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2005.10.5 |
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欧州モデル論のご紹介…Is the “European model” broken? To many outsiders the answer is a strong yes.・・・Financial TimesのMartin Wolfのコラムに登場した文章である。(1) その通りだ。欧州各国は方向がバラバラで、統合欧州モデルがでえきるのかさえも定かではない。 外部から見れば、統一欧州など存在しないも同然と言わざるを得まい。 一寸眺めれば、ノルウエーやアイスランドが成功していると言うことになる。その一方、アイルランドも波に乗っている。 → 「HDIを眺めて 」 (2005年9月21日) しかし、これは断片的な情報にすぎない。欧州全体を俯瞰したいものだと考えていた。 そこに、ようやく、分かりやすい見方が登場してきた。 これで、欧州がどう進むか考えやすくなったし、日本がどの方向を選択すべきかの議論もし易くなった。 Andre Sapirのモデル(2)は単純明快だ。簡単にご紹介しよう。
(1) 北欧型 (フィンランド、スウェーデン、デンマーク、等) (2) アングロサクソン型 (英、アイルランド) (3) 大陸型 (独、仏、等) (4) 地中海型 (伊、西、ポルトガル、ギリシャ) このなかで、どう見ても無理筋なのが地中海型。 若年層の雇用のために早期退職支援を行う。その一方、雇用は維持する。単なる労働力管理だけで、乗り切ろうというのだ。 これで、成長できるとはとても思えない。にもかかわらず、高齢者への年金負担は重いままで放置。 遅かれ早かれ破綻をきたすことになろう。 これと対照的なのが、アングロサクソン型。 労働規制を撤廃し、社会保障は最後の支えと考える。労働者は自立が原則という方針だ。経済成長だけを考えれば、一番効率的な仕組みといえよう。しかし、問題は貧困が増えること。 人の資産が低いレベルにあり、社会全体がそれほど豊かでなければ、アングロサクソン型は有効といえそうだ。 一方、人への投資が進むと、貧困を招くアングロサクソン型の信認が難しくなる。生活保障の色合いが強い大陸型が力を持つ。 労働組合の力が強いから、どうしても近視眼的な雇用維持が図られてしまう。その結果、全体で見れば、グローバルな競争力が落ち、雇用状況は悪化することになる。そこに、失業保険・年金が重い負担となってのしかかる。経済は低迷する可能性が高い。 これを突破したのが、北欧型だ。 労働市場の規制は大幅に緩和される。とはいえ、労働組合は強力だから、賃金の平等性は保たれる。税負担は重く、社会保障費は突出している。しかし、人への投資は怠らない。そして、雇用創出に邁進する。 労働人口で高等教育を受けた比率の違いが特徴的である。 アングロサクソン型60%に対し、北欧型は75%なのだ。 Martin Wolf理論は、アングロサクソン型か北欧型のいずれかしか解はないというもの。 しかし、欧州全体で見れば、アングロサクソン型は嫌われている。 といって、地中海型諸国は、教育投資が進んでいないから、北欧型にも進めない。 独・仏といった大国も、小国のような小回りはできないから、大陸型続行しかないだろう。少なくとも、独は先日の総選挙で、新たな方向に進むことさえ難しいことを示してしまった。 → 「ドイツ年最大の行事を眺めて 」 (2005年10月3日) さて、小泉政権は、アングロサクソン型と北欧型のどちらを選ぼうとしているのだろうか。 両者の折衷モデルなどあり得ないと思うが。 --- 参照 --- (1) Martin Wolf“Europeans can look to each other”Financial Times [2005年9月13日 有料] http://news.ft.com/cms/s/53b84494-2484-11da-a5d0-00000e2511c8.html (2) Andre Sapir“Globalisation and the Reform of European Social Models”@ECOFION Informal Meeting[2005年9月9日] http://www.bruegel.org/Repositories/Documents/publications/working_papers/EN_SapirPaper080905.pdf 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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