↑ トップ頁へ |
2010.6.9 |
|
|
昨今の政治状況を眺めて[自民党・社民党参院選惨敗の予兆]…2010年5月14日の時事通信社の政党支持率調査によれば、民主党17.0%、自民党13.2%。社民党0.7%と揃って低下。自民党と社民党は、ほとんど裸に近い支持率といえる。政党の信頼性が失せた状況と言ってよいだろう。→ 「民主党は何をしたいのか」 (2010.4.26) ところが、これが、菅首相誕生で一気に変わった。もちろん、民主党だけだが。
日本テレビのデータを眺めると、約1年前の自民党麻生内閣の時の数字を彷彿させる値。当時は、自民と民主の数字は34.3%と22.3%だったが、それがちょうど逆なのである。(日本テレビの数字は絶対値でなくトレンドを見るだけにした方がよいかも。他と違う数字のことが多いから。数字そのものを気にするなら時事通信調査がよさそうである。) 早速、その結果が横浜市議補欠選挙にあらわれたようだ。当選は民主党新人で、次点はみんなの党でかなりの差。民主党からの直前離党者が選挙応援を行った上に、父親の自民党現職議員が逝去した直後の選挙でもあるから、みんなの党候補が当選してもおかしくなかったが、そこまで力は発揮できなかったのである。ちなみに、自民党候補の得票数は民主党候補の半数にも達しなかった。(1) ここまできても、自民党は状況を理解できていないようだし、危機感も薄いのは驚くべきこと。 だいたい、未だに、民主党批判がワンパターンである。何を考えているのか。・・・具体的に何をするかはっきりさせないで、経済、財政、社会保障を万全なものにするとの言葉だけの政党に政治をまかせる訳にはいくまいということを主張するだけ。正論だが、こんな批判をいくら続けても、票は戻ってこないと思うが、それがわからないのだ。 自民党では、何も変えることができないと見られたから、“政権交代”が発生したのである。民主党批判は自分達に返ってくるだけということが理解できていないのだ。かつての野党の真似をした、対決姿勢をいくら打ち出したところで、自民党自身が変わる姿勢を見せない限り、支持は減る一方だと思うが。 なかでも圧巻は、民主党へのバラ撒き批判。選挙目当てでしかない政策と指摘すれば、自民党の言う通りということで支持が戻ってくると誤解しているのでは。民主党のバラ撒きは、自民党を真似しただけ。その額が大きいに過ぎない。麻生首相のバラ撒きを、皆、まだ覚えている状態で、それを頬かむりして批判すれば、支持率が下がるのが普通だと思うが。 なにせ、世論調査で反対多数と出ても、バラ撒きを強行したのはほかならぬ自民党なのだ。今になって、民主党を批判し始めたらどう映るか、考えたらわかりそうなものだが。 しかも、よりもよって、菅首相誕生にあたって、表紙を変えただけとのコメントを述べたりしている人がいるのには仰天。さらには、無名で閣僚経験もない議員を対立候補にすることを嘲笑する人まで。政治的センスを欠く政治家だらけということか。 対立候補は確かに知名度は低い。しかし、松下政経塾出身の筋金入りの、浪花のプロの政治家。しかも苦労人であるのは、知る人ぞ知るところだ。こんなことを言えば、自民党は地盤・看板・鞄での世襲議員か、それを受け継ぐ官僚しかいない政党との印象強めるだけなのだが。ここまで世間の見方に疎い人達の集まりだとはおもわなかった。 菅・枝野体制のイメージがどう映るか少しは考えたらよさそうなものだ。両氏共に、親はお金持ちでも政治家でもない。鳩山・小沢体制が嫌われたのは、古い自民党体質を引ずっているように映ったから。首の挿げ替えがお得意の自民党と揶揄されている状況で、この手の発言がどう響くかわからないのだろうか。すでに、内向きの発言しかできなくなっているのかも。 そもそも、鳩山首相とは、何を目標にどう舵を切るかの説明能力を欠く人だった。訳のわからぬ言葉で終始する竹下政治の生徒だったから、どうにもならないのだろう。そして、コンビを組んだ小沢幹事長といえば、その手法は金丸時代を彷彿とさせるもの。・・・民主党になっても、自民党時代と一向にかわらないと映って当然。それが民主党支持率低落の主要因と見るのが妥当なところだろう。 しかし、菅・枝野の両氏はこれとは全く異なる。少なくとも、表に出て丁寧に説明することは間違いない。内容的には、昔の民社党の印象は免れないが、少なくとも何をしているのかはわかる。この能力を軽視しすぎでいると、民主党が発信する「言葉」で自民党は追い詰められるかも。 それに、菅首相には、特段進めたい政策はなさそうだし、安全保障についても思想性は感じられない。これも、一大特徴と言えよう。つまり、国民生活向上のための大胆な規制撤廃政策が党から持ち込まれたりすれば、それに乗る可能性は高いということ。それに、中国大使任命を見ても、新興国輸出振興を大々的に進める成長戦略を打ち出すのも間違いないところ。自民党が掲げるなら、企業減税も率先して行うに違いなかろう。 