![]() ![]() ■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[8釋天]■■■ 四時 祥 災 歳陽 歳名 月陽 月名 風雨 星名 祭名 講武 旌旃 このため、ことわりの冒頭行が記載される。 要するに、この項の"天"とは、天上界 Heavens/Godのことではなく、蒼蒼blue-color然としたドーム構造の天空skyを指す、との御断り。 「說文解字」的には、1文字1字義であり、天とは顛…至高無上。一方、<四時>≒四季は天空描写(蒼blue→昊vast→旻compassion→上upwards)。形而上が原初で、宇宙構造観(穹)を被せた(異義拡張)ことになるのだろうか。 <歳陽><月陽>は十干対応の名称。"甲者 言萬物剖符"[「史記」巻二十五律書第三]的な感覚での呼称。どうして閼逢や畢と別途記述する必要があるのかさっぱり分からないが。 それに、両者の間に天体暦に直接繋がらない、<祥 災>文字を入れ込む必然性は無さそうなので、ますますわからなくなる。 歳を記述したので、<歳名>として、載@唐虞[=陶唐氏(尭)+有虞氏(舜)]→歳@夏→祀@商→年@周を付け足している。<歳陽>名称も異なっていたと示唆しているのかは定かではない。これが、文字だけの変更なのか、異なる概念への踏み込みなのか、はたまた王朝の独自性発揮のための新呼称という習慣があったのか、全く判断がつかない。 王朝が規定する用語使用が強制されるから、この様な変遷が見てとれるに過ぎない。王朝という用語が嫌いな王朝であれば、人民という言葉に変更されることもあろう。どうあろうと、王朝官僚による造字でいかようにも変わるのである。言うまでも無く、その動きの基底には、当該王朝の天子の呪術的信仰と官僚主流派の学問的意向がある。 文字変更は厄介ではあるものの、無視したりすれば、罪人になるだけで何の便益も無いから、諾々ではなく喜々として率先して従うことになる。儒教的処世術の基本中の基本である。しかし、公的な変更がなされたところで、完璧な焚書化に踏み込まなければ前王朝の用語も非公式に通用することになろう。これこそが、中華帝国用語のゴチャ感を生み出す根源。 <月名>も全く同じことが言えるが、煩雑になるので1種類しか記載されていない。・・・ 1陬→2如→3陬→4余→5皋→6且→7相→8壯→9玄→10陽→11辜→12陬 規定した王朝の官僚以外に、各文字の字義には何の意味も無い。ただ、革命王朝の天子お気に入り文字があったりすれば、継続することになるのだろう。但し、勝手気儘なインプリケーションの下での使用であるから、字義も継続していることを意味していない。 しかしながら、天子が管掌する祭