表紙 目次 | 2015.7.16 沖縄独立も一案ここまでこじれると、どうにもなるまい。そもそも、沖縄問題の先送りはもう無理なのだ。[→2015.3.12] しかも、ついに最悪な報道が沖縄を駆け巡った。 ∨ 時事通信記者が 官房長官会見で発言した質問が物議を醸している ∨ 記者は、沖縄県議会の土砂規制に 「そんな連中ほっといてもいい」 ∨ 那覇空港工期短縮に逆行するとして 「国は見限っていい」とも発言 [2015年7月14日 10:03 沖縄タイムス] ・・・本土のジャーナリズムの基層には、琉球保護国(属国)扱い的な意識があると感じない訳がなかろう。(その認識自体はおそらく正しい。しかし、この件をその例と見なしてよいかは別問題。日本の記者の質問とはこの程度が標準と言うか、これこそが典型。意見を述べるのは、「仕掛け」。つられて余計な一言が飛び出せば大成功。この手の大騒ぎを狙っている可能性大。) 自民党若手議員らの勉強会で「沖縄2紙をつぶさないといけない」との発言があったばかりだから、更なりと言えそう。 こちらに関しても、マスコミは鈍感なところがある。 例えば、"「偏向メディアが支配」 百田氏、沖縄2紙にまた持論"[2015年7月12日 8:02]ということだが、これを偏向マスコミ打倒とのよくある主張と同じものと見なすからだ。確かに、それは、サヨクv.s.ウヨクの対立でしかない。しかし、琉球v.s.本土という視点で眺めると、これは「沖縄の声を消せ」ということ。つまり、本土のマスコミが、許されない発言との主張を繰り広げても、ゴタゴタを利用しているだけに映りかねないのである。日経はビジネス用なので別だが、一般家庭で購読している新聞とは、潰せという対象になっているこの沖縄2紙。全国紙などほとんど見かけない地域。 報道を見ていると、この辺りの理解が欠けているように思う。 間違っている可能性もあるが、沖縄から見れば、鳩山元首相は正面から沖縄の問題提起に初めて踏み切った、本土政治家として高く評価されてもおかしくない。 偏向メディア支配許さず発言を期待した、太鼓持ち議員達の動きが盛んな訳だが、そうした政治風土を切開する力がジャーナリスムには欠けているのである。 珊瑚礁に自ら落書きして大スクープに仕立て上げるようなジャーナリストを沢山抱えていそうなマスコミ組織と体質的にそれほどの違いはないから、どうにもならないのである。 このような状況だと、政府と沖縄県政との関係修復の可能性は限りなくゼロに近いと言えそう。 そんな認識はすでに沖縄を覆い尽くしていると見た方がよいかも。 なにせ、県知事が、国の方針否定の外交に乗り出しているのだから。国防と外交は国家権力が管掌することになっており、それだからこそ外部勢力の内政関与を防げる訳で、独立維持の鉄則。 それをわかっていての行為。本土の属国的地位はまっぴらご免であり、独立国家としての道を歩んでもかまわぬとの姿勢を鮮明にしたということ。 コレ、議論を重ねながら、落としどころを探るという、デキレース的な交渉が効かないことを意味する。簡単に言えば、現状認識が180度違っているので、議論すればするほど空回りし、悪い方向に進むしかないのである。 問題なのは、以下の3点。・・・ 先ず1つ目。 「国民の自由、平等、人権、民主主義が等しく保障されず」を問題にするのはわかるが、もともと米軍が沖縄返還に合意できたのは、それなりの密約があればこそ。 日米地位協定とは、沖縄から見れば、差別扱いそのもの。しかし、それを前提としての返還なのは自明。 以後、そこに手をつけるのは面倒だから自民党政権は頬かむりしてきただけ。そのお蔭で、米国まかせの安上がり防衛と、国際的なゴタゴタにも関与せずに済んだのは確か。 もちろん、米ソ冷戦構造下で、反米姿勢を見せるだけの野党の存在を上手に利用したことも大きい。米国は反米親ソ政権樹立はなにがなんでも防ぐ必要があったからだ。 2つ目。 降伏を拒否する熾烈な沖縄地上戦があったからこそ、本土は地上大戦乱に巻き込まれずに済んだとも言える。しかも、占領軍統治以後、戦争に巻き込まれずに済んだ。 それは、沖縄の米軍基地と本土の自衛隊の存在が大きく貢献したと見てよいだろう。(言うまでもないが、自衛隊は発足時から、市民と生活を共にしていない組織であり、「警察」ではなく、「軍隊」そのもの。)