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■■■ 上野動物園大人向きコース ■■■
2014.3.15

赤い島の生物史に浸ろう

赤い島というのは、知る人ぞ知る、アフリカ大陸の東南に位置する大きな島、マダガスカルのこと。
もちろん、土壌がそんな色なのだ。その側の小さなモーリシャスとは違って観光立国ではなく、と言って、輸出品はバニラくらいだろうから、日本では存在感がえるく薄い国である。
しかし、両国は似ているところもある。
モーリシャスでは飛べない鳥「ドードー/Dodo」が絶滅したが、マダガスカルも同様に飛べない巨大鳥「エピオルニス/Elephant Bird」が絶滅したからだ。
植民地化と共に、生物種は急速に減った訳である。種の保護運動は見かけだけ活発だが、その流れは未だに続いている。なにせ、もともとは日本のように全土が森林に覆われていたのだが、とうの昔にその面積は1割を切っており、もうどうにもなるまい。しかし、だからこそ、かろうじて生き残っている希少動物発見が相次いだとも言えよう。

なにせ、この島は、大陸から孤立した時期が早かったから、その森を住処にしている動物は古いタイプが多いのである。

それに、この島は、気候的な多様性を持っている点も一大特徴。日本列島が南北に長く、太平洋側、日本海側、山岳、瀬戸内海と様々な地域特性があるのと似たところがある。バオバブや、サボテン的な「棘」樹木の写真は一部地域の話なのである。
 ・東側雨林(海辺全面砂浜,沿岸湿地帯有)
   ・・・熱帯性モンスーン気候で常緑多雨林
 ・中央高地(標高1,000mの台地で山深し)
 ・山岳地域(標高2,000m級)
   ・・・高地性気候で常緑雲霧林
 ・中央西斜面
   ・・・地中海性気候類似
 ・西側乾燥地
   ・・・雨期乾期差大で乾季落葉林
 ・南側半砂漠

当然ながら、種の多様化が進んでいる訳である。そして、勿論のこと、絶滅危惧種だらけ。

希少種ばかりではなく、そこに住むヒトについても、注目すべき点は少なくない。
文化的にも実に不思議な地域だからだ。

言語だが、東南アジア・西太平洋の島嶼地域と同属なのは間違いないのである。もちろん、人種的にも、アフリカの島にもかかわらず、アジア系。この言葉だが、母音は4つしかなく、子音+母音構造で、矢鱈に長い単語が多そう。と言っても創出したというより、単語をほうぼうから調達したということのようだ。当然ながら、多義化している。文法的な難しさは全くないが、社会に溶け込まないと意味がさっぱりわからないのでは。日本語とよく似ているともいえそう。小生は、海人民族の特徴と見るがどんなものか。
それより面白いのは、この言語は古くから全島で通用していたらしい点。動物の多様性でわかるとおり、島内の部族文化差は極めて大きい筈なのに。こんなところも、日本の風土と似ている感じがする。
そう思って考えてみると、ここは米を食べる人達の国。水稲立国である。
現在の国旗は、フランス植民地だったせいもあり、自由・愛国・進歩を表す3色旗だが、王国が存在した頃は、上半分が赤で、下半分が白の2色旗。日の丸と同じ色彩だ。小生は、土着霊信仰の白色と、稲魂の赤米色ではないかと感じたがどうかネ。

こんなことをつらつら考えていると、マダガスカルの動物を上野に見に行こうという気分になってこないか。

【アプローチ】 ---------------
この場合、動物園の正門は混むので、池の端門からの入園をお勧めする。千代田線湯島駅の根津駅側出口を出て、不忍通りに沿って、公園の池沿い散歩道を歩いてから、ほんの少し行けばよいだけ。
園内地図では、池の中にあるように見える「アイアイのすむ森」が目的地となる。池の端門を入れば、すぐ右手が両生爬虫類館(ビバリウム)で、その横が池だから、迷うことはなかろう。

というか、入園してすぐに目に入るのは、真正面のフラミンゴだろう。そこに行けば、その先にはペンギン達がいる。その右側が池という構図である。その池の中に進む橋へと進むだけのこと。

【1 モニュメント】 ---------------
先ずは、その前に、モニュメントを拝見しておこうではないか。
○巨鳥「エピオルニス
左のような骨格標本模造品の方がインパクトがあろうが、そういう訳にもいかなかったようである。
「マダガスカルの夢」碑が傍らに。
[註] 以下、「TZN's video」は東京ズーネットBB > うごく!どうぶつ図鑑へリンク

【2 レムールの島】 ---------------
池に浮かぶ橋を渡れば、そこからはもうレムールの世界。中の島から大勢の目が注がれていることに気付くかも。観客に飽きていれば、相手にしてくれない可能性もあろうが。そして、さらに煩く感じると、見え難い場所に全員移動してしまう。まあ、ソリャそうだろう。

