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2004.7.6 



中級腕時計の競争熾烈化…

  様々な視点から時計産業を見つめると、全体構造が見えてくる。
→ 「電波腕時計の時代か」「腕時計v.s.ケータイ」「元気な伝統腕時計メーカー」「腕産業への挑戦」「腕時計産業への新規参入」「ブランドイメージ喪失への道」 (2004年6月28日〜7月5日)

 統計など参照しなくても、世界のリーダーはスイスの時計産業と考えて間違いないと思う。おそらく、輸出市場では日本とは桁違いの規模に達していると思う。
 このお蔭で、欧州全体で時計産業が活性化したといえよう。日本より、ドイツ、フランス、英国の方が好調に映る。

 日本企業の技術開発能力は優れており、次世代技術で先端を走っているのだが、この力は高額商品分野での競争力向上に寄与していないようだ。高級品の自社ブランドや宝飾ラグジュアリー商品ももってはいるが、このビジネスに賭けるつもりもなさそうである。
 要するに、中級品メーカーに徹しているのだ。

 成熟市場では、中級品メーカーはつらい。低価格品に足元を崩され続けるからだ。
 単価が下がれば、特段の特徴がないのなら、顧客は高額商品を購入したがる。中級品は、不安定なポジションなのである。

 しかも、低価格品メーカーが力をつけている。
 低価格品といえば、香港ウオッチを指していた。今でも、数量ベースで見れば、香港/中国が世界の生産のほとんどを占めている筈だ。もちろん、製品だけでなく、パーツについても、生産基地化が進んでいる。コスト競争ではとっくの昔に勝負がついているのである。
 問題は、これからである。
 コスト競争をバネに、デザインや機能で勝負してくるからである。(1)

 中国だけでなくインドもこの競争に参加してくる。(2)

 廉価タイプでの競争激化必至だろう。
 セイコーウオッチの「ALBA」やシチズンの「Q&Q」も、国内市場で安泰でいられなくなるかもしれない。
 と言うのは、日本製品は「独特なテースト」をできる限り消し、誰もが使える製品を狙いがちだからである。独自性が薄ければ、類似品に浸透されやすい。コスト競争力で勝負がつきかねないのである。

 この戦いは、早晩、中級品市場にも進むことになろう。
 そこまで進む前に、市場でポジションを確定できるかが問題となる。熾烈な競争が始まっているのだる。
 例えば、新鮮なデザインをウリにするスウォッチグループはすでに、400種類以上の商品を並べている。(3)ここまで徹底しなければ、競争力は発揮できない。
 カシオ計算機の「G-shock」のように、強烈な個性で戦う気がなければ、ポジションは守れないと思う。

 --- 参照 ---
(1) 中国鐘表協会(北京) http://www.chinawatch-clock.com/
(2) 代表的インド企業「TITAN」 http://www.titanworld.com/
(3) http://www.swatch.jp/?source=Google_CPC04_april

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