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「我的漢語」講座

第28回 中国共産党の言論統制開始 2011.1.18
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 2011年1月17日、中国でついに広範な言論統制開始と日本経済新聞が報じた。
 中国メディアによるリークとされる。ウエブ検索したが、情報は余に乏しくガセの可能性もなきにしもあらず。
   尾崎実(北京): "中国、言論統制を広範に強化 「文革以来の弾圧」の声" 日本経済新聞 [2011/1/16]
   http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE3E6E2E7958DE3E4E2E3E0E2E3E39494EAE2E2E2

 米中首脳会談直前のこの手の情報は、そのまま信用する訳にはいかないが、状況を考えるとあり得そうな気がしてくる。
   →  「江沢民路線への急転換が始まったようだ」 {2010.12.17}

 ということで、その程度の信頼性しかないことを前提に、リーク文章を見てみようか。「中宣部2011年新闻报道的禁令全面政策」というもの。
 RFIが12 January 2011に報道したとのベルギーの中国語サイト。尚、RFIサイトを見たが該当記事は見つからなかった。
 http://chinacity.be/index.php?option=com_content&view=article&id=1989:2011&catid=41:china-news&Itemid=32


 共産党党創立90年・辛亥革命100周年記念日に向けて「良好舆论氛围」を作れということなのだろうが、とりあえずは春節乗り切りのために世論誘導せよと命令が下った訳。
【1:首先要求】解疑释惑,化解矛盾
      收入分配、股市楼市、就业社保、教育卫生、安全生产・・・ここら辺りが厄介な訳だ。

 包括的な言論統制を始めるつもりだから、インターネットの社会は一変することになりそうだ。
【2】严格控制“灾难事故和极端事件”报道
     ・・・災害や事故報道は徹底規制。なまなましい報道は一切禁止。

【3】“稳妥把握”征地拆迁报道
     ・・・土地収用への疑問など厳禁。

【4】各地新闻网站、商业网站一律不得开展各类全国性新闻评选和人物、事件评选活动。
     ・・・全国ニュース化禁止。勝手に事件や人物を重大ニュースとして取り上げるなということ。

【5】对一般群体性事件报道,中央和事发地以外媒体不报道
  在群体性事件报道中防止把矛头和焦点引向党委和政府

     ・・・発生地以外のメディアの取材や報道禁止。問題の矛先や焦点が党委員会や政府に向かうことの防止。


 ここまでなら、社会騒乱を防ぎ、共産党政権を揺るがすことが発生しない予防措置のレベル。ところが、それに留まらない。この通達の本質は改革勢力潰しだからだ。首相の改革発言に乗って動いた輩は、これから粛清となるのかも。現政権の力は失われたということか。
 ということで、なんといっても、ここが肝。
【6】不得讨论、争论、质疑有关政治体制改革内容
  不用“公民社会”的提法
  “绝不允许”站在政府对立面
 不允许以媒体观点“代替和干扰”群众意见

     ・・・政治体制に関する討論や問題提起は厳禁。政府批判や世論誘導などもってのほか。


 あとはオマケ。
 センセーショナルな騒ぎに繋がらない記事の体裁で、出稼ぎ農民に係わりそうな話をするような報道を抑える必要があるということか。
【7】做好房地产市场的舆论引导。
     ・・・不動産市場で世論へ影響を与える一切の活動禁止。

【8】对用宅基地换户口、用承包地换社保一律不报道。
     ・・・住民登録や労働許可制度に関する議論はご法度。研究論文は非公開。

【9】 不要宣传“一票难求”等春运方面存在的问题。
     ・・・春節帰省の切符入手困難問題の報道禁止。昨年の首相登場のようなことはこまるわけだ。実に細かい。

【最后】“关于进一步加强和改进刑事案件报道工作的意见”
     ・・・CPD[中宣部]とCPPLC[中央政法委]が事件報道ガイドライン作成。微に入り、細に入り。


 いやー、一大波乱が予想される。どうなることやら。
 ガセであって欲しいものである。

 と言うことで、第二十八回はこれまで。
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