ワオキツネザル
   Ring-tailed
Lemur [→TZN's video]
バオバブの木の洞のような居住区画を作ってあるのが秀逸。寒いと一家全員が固まって暖をとっている。親子揃って饅頭になってしまい、なにがなにやら状態となる。少し暖かいと、見物人に関心があるのか警戒しているのかわからぬが、全員がまん丸お目々をこちらに向け、飽くことなく見続ける。興味が失せれば、即、ごろんとなってお休みに相成る。
気分が乗ってくると、そこらじゅうの木々や寝小屋へ繋がる吊橋辺りを跳び回ることになる。こんなこともできるゼという見せつけではないかと思うほど。好奇心旺盛な感じもするが、飽きるもの早そう。輪模様の尾が実によく動くが、バランサー役や手足の延長というだけでなく、コミュニケーション活動の核となっているのだとか。残念ながら、その意味は読み取れないが。

【3 肉食獣王のケージ】 ---------------
橋を渡ったら、左側のケージから、先ずはご挨拶伺い。

フォッサ/Fossa [→TZN's video]
マダガスカルの食物連鎖の頂点に位置している食肉獣である。
番で棲んでいるが、そういう手の動物とは思えないが、結構、満足していそうな雰囲気である。
  → 「マダガスカル獣王とのご対面」
獣王にしては小さいが、マダガスカル島には、虎のような猛獣はいないし、象や犀のような大型草食獣も欠落。もちろん、草原性の馬もいなければ、森があっても鹿類も見当たらない。肉食獣としては、餌は鳥とレムールだろう。猛禽類がいないようだから、鳥は捕獲し易かったから、それが主食だったか。

現在、お隣は亀さんがお住まい。これがレムールだとお互いどうなるのだろうか。フォッサは大興奮の坩堝に叩き込まれ、一方、レムールは恐怖でノイローゼになったりして。

ホウシャガメ/Radiated Tortoise [→TZN's video]
自然に近い状態で、寒くなければ、部屋と室外を勝手に行き来させるようにしているようだ。自由にさせれば、当然ながら泥で汚れて模様がよくわからなくなる。それもこまるから洗ってあげるのだろうが、それもどんなものなのだろう。
両生爬虫類館では磨きあげたような甲羅が拝見できるがそれは自然体ではなさそう。

【4 レムールのケージ】 ---------------
渡って左側はフォッサ君のケージ舎だが、右側は林を模したようなレムール用のケージ舎。輪尾が目立つレムール一家は池の中島にいて、遠くなので体の細部が見えないが、こちらは網かガラス越しだから、近くに来てもらえばじっくり観察可能。

クロシロエリマキキツネザル
   Black-and-white Ruffed
Lemur [→TZN's video]
確かに、黒と白襟巻きをお召しであるし、お顔は尖っていて狐面である。見かけよりは大きな動物である。可愛がられている結果ではあろうが、輪尾レムール君に劣らず、黒白襟巻レムール君も人懐っこい性格のようだ。まあ、怖い動物はフォッサだけということか。実際は、ヒトが一番危険なのだが。
多少関心を持っていそうな雰囲気を感じたら、それなりのご挨拶をするとよい。部屋にいる場合だとガラスの直前までやって来てくれる。喜んでいる子供には仲間意識を感じていそうだから、観客の体格や服装、顔の表情に関係しているのかも。

【5 アイアイ舎】 ---------------
ここからは、夜行性のアイアイ舎である。他の動物が恒久的に飼われるかはなんともいえない感じではあるが、小さなレムールは「可愛い!」という声があがるから、すぐお隣に棲んで頂くのは悪くない手である。

アイアイ
   Aye-aye
 [→TZN's video]
暗い上にガラス越しなので、すぐには影しか見えないが、数分すると目が慣れてくる。木の枝につかまってでんぐり返しがお好きなのもわかってくる。そんな運動にも飽きた頃、タイミングを見計らって、呼びかけると、金網の部分に「ナンダイ」とやってくる。しかも、乗り出さんばかりに顔を見せてくれる。
こちらさんもレムール達に劣らず、かなりの人懐っこさあり。目が大きくまん丸。普通なら、愛すべきと言いたいところだが、なかなかそんな気分にはなれない指が魔法使いのようだし、顔かたちがどうも見慣れている猿類とは違うからだ。どこか不気味感が漂ってくる。
現地では、死霊を引き連れてくると見なされるそうだが、森で出会えばソリャ無理はなかろう。名前をつけるのも恐ろしい動物と見なされていた模様。従って、アイアイとは現地の名称ではなく、西欧人が間違ってつけた言葉らしい。
そんな嫌悪感情が消えるとも思えないから、海外で保護して繁殖させるのも悪くないかも。
そうそう、説明によれば、聴診器指で枝中の虫の存在を探り、細い指の爪先でひっかけて取り出して食べるそうだ。・・・思うに、それは、いわばハレの食事では。あくまでも主食は豊富な果実だろう。殻から中身をほじくり出すのに適した指と考えるのが自然だと思うが。おそらく、クルミのようにねっとりした油脂リッチな実の筈。さすれば、幼虫も似た味だろう。昆虫食性動物と考えない方がよいと思うが。
そう思うのは、竹筒から食べている姿がいかにもどうにいっていたから。一方、半切り果実を食べるのはえらく下手。しかたなしに食べている風情。
尚、全員お名前をお持ちだが、小生には個体差はさっぱりわからなかった。(3分もいれば、目は慣れるので、暗いせいではない。)名札もついていないようだし、どうやって判別するのか気になった。なにせ、順調に繁殖が進んでおり、総数が2桁を越してしまったのだから。

アイアイの部屋続きには、昼光性の小さなレムールが住んでいる。素人から見れば、小さな猿はほとんど栗鼠的な挙動を繰り返すだけ。脅威さえ感じなければ、ヒトの存在を格別意識しているようには思えない。ところが、レムールは観客の存在を確認し、興味を覚えれば近寄ってくる。面白くなければ、知らん顔の半兵衛を決めるといった、かなりの人慣れ状況を示す。
動物園がペット化させる訳がないから、レムールは生来的に、人懐っこい性格なのでは。そこを悪用されると、悪質ペット業者に根こそぎ拉致されてしまうかも。
ハイイロジェントルキツネザル
   Eastern Lesser Bamboo
Lemur  [→TZN's video]
ブラウンキツネザル
   Brown
Lemur [→TZN's video]

尚、顔を埋めて寝ている姿を見るにすぎない動物も、この舎に同居している。何回か見に行ったが、残念なことに動いているところは一度も見たことがない。
まあ、動物とはそういうものであるが。

ヒメハリテンレック/(Lesser),
    ハリテンレック
/Greater Hedgehog Tenrec [→TZN's video]
もちろん、テンレックもマダガスカル固有種。アフリカに住むトガリネズミの仲間。
と言っても、見かけはハリネズミそっくり。
ただ、北方のローラシア大陸由来の動物達とは血筋が違うゼというだけの話。姿を見てその差がわかるようなものではない。氏より育ちか。
それにしても、ヒメの方はマッチ箱のような大きさ。もう少しで10匹を越えそうな感じがするが、はてさてこの先どうするのかな。

そうそう、哺乳類以外の生物も展示されていたので忘れずに記載しておこう。餌にするつもりではないと思うが。
マダガスカルオオゴキブリ [→TZN's video]
子供にえらい人気だとか。本当かネ。
  → "多摩動物公園展示の世界一大きいゴキブリ"

尚、以下のレムールも、飼育されていたようだ。
○クロキツネザル
   Black
Lemur [TZN's video]

【6 両生爬虫類館】 ---------------
折角だから、すぐお隣の両生爬虫類館(ビバリウム)も拝見しておこう。ここにもマダガスカル棲息者が存在している。以下は現在の順路順。生物だから、いつまでも展示されているとは限らないので、そのおつもりで。

サビトマトガエル /False tomato frog[→TZN's video]
ビデオを見てからでないと、両生類マニア以外は面白くなかろう。
せいぜいが、変わった色の蛙ダネで終わってしまう。

ヨスジオビトカゲ/Four-lined Girdled Lizard
なかなか美麗。
神経質ではなさそうだから、蜥蜴フェチに好かれそうな感じがする。
観客を意識して、チョロチョロ動いて見せているのではないかという気もする。
ホウシャガメ君と同居しているので、流石に亀の側には近寄らないようだが、その存在を大して気にとめているようでもなく、平然と動き回っている。亀が動くから、静かに休んでいられない可能性もあるが。

テングキノボリヘビ/Leaf-nosed Snake
これはいかにも、不思議な生物。なんといっても、テング顔が奇妙奇天烈。確かに、蛇ではあるが、余りに異質。
しかも、オスとメスの色が違う。オスの方が目につきやすい色だが、目立つほどでもない。
しばらく、ガラス面に鼻がつきそうな位置から、じっと眺めていたら、こちらに向けて一気に体を伸ばしてきて、鼻先というか、角なのか、ガラス面に押しつけてきた。面白くなかったか。尚、この角状突起だが、どんな機能があるのか、推定さえ困難な模様。

マダガスカルヒルヤモリ/Madagascar Day Gecko
鮮やかな色が目に沁みる。
それもあるのか、爬虫類マニアには知られているようで、結構ポピュラーな種らしい。
餌がすぐそばにあるので、食餌シーンを見れるかと期待したが、そうは問屋が卸さずだった。
観客から隠れる気は全くなさそうだが、目線の交差は避けていそう。

オオバクチヤモリ/Golden Fish Scaled Gecko
これは企画展示。期間を過ぎれば消え去るのかも知れぬので写真はカット。英名でおわかりだと思うが、全身が鱗に覆われているのだが、自切尾だけでなく、鱗も剥がれ落ちるようになっているとのこと。しかし、誰だネ、博打で身包みはがされる輩などという下品な名前をつけた学者は。声援を送りたいもの。

【番外】 ---------------
大人の遠足であるから、マダガスカル動物にお会いしたら、さっさと帰ろう。上野公園やアメ横に出る手もあるが、ここは入園したところから出て、食事に移るのはどうか。根津駅に行くなら「はん亭」で串揚げ、湯島駅利用なら「伊豆栄」の鰻がお勧め。ここでのんびり一杯というのが余韻を愉しむ決め手。

アメ横に立ち寄るということで、不忍池出口を使う方は通りついでに、マダガスカルのトキも眺めておこう。
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