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2004.7.5 



腕時計ブランド弱体化への道…

  欧州の時計メーカーは、腕時計を精密機械製品の粋とみなし、自社ブランドを構築することに熱心といえよう。
 その流れに合わせるかのように、新規ブランドでの参入を果たした企業もある。
  → 「腕時計産業への新規参入」 (2004年7月2日)

 しかし、腕時計を宝飾製品の1種とみなせば、これとは違った戦いが見えてくる。
 ラグジジュアリー・セグメントではブランド戦争が勃発しているのだ。

代表的高級品ブランド
BVLGARI
CARTIER
CHANEL
COACH
DUNHILL
FENDI
GUCCI
HERMES
MAURICE LACROIX
VERSACE
 このセグメントでは、腕時計は工芸商品というより、高額ファッション商品に近い。オートクチュール/プレタポルテの世界とほとんど同じである。
 文化の香りを付けたり、ファッショナブルなデザインを施すだけで、とてつもなく大きな付加価値が稼げるビジネスである。

 現実に、服飾・装飾/宝石・鞄・化粧品といったパーソナル製品は軒並みブランド化している。時計が例外でいられる訳がない。
 そして、この世界は、欧州ブランドの一人勝ちなのである。

 当然ながら、日本企業も、この波を活かそうと考える。

 独自デザインや、独特な文化を打ち出すしかあるまい。
 ところが、本気でこの方向に進む気はないようだ。そうした姿勢はウエブを眺めれば一目瞭然である。全ての「宝飾・ウオッチ」製品を並べるのだ。ブランド商品のカタログというより、製造業の取扱い製品一覧表に近い。この発想でパーソナル製品が訴求できるとは思えない。(1)
 これでは、欧州ブランドと対抗するのは至難の技だろう。

 インターネットで顧客と直結して製品開発で独自性を発揮しようと考える企業もある。
 どころが、そのコミュニティ用ウエブを立ちあげる考えは無いようだ。様々な製品ラインの一つとして並べるのである。これでは、興醒めではないだろうか。(2)

 本気になってブランドビジネスを進めるのなら、専属のウエブは不可欠だと思う。カシオ計算機のような取り組みは時計メーカーは嫌うのだろうか。驚くほど少ない。(3)

 もっとも、ブランドのライセンスインで、製品ラインを増やす戦略で、ブランドビジネスに参入する企業もある。(4)アパレルの巨大企業と同じやり方である。
 一見、時計メーカーがブランドを利用しているから意味があるように見えるが、数多くのブランドを並存させれば収益性が低くなることが多い。魅力ある事業とは思えない。

 しかも、先端技術イメージのブランドと、このようなライセンスインブランドをウエブで並べて表示するのである。こちらも、ブランド商売とは程遠い。
 日本の時計メーカーは、ブランドイメージを構築する気が無いのだろうか。
 このままでは、ブランドイメージを喪失してしまうのではないだろうか。
 → (2004年7月6日)
 --- 参照 ---
(1) http://www.rhythm.co.jp/watchjewelry/index.php
(2) http://www.timerex.com/goods/index.html
(3) http://www.isseymiyake-watch.com/index.html
  http://www.appetime.com/
(4) http://www.orient-watch.com/newweb/products/Product02.html
  http://watch.citizen.co.jp/brand_index.html

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