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2004.7.1 



腕産業への挑戦…

 欧州の時計メーカーが元気である。ブランドを看板にして、積極的に市場浸透を図っている。
  → 「元気な伝統腕時計メーカー」 (2004年6月30日)

 このため、高度な技術を保有している日本の時計メーカーの影が薄くなっている。

 ・・・と言っても、例外はある。もともと電卓メーカーから腕時計に参入した、カシオ計算機は別格と言える。

 もちろんCASIOブランドもあるが、注力しているのは、もっぱらG-SHOCK、WAVE CEPTOR、PHYS、PRO TREK、SEA-PATHFINDERといった独自性が高いブランドである。それぞれ、独特な機能があり、それに合った秀逸なデザインがウリである。若者を中心に人気が沸騰し続けている商品だ。

 欧州の時計メーカー同様、ウエブも美しく、見ていて楽しい。当然だが、ウエブはcasio.co.jpではなく、g-shock.jpである。このサイトは「Webドメインマーケティングアワード2003」を授賞しており、質も高い。
 技術を生かす商品戦略の見本といえそうな展開と言えよう。(1)

 時計技術もさることながら、「計算機」という社名に現れているように、時計の情報システム端末化にも積極的である。
 2004年6月9日には、決済機能と入退出用ID機能を持つ「Officaウオッチ」を開発中と発表した。始終身につける腕時計の特徴が生きる応用である。香港の交通カードでは今一歩だったが、消費電力が問題とならないから、ケータイやカードより優位かもしれず、仕組みが整えば一気に普及する可能性もある。(2)

 「腕時計への付加価値追加によるライフステージに適合した進化」を通じて、「Wrist(手首)産業」へと拡大する路線を歩んでいるそうだ。
 欧州のように、職人技術ベースの「腕時計」事業や、先端技術を持ち込んだ「腕時計」ではなく、「 Wrist商品」というビジョンを掲げ、新たな地平を切り拓くべく挑戦しているのだ。

 ヒット商品そのものは、新タイプの腕時計であり、ブランド訴求で時計企業と戦っているのは事実だが、戦いの場は違うといえよう。
 難しい挑戦だが、日本企業の強みを生かせる方策であることは間違いあるまい。
 → (2004年7月2日)
 --- 参照 ---
(1) http://webdomainmarketing.jp/award/casio.html
(2) http://www.casio.co.jp/release/2004/offica_watch.html

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