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「我的漢語」講座

第6回 茶館 2010.7.27
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 簡体字は少し覚えればなんとかなると考えていたが、文字対照表を眺めていて、これは相当大変なものだということに気付いた。“機”の日本の略字は木偏にキだが、簡体字が「」であるというのはよく知られているが、“葉”を見て愕然となった。もちろん繁体字は同じなのだが、簡体字では「」だ。そういえば、この字はよく見かける。しかし、一体、何だかね。
 これでは、わかり易い簡体字学習本が見つからないのも道理。まあ、言語は理屈ではないから、そういうものではあるのは当たり前ではあるが。

 折角だから、中国茶の簡体字を調べておくか。そんなことが気になるのは、峨眉山のお茶「竹青葉」は“葉”表示で売られていたりするからだが。(尚、白い酒瓶の方は竹で茶ではない。昔から売られているから、日本では台湾産が多いのではないか。ついでながら、よく知られている、凍頂烏龍茶、文山包種茶、東方美人は台湾のお茶である。)
■茶葉→茶叶
  [黒茶] プーアール→普洱茶
  [红茶] キーマン→祁门红茶 ラプサン・スーチョン→正山小种
  [青茶] ウーロン→乌龙茶 武夷岩茶  铁观音
  [緑茶] ロンジン→龙井茶 黄山毛峰
  [白茶] 白毫银针
  [黄茶] 君山银针
  [花茶] ジャスミン→茉莉花茶 菊花茶 桂花茶

 烏龍茶は誰でも知っており、「」はすでに述べた。“種”の重の省略形が“中”だが、“重”は繁体字も簡体字も同じだから、どうも気にはなるが、なんとかわかる。
 厄介なのは“鉄観音”の「」だ。“ヌ”偏は一通りではない。
  観→、勧→、歓→
  難→、艱→
  戯→
  鶏→
これが旁になると“ヌ”ではなく“又”になる。
  権→
  漢→、嘆→
  僅→

 観光本には、必ず茶馆での話が掲載されている。茶館文化を楽しもうというのだろうが、まあ、観光用だろう。もともと知識階級のものだから、徹底的に破壊された筈。今の文化は作られたファッションにすぎまい。都会に住む現代中国の若者にしてみれば珈琲厅で軽く一杯というムードの方がお好みでは。アルコールにしても、カクテル[鸡尾酒]がファッショナブルとされていそうだ。
 漢詩の気分に浸るとなれば酒だが、茶館文化なら茶杯で中華文明でも語るのがよさそうである。観光的には中国茶道[工夫茶]を楽しむことになるようだ。これは、日本でも一時大流行したから、結構知られているようだ。大きく違うのは、茶葉の第一煎目が無いこと。最初は湯[热水]で洗うのである。それと、急須を茶壶と呼ぶのが気になった。壷は保存容器に限らないのである。
 一見、一杯目を捨てるからもったいなく思うが、緑茶で比較すると、高級品の場合は日本茶より多く飲める。単価では、こちらの方がお得ということになる。そんなことを考える人はお茶を味わう資格がなさそうだが。(中国産の玉露とは日本の深蒸製法の緑茶と聞いたことがあるが、この一煎目を捨てるのは流石にもったいなさそうなので試飲したことがない。)
 なんといっても、嬉しいのは、そんなことではなく、闻茶の習慣。“嗅ぐ”という悪臭にピッタリくる言葉や、Fragrance 的な“匂い”でもなく、“馨る”という文字を彷彿させる、“聞く”とされているのがよい。そのための専用の杯もあり、情緒をかき立てられる。

 そうそう、お茶と 言えばお茶請け。紅茶とクッキー/ケーキという感覚同様に、中国茶なら点心/乾き物(干果物やナッツ/種)が定番と言えそう。
 ここでは、種だけ取り上げておこうか。
果仁
中華街によく行く人なら、ナッツ類の文字はお馴染み。
  ピーナッツ[>>>]花生 カシューナッツ→腰果 アーモンド→杏仁
  クルミ[>>>]核桃
  ヘーゼルナッツ→榛子 ピスタチオ→开心果
味付けの種もあり、果子の食文化は深いものがある。菓子の語源はこの辺りという訳か。
  スイカ→西瓜子 カボチャ→南瓜子 ヒマワリ→葵花瓜子
  松子/松仁 ハス→莲子

  そうそう、栗子もあった。もっぱら天津甘栗だが。これは、板栗という種類と中華街で聞いたことがあるが、調べていないので不確実。もっとも、小生的には、炒栗子は手がベト付くので余り嬉しくない。秋の京都で食べる丹波産の大振りの焼栗が好み。

 と言うことで、第六回はこれまで。
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