両者なかりせば、大陸の軍事独裁国の工作で、どうなっていたかわかったものではない。 今もって、朝鮮半島は休戦状態でしかないのだから。そこには、半島統一を掲げ、核兵器とミサイルを保有し、100万の軍隊が臨戦態勢下の独裁国家が存在している。無防備のままで平和が保てる訳がなかろう。 米ソ冷戦が終了しても、朝鮮半島は未だに危険なまま。と言うか、以前より戦乱の危険があるとは言えまいか。どうやら現状維持が続いているに過ぎまい。 だが、米国はカネの問題から海外展開縮小の方向にある。ここだけ例外という訳にもいくまい。 その一方、人民解放軍は着々と力を蓄え続けて来た。米軍に対しては、質でなく、武器量で圧倒する戦略で一貫している。全ての武器が同時に火を噴けば、その時点で米軍は対応不能に陥るから、論理的には米軍敗退は確実。(制空権を維持可能なのは空母だが、それを標的とするミサイルが完成したと称しており、同時多発射体制ができてしまえば、空母は中国沿岸域には近寄れない。)台湾の武力解放を目的とする軍隊であり、台湾が独立の姿勢を示したりすれば、戦争は必ず勃発するということ。その第一段階としての、南沙諸島から尖閣諸島までの解放軍空軍の支配圏確立。(南沙は海南島潜水艦基地防衛の要石である。離島の軍事基地維持には膨大な費用がかかるが、それほどに重要な地点と見なしていることに注意を払うべき。) 沖縄問題と関係ない話に聞こえるかもしれないが、東アジアのパワーバランスから考えれば沖縄の米軍基地は要石。中国にとっては、目の上のたん瘤。 米軍にとっては、名目的とはいえ防衛条項がある台湾をカバーできる地として、沖縄の基地を手放す訳にはいくまい。基地軽減といっても、無理があろう。 3つ目。 米国の力は格段に弱体化が進んでいる。財布の軽さは、覆い隠すことは無理であり、すでに世界の警察官の地位を捨去っている。関係各国での安全保障体制構築をお勧めする体制へと舵を切った。 ただ、東アジアではそのような体制は無理。そこで、アジア回帰というスローガンを掲げたにすぎない。実態はこの地域での軍事力大幅削減。繰り返すが、南沙諸島辺りの軍事的カバー力はもはやゼロ。 日本の尖閣にしても、防衛とは口だけの話と見るべき。それだけで、日本のカネを稼げるならこれほど美味い話はなかろう。従って、民間人としての人民解放軍属の上陸がいつ決行されてもおかしくなかろう。 この状況で、米国は、表立った沖縄駐留米軍削減はしにくかろう。地域安定のためには米軍の存在が不可避という日本政府の要求に応える必要があるからだ。小生が米軍参謀だったら、駐留コストを負担してくれるのだから、他地域二線級の軍事訓練短期合宿場に起用するが、実態はどうなのだろう。 もし、そんなことになっていれば、日本政府のこの方針は奏功するどころか逆効果。現実を注視している人民解放軍は、米軍撤退が進んでいると見なすからだ。 この辺りの現実認識を踏まえて、どうするか考える必要があろう。 大統領が軍のトップだといっても、制服組の意見を無視して勝手に指示を下す訳にもいかない。一般に、民主主義国の制服組は地域の軍事パワーバランスの変動を一番嫌う。戦争の芽を摘もうとする訳で、戦略性なき基地移転は進みずらい。 ここも理解しておくべきだろう。 さて、それでどうするかである。 例えば、長期的には米軍の東アジアからの総撤退というシナリオもあろう。その場合、本土感覚なら、奄美以北を日本国として、大陸との紛糾を避ける手もあろう。琉球王国再興ならそれも結構となる。それが、沖縄になにをもたらすかはなんとも。例えば。大陸からの移住者が増え社会は不安定化するかも。歴史的には、それが、中華帝国発展の伝統的パターンなのだから。 そういう議論ができないと、戦争に巻き込まれるということ。現在の世界の流れを読み、今後、どう変化したらどう対処することになりそうなのか考える習慣をつけないと、エライ目に合わされるというのが、第二次世界大戦での無条件降伏に至ったことから得た、貴重なご教訓だったのでは。 もっとも、先のことは議論してもたいした意味はないという意見も一理ある。どうせ、日本は、財政破綻国となるのだから。 政治への発言の目次へ>>> 表紙へ>>> (C) 2015 RandDManagement.com | |