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2015.5.22

オスプレイ配備話について

有名な軍事ジャーナリストの21日付のコラム記事を読んだ。たまたま。
オスプレイ反対でムード盛り上げを狙うマスコミの流れに乗って書いた印象は否めない。

知らなかったが、この方は、言っていることと真反対の結果が出るということで批判されているとか。占い師ではないのだから、どうかと思うが、コラムを読んでいてそんな理由がわかった気がした。
素人ではないゾと言いたいため、シナリオが歪むのではないか。そうだとすれば、マトモに考えた素人論の方がましである。

もっとも、マスコミの主流は、素人風情を醸し出した単純な「反軍」主義だから、そのような言い方は危険か。「軍備反対」で上手く立ち回れば平和を維持できた東西冷戦期なら意味はあったが、今は逆で、軍備を怠れば戦争を招きかねない状況なのだから。

そんなことを感じたのは、たまたま、「潜水艦技術情報開示が気になる」[→]を書いたばかりだったから。
コレ、もちろん素人論。防衛に関する技術など知らない訳で。
一寸、その辺りの考え方をご説明しておきたくなった。・・・

日本の場合は潜水艦は、原子力潜水艦である必要はない。大陸間弾道弾保有国ではないからだ。
それでも、担当者にとっては、その方が望ましいとなろうが、どう見ても余りに高コスト。「自衛」という目的からすれば、潜水艦攻撃によりほとんどの敵艦は撃沈できるゾという体制を敷いていることが見えさえすればよいのである。
そんな観点では、海上自衛隊の潜水艦常時運航体制は圧倒的な効果を発揮していると言ってよいだろう。いくら海軍を増強し、大言壮語したところで、標的増産でしかないのは当事者が一番ご存知の筈。張り子の虎でしかないのである。冒険主義者に対しての大きな抑止力になっているのは間違いなかろう。

但し、それには条件が付随する。
潜水艦が、どこに存在しているのか見えてしまえば、お話にならないからだ。
この点に関しては、日米軍事同盟のお蔭で、最先端の潜水艦探知技術を理解し易い自衛隊の力はピカイチである可能性が高い。
しかし、それを続けることができるかはなんとも。技術情報開示を行えば、それが致命傷を招く可能性があるからだ。一見、つまらぬ技術情報に見えても、実は極秘にすべきものかも知れないということ。意味の薄い些細な情報と考えていても、それが潜水艦発見に利用できるデータだったりすれば致命傷だからだ。
軍事専門家はどう見ているのかは知らぬが、大きな流れを考えれば、このような評価にならざるを得ないのでは。

そんな発想で、ここで取り上げたオスプレイ問題のコラムを読むと、支離滅裂感を味わうことになる。

間違えてもらってはこまるが、論旨がおかしいという話ではない。裏にあるべきシナリオが感じられず、バラバラと色々な話が散りばめられているという印象を受けたのでガッカリしたに過ぎない。

そもそも、「安全性に疑問」という姿勢がよくわからないこともある。構造上、ちょっとした判断ミスで墜落は有りえそうなのは素人でもわかる。しかし、それを問題視することに意義を見出す発想が理解できぬ。軍事用である限り、リスク以上にメリットありなら使うというだけのことだからだ。
もっとも、ヘリコプター的に使えば、住宅地に墜落は有りえるから、そんなことにでもなれば大問題。安倍政権は倒れ、政治は不安定化するかも知れない。
しかし、東アジア安定のために米軍依存を続ける以上、それに我慢する以外に手はあるまい。

ちなみに、自衛隊におけるオスプレイ問題は、これとは別。こちらは高コストという点につきよう。何があったのか知らぬが、国産化の流れを恣意的に頓挫させたのは明らか。制空権維持に関係する課題ではないから、低コスト化と民間産業勃興狙いが妥当なところだと思うが、防衛省の方針は全く違うようである。ヘリコプター空母に至っては張り子の虎にしか見えないが。ただ、大災害対応には便利かも知れぬ。

横道にそれたので戻ろう。

小生は、横田基地オスプレイ配備は、北朝鮮シフト以外のなにものでないと見る。習政権許可済の米軍配置と考えて間違いなかろう。オバマ政権の安全保障とは、そういう代物である。
   「第二次朝鮮戦争への流れ」[2015.5.16]
コラムでは、「尖閣への抑止力向上は横田配備の理由にならない」との指摘だが、そんなことは当たり前だろう。

そもそも、米軍が尖閣問題に関与しないと見ているからこそ、中国共産党が動き始めたのである。実際、オバマ流政治からすれば、尖閣などどうでもよい問題なのだ。そんなことで自国の将兵の命を晒すなど馬鹿げているという感覚。
すべてローカルな市民運動の発想で対応すれば、そうならざるを得ない。お蔭で、世界は不安定一途。

そうそう、コラムには「違法な軍事活動に協力したと日本が非難される懸念も」との指摘もあるが、誰が米軍のどのような行為を批判する話なのだろうか。

(コラム) 田岡俊次:「オスプレイと共に特殊部隊を横田に配備! 本州広域が危険な訓練場となる」ダイヤモンド・オンライン 2015年5月21日

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