、極東経済発展は望み薄である。
 露だけではない。胡政権にしても、3ヶ国でさらに経済関係を緊密にしたいシグナルを送っていそうだ。もちろんオバマ政権もその意向だろう。しかし、麻生政権は関心が薄い。逆に、中国軍事脅威論の喧伝に注力しているように見える。日本経済の推進力は輸出しか期待できないのに、中国市場との連携で経済発展という目も消えつつあるのかも。

 オバマ路線とは、6ヶ国協議を強化して、東アジアの安定を図ろうというものだが、麻生政権の動きは逆ということのようだ。東アジアで緊張関係を保ち、巨大な米軍の力をこの地域に引き止めておこうという構想なのだろう。
 安全保障問題は情報が乏しいから、軍事バランスの実態はよくわからぬが、日米間での考え方にはズレがありそうだ。
  →  「日米同盟の弱体化必至か」 [2009.6.9]
 今までの米国政権だったら、麻生政権はとっくに崩壊させられていたかも。

 --- 参照 ---
(1) 「【2009都議選】 自民支持層も『民主』 都議選出口調査」
  東京新聞 [2009年7月13日]
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/09togisen/news/CK2009071302000053.html
(2) 「【2009都議選】 自公過半数割れ 都議会、民主が第一党 『麻生降ろし』強まる」」
  東京新聞 [2009年7月13日]
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/09togisen/news/CK2009071302000041.html?ref=rank
(官邸の写真) (C) 東京発フリー写真素材集 http://www.shihei.com/tokyo_001.html


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