そのような方針が次々と打ち出されたりすれば、ビジネスマンは大挙して民主党支持へと舵を切るかも。鳩山政権とは異なり、未知数の政権であるのは間違いないのである。 ともあれ、世論調査の数字は、新内閣へのご祝儀ではなく、実情を反映したもの。民主党の支持率回復は、菅首相の力量期待にある訳ではなく、鳩山・小沢体制の、“自民党体質”から、ようやく脱した感が生まれた結果にすぎない。 自民党は、この現実を直視し、これからどうすればよいか考えて欲しいものだ。 そうそう、これに絡んで、自民党にはもう一つ問題がある。小沢政治資金問題にご執心なのは致し方ないとしても、今、そんな時かという点。 朝鮮半島はきな臭い上、通貨・株ともに神経質な動きが続いている。特に、5月初旬から、株価暴落感触が急速に広がっている。次の金融危機がありえそうだという話(2)もよく知られている。ところが、自民党議員には、こんなことは全く眼中にないようで、ビジネスマンの感覚と完全に遊離してしまった。国内政治家稼業の集団と見られ始めたら、少数政党化必至なのでは。 ともかく世界の動きにここまで鈍感になってしまったのには恐れ入る。まともなビジネスマンが寄り付かなくなったのかも。 こんな時には、先ずは政治的安定を目指す動きを提起すべきではないのか。長期的な教育問題など後回しにして、とりあえず経済的沈没を防ぐために、大同団結を提起するのが筋。国家的な危機に直面しかねないことを説得し、離党者を集合させるための動きを始めるものだろう。ところが、現実はその逆。呆れたことに、ミニ政党に人気を奪われ続けている状態だ。時代感覚から完璧にずれている。 安全保障政策の違いなど気にせず、とりあえず、そこは現状維持で大同団結して、なんとしても経済沈没を避けようと動くのは民主党ということになりかねないことに気付くべきである。 それは、社民党にもいえそうだ。 基地問題で筋を通したから、参議院選挙では支持が増えると考えていそうだが、そうなるとは思えない。かつての社会党体質を愛し続ける人以外は大挙して離反するのではないか。票が激減してもおかしくないと思うが。 今度の参議院選挙で、自民党と社会党は、賞味期限切れ政党と見なされるような気がしてきた。 --- 参照 --- (1) 「“小鳩退陣がよかった”…横浜市議補選勝利で民主陣営」 産経新聞 [2010.6.7] http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100607/elc1006070054000-n1.htm 「民主離党の神奈川県議2人、みんなに入党届」 産経新聞 [2010.5.31] http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/100531/kng1005312206001-n1.htm (2) [Video] “Watch Wells's Paulsen Interview About U.S. Stocks”Bloomberg [May 18 2010] http://www.bloomberg.com/avp/avp.htm?N=video&T=Wells%26%2339%3Bs+Paulsen+Interview+About+U.S. +Stocks+&clipSRC=mms://media2.bloomberg.com/cache/v__GLlK0RO2A.asf (世論調査の数字) “直人内閣総理大臣指名 世論調査” 日本テレビ [2010年6月6日] http://www.ntv.co.jp/yoron/201005/index.html http://www.ntv.co.jp/yoron/200905/index.html “菅新首相「期待」59%、民主は回復 朝日新聞世論調査” 朝日新聞 [2010年6月6日] http://www.asahi.com/politics/update/0605/TKY201006050315.html “毎日新聞世論調査:「菅首相に期待」63% 民主支持、28%に回復” 毎日新聞 [2010年6月6日] http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100606ddm001010057000c.html “【図解・時事世論調査】政党支持率の推移(2010年5月14日更新)”時事通信社 http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_pol_politics-support-pgraph [菅の文字を間違え大変失礼しました.] 政治への発言の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2010 RandDManagement.com |