→表紙 | 2013.10.13 | |
| 流れは中道右派財政健全化…オランダ新国王が議会で「福祉国家は持続不可能」と演説した話を書いた。→ オランダの新政治潮流を眺めて[2013.9.27] 無い袖は振れない訳で、ラテン的発想とは違う訳である。 EUの南側国家群は借金し放題路線で経済を押し上げてきたため、躓くとどうにもならなくなる。呆れることに、財政破綻しても、経済押し上げには財政政策不可欠と、さらに債務を積み上げられないか画策する政治家だらけ。 それを容認すべきでないというのが、北側の立場のようである。 2013年9月総選挙で政権続行が決まったドイツとともに、この方向性遵守でEUをひっぱっていこうと考えていそう。 まあ、メルケル路線ということか。 【蘭】 ・2012年9月総選挙 自由民主国民党第1党維持 労働党と連立 【独】 ・2013年9月総選挙 キリスト教民主・社会同盟得票増 メルケル政権続行 と言っても、全く同じ方向に進んでいた、金融立国の隣国はゴタゴタでこの先どうなるかわからぬが。もっとも、国家の態をなさないベルギーのなにがなんだか状態よりはまし。 【ルクセンブルク】 ・2009年6月2010年6月 キリスト教社会党-社会労働党連立政権続行 ・2013年10月20日前倒し総選挙予定 [首相政治問題発生で連立困難] 【ベルギー】・・・そもそも国家としてまとまらない。 ・2010年6月総選挙 フランドル主義政党第1党 蘭仏6党大連立[分裂派と環境政党以外] しかしながら、バラマキを抑えれば、お気楽な生活はできなくなるから、不満が高まってくる。そこを狙って、既存政党否定型勢力が伸張してくることになる。コレは極めて厄介なこと。 オランダでは極右の自由党/PVV(Party for Freedom)。 ・15/150議員 ・反イスラム -イスラム国からの移民停止 -コーラン発禁 -スカーフ着用税 -トルコのEU加盟反対 ドイツでは海賊党/PIRATEN。 ・連邦議会議員ゼロ(州議会は議席獲得) ・支持率13%で第3党 ・スウェーデンの海賊党がモデル -人為的独占と市民監視法案に反対 -大麻の合法化 -ベーシックインカム政策提唱 まあ、一大波乱要因である。 それを除けば、どうも、欧州の北側諸国では、中道右派による財政健全化というのが、大きな流れになっていそう。 ただ、リトアニアは該当しない感じがするし、ノルウェーは2013年9月総選挙で、政権続行で路線変更無しかと思ったら中道右派に移ったようだ。 もっとも、もともと優等生のエストニアのような国もある訳だから、北側諸国は体質が違うということかも知れぬ。政権交代要求が持ち上がるようなこともなさそうだし。 【ポーランド】 ・2011年10月総選挙 与党PO-農民党連立政権続行 【リトアニア】・・・中道右派敗退である。 ・2012年10月総選挙 4党連立中道左派に政権交代 【ラトビア】 ・2011年9月総選挙 野党親露政党第1党 ドンブロウスキス政権続行[中道右派連立] 【エストニア】 ・2011年3月総選挙 アンシプ政権続行 【フィンランド】 ・2011年4月総選挙 与党第2党が第1党 財政均衡6党連立政権 【スウェーデン】 ・2010年9月総選挙 与党穏健-自由-中央-キリスト教民主連立政権続行 【ノルウェー】・・・どう変わるのかよくわからず。 ・2013年9月総選挙 与党中道左派敗退 保守党を中核とした中道右派連立政権樹立 これに比べると、イタリア、スペイン、ポルトガルといったラテン系三羽烏は財政再建を進める気があるのか、よくわからぬところ。 スペインなど、どこをおせば、オリンピック費用をまかなうのという感じだったが。 【西】 ・2011年12月ラホイ政権発足 与党民衆党絶対過半数 お隣は政権交代である。 【葡】 ・2011年6月総選挙 野党躍進 野党社会民主党・民衆党連立政権樹立 イタリアは相変わらずのなにがなんだか政治だし。 【伊】 ・2013年2月総選挙 民主党第1党 一応の大連立政権 なにせ、M5S(Five Star Movement)なるものが生まれる風土。 ・106/630議員 ・中-下流層が支持基盤 ・ポピュリズム的色彩濃厚 -腐敗する既存政党政治打破 -デジタルデモクラシー -EU離脱 -環境主義 -反資本主義 米国のティーパーティー[Tea Party movement]を彷彿させるものがある。 もっとも、他国どころではない。 日本は未だにバラマキ政策賛辞の大合唱。オランダのように、「福祉国家は持続不可能」などと言いだす人は出るどころか、もっと出せというのだから凄すぎ。なにせ、極小の自称小さな政府派にしてから、先ずは、日銀の国債引受による財政拡大で経済を持ち上げようとの算段。財政出動しか票を集めることができないから致し方ないとはいえ、オランダやドイツとは根本的発想が違う訳である。 圧巻は、民主党による政権交代だった。もともと、バラマキ勢力から超バラマキ勢力への移行というトンデモ話でしかないのは初めからわかっていた訳だが、すでに財政などどうにもならない状態だから、それも又結構ということで。破綻に早く決着がつくわけだし。 ただ、既得権益層が異なる政権ができれば、従来のしがらみを壊す効果位はあるだろうとの過大な期待があった訳である。ところが、そこに関しては動こうともせず。そのかわり、日本にとって重要なものだけ、壊し回ってくれた。トンデモ宰相は登場するし、全く、お話にならない。 こうなると、イタリア同様にポピュリズム勢力か、オランダのような極右が伸びて当然である。日本のことだから、両者の習合のようなものが人気を博すことになるのだろうか。 少なくとも、日本には、欧州の流れである「中道右派財政健全化」を担いそうな勢力は全く見当たらない。 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> |
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