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2006.12.20 |
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ベンザイ天とビシャモン天とは七福神の筆頭、エビス・ダイコクが神社と寺院の両者で信仰の対象になっており、由来も不明瞭になってしまい、習合が進んでいるとの話をした。→ 「エビス様とは 」 (2006年12月6日) 、 「ダイコク様とは 」 (2006年12月13日) 仏教の守護神たる“天”に属する信仰対象は数多いから、どうなっているのか、見てみよう。 と言っても、余りに多いから、東大寺[金光明四天王護国之寺]の三月堂[法華堂]で眺めてみよう。 裏側は正堂で奈良時代の建物。その南側に、鎌倉時代に礼堂が建てられたそうだ。両者を一体化したお堂になんと16体もの仏像が安置されている。それも、1200年前を偲ばせる、素晴らしい像が揃っているのである。 しかも参拝者が少ないお堂だから、心行くまで拝観可能だ。 (1) 三月堂のご本尊は、8本の腕があり、蓮華座上に直立している、背の高い観音様だ[不空羂索]。 暗くてよく見えないが、宝石を散りばめた冠(1)をつけているそうだ。 (2〜3) ご本尊ににつき従うのが、色が剥げ落ちて白色になっている一対の仏像。 合掌姿の、日光・月光両菩薩である。背丈はご本尊の半分位だが、それでも2m程度はありそうだ。 本来、日光・月光菩薩は薬師如来に従う仏様だから、間違った命名かも知れぬ。 (4〜5) そして、横には、巨大な梵天(ご本尊に向かって右)と帝釈天(向かって左)。梵天はお経を持っている。 (6〜7) 須弥壇の周囲には数多くの護衛が配置されている。 前方左右には鎧をつけてはいるが上半身は裸の、左の阿形、右の吽形の、金剛力士。 (8〜11) 四方には、それぞれ四天王。皆、邪鬼を抑えている。 前方にあるのが持国天(東)と増長天(南)、後方が広目天(西)と多聞天(右奥[北]、別名:毘沙門天)。 (12) 背後の厨子内(北面)には、金剛杵を持った執金剛神。[秘仏:12月16日のみ開扉(2)] (13〜14) この他に、女性神の吉祥天と弁才天が加わる。 (15〜16) さらに不動明王二童子と地蔵菩薩が加わる。 このうち七福神に入った“天”は、四天王の多聞天と、女性神の弁才天だけである。 平和な時代なら、戦士のような四天王から選ばなくてもよさそうだが、強さを感じるということは、願をかなえてくれそうな期待感が湧いたということかも知れない。 多聞天は、いかにも強そうに映るから、選ばれたのではないかという気がしないでもないが、七福神としては、富を得る神ということが魅力の素になっていそうだ。 ともかく、賭け事で勝つご利益ありとのうたい文句が書かれている案内板が多い。 独尊像として安置すると毘沙門天と名前が変わるのも不思議だが、仏を守る日々の役割から離れるのだろうか。 散歩していると、毘沙門天のお社にはあまり出会わないが、弁才天をお祀りした神社はそここに存在している感じがする。ヒンドゥー教の河神ということなのか、池の側にお社があったりする。女神でもあり、親しみを感じて信仰している人が多いのかも知れない。 但し、その名称は弁財天ばかり。才より財ということだろうか。現代は、お金儲けのご利益優先のようだ。 名前も変化しているが、お姿も相当違う。三月堂の弁才天には8つの手があるそうだが、よく見かける弁財天の姿絵は、琵琶を抱えた優しい観音様の風情を醸し出している。おそらく様々な信仰が加わった結果なのだろう。 --- 参照 --- (1) http://www.narahaku.go.jp/exhib/2002toku/todaiji/todaiji-3-03.htm (2) http://www.todaiji.or.jp/index/haikan2001/1216/kongo.htm (ベンザイ天/ビシャモン天のカット) http://www2.nkansai.ne.jp/users/harumi/ 文化論の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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