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「我的漢語」講座

第7回 果物 2010.7.28
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 果子の話になったので果物も眺めておこうか。

■果物→水果
いかにも中国果物らしいものは、結構文字は知られている。ただ、多少、字体は違う。
  ライチ[>>>]茘枝 サンザシ→ 山楂 ナツメ→
  楊貴妃が好んだ茘枝はいかにも水果の風情がある。
  山査子と棗は干果であり、漢方的な風合いも強い。

そんなこともあり、果物は大概が同じ文字といった印象が強い。
  なし→ ぶどう→葡萄 さくらんぼ→樱桃 ざくろ→石榴
もっとも“子”が付いていたりする。種なのだから妥当な業現だが慣れないと面倒だ。ヤシも、考えてみればそういうことだったのだろうか。
  かき→柿子 もも→桃子 すもも→李(子) やし→椰子
木本でないものは、草であることを示す必要があるのだろうか。
  いちご→草苺
“無”の字体は覚えればなんということもない。
  いちじく[>>>]无花果

林檎は難しい文字なので、そうでないのは有難いといえなくはないが、禽類が実のなった木に群がるという情景が無くなるのは寂しい気がする。それに、全く馴染みが無い文字なので覚えにくいことおびただしい。
  りんご[>>>]苹果

日本のみかんは“温州蜜柑”と呼ばれているが、中国温州の柑橘類とは違うと言われている。中国では柑橘類をどう表記するのか、一寸ウエブや観光本を見ただけではよくわからないところがある。
  マンダリン/タンジェリン→桔子/橘子 中国夏みかん[>>>]胡柚
  オレンジ→橙子 ネーブル→広柑 グレープフルーツ→葡萄柚
  レモン→柠檬・・・檸を略字にされるとわからなくなったりして。

次は、瓜系。
  すいか[>>>]西瓜  メロン[>>>]哈密瓜
植物学の分類は知らぬが、なんとなく瓜類ではなさそうなのも同類にされている。ツリーメロンと呼ばれるからか。
  パパイア→木瓜・・・沖縄の青パパイアは瓜みたい。蕃瓜と聞いたが。

バナナは芭蕉だからわかるが、キウイにはまいった。一度見れば忘れられぬ。
  バナナ→香蕉 キウイ[>>>]奇異果
  パイナップル→菠萝  マンゴー→芒果・・・芒果布甸で見かける文字だ。
 茶館では、干し果物も人気のようである。収穫期に一度に市場で消費しかねる訳だから、ジャムにするとか、乾燥品にして保存するのは至極合理的。

〜 “子”の感覚が面白い。 〜
 柿の木に実がなるのであり、実を“柿子”と呼ぶのは、理屈。なかなか面白い。もっとも、竹は竹子らしいがどういうことなのかよくわからん。筍ならわかるが、そうではないのである。
 ともかく、“子”は色々と使われている。一寸、小さいものということを表すと聞いたことがあるが、そんなものなのだろうか。そんな感覚がさっぱり湧かないのは現代の環境に染まっているということか。

 餐庁では“子”だらけだ。一人用で小ぶりということかね。
  (食)卓→桌子・・・卓は木製だからか。 椅子
  箸→筷子  スプーン→勺子  フォーク→叉子 栓抜き→起子
  但し、“蓮華”は“子”は付かない调羹/汤勺だし、ナイフは単純にだ。
  グラス→杯子  取り皿→小盘子
  そうそう、饺子包子が好きな人も多いだろう。

 動物でも、子供でもないのに“子”が使われている。百獣の王も“子”だから、可愛いというニュアンスはなさそうだ。
  ライオン→獅子 猿→猴子 兎→兎子・・・こちらはオカマという意味もあるらしいが。
  鳩→鸽子・・・“”ではないようだ。
 それに、下痢[拉肚子]にも使われている。気分的にはわかる表現だが。

 まあ、親子表現なら多少は納得できる。まとめておこうか。
 孩子とは、“亥”だから、乳飲み子という意味で、“子”をつけなくてもわかる。しかし、観光本によれば、どうも子供一般のようだ。それが正しいのかはよくわからぬ。だいたい、“妻”だけでわかるのにどういう訳か“子”が付く言語だから面食らう。
 よく知られているのが、夫婦なら爱人であるという点。昔の日本では家制度に縛られ、情人しか愛せなかったということではなく、毛沢東の“近代化”思想教育の一環ではないか。その昔、愛人というコンセプトがあったとも思えないし。・・・などとつまらぬことを考えず、全く言葉が違っていると考えた方が無難。“娘”(母)や“姑”(父の姉妹)の意味も違うのだから。
  夫→丈夫 妻→妻子・・・丈v.s.子か。
  息子♂→儿子  娘♀→女儿・・・儿女だと“男女”になるのかな。
  孫♂→孙子  孫♀→孙女・・・“帰国子女”が両性を表すのはこういうことか。
 血族の宗教たる儒教圏では、父母系、年齢上下、男女差で表現を変える筈で、面倒この上ない。従兄弟・従姉妹だと8種類ということになるか。日本では、すでに叔父・伯父の違いがわからない若者が多いが、中国はこの先どう動いていくのだろうか。

 と言うことで、第七回はこれまで。
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