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■■■■■ 2015.11.24 ■■■■■


東京は素敵な街

  秋夜は 熱き音楽 好きなだけ
   吟遊詩人 饂飩讃歌


秋も深まり、音楽三昧の頃。
なにを聞きにいくかの思案も又愉し。

そういえば、2009年2〜3月のNHKBSでは、METを次々と放送してくれて驚いたことがある。
  → 「雑感: オペラ“タイス”の感想」[2010.3.12]
そのような企画も終わってしまったようだ。まあ、TVは所詮それだけのものでしかない訳だから、よかったかも。朝の6時のクラシック番組も1時間早くなったので見なくなったし。今や、残っているのは、僅か5分の0655だけだが、内容にマンネリ感が強まっており"偶に"見る程度になりつつある。

そんな気分もあり、METのライブビューイング10周年ということで、一月ほど前イル・トロヴァトーレを見てきた。
オペラはやはり当該ハウスでないととは思うが、お金と時間と肉体的疲労を考えると、NYまでわざわざ行く気がしない。マ、そういう人はオペラファンではないということであるが。

その代わりのライブビューイング。10分の1の入場料で見れるのだから有り難いこと。

流石MET。
そのお姿には10年前の面影まるで無しだが、だからこそのアンナ・ネトレプコの素晴らしさには圧倒された。ディミトリ・ホヴォロストフスキーの方はライブビューイングが始まった頃の若さを彷彿させる迫力。これだけでも楽しいものがあった。ただそれを感じさせてくれたのは、キャストの秀逸さ。ベテランのドローラ・ザジックと若手のヨンフン・リーの存在は大きい。4人のレベルが揃っていないとこの作品はさっぱり面白くない訳で。
もちろん、ジプシーや兵隊の大合唱も聞かせる。マ、実に大衆的な作品だが。

こんな楽しみを簡単に味わえる時代になってようやく10年か。

オペラ運営には様々な分野のプロを集めた組織運営を進める必要があるので、そうおいそれとはできないが、演奏会ならファンが存在する分野なら多種多様な企画が打てるだろう。成熟した社会なのだから、画一的な垂れ流し音楽を皆で大騒ぎするのではなく、様々なジャンルで一流の演奏を楽しめる状況に変わって欲しいもの。
そういう点では、どの分野でも質が格段に高くなっているようで嬉しい限り。
実は、同じ月に、ヘルテル@バロックの2本のオーボエ協奏曲を聞きにいった。おそらく、研究の末に練りに練って到達した演奏だったのだと思うが、そんな重さを微塵も感じさせないように仕上がっていて、実に楽しかった。未だにその余韻が残っている程。
聴衆のバラエティさにも驚いた。

これぞ都会ならでは。
そういう意味では、海外の都市も魅力的だが、いかんせん住居費用が高すぎる。東京の自宅でというのが、ミドルクラスの愉しく生きる術では。
それこそ、バロックからジャズまで、多種多様な音楽を愉しみながらそれなりの生活を送れる訳で。

そうそう、ライブビューイングを見た同じ頃、そぞろ歩きの途中でジャズハウスに。
及部恭子+クリス・スピードの"楽しいステージやハプニング[最後の曲で小曽根真&ブランフォード・マルサリス]で賑やかに沸いた夜"を堪能。

  秋の夜半 ピアノの音が 弾け散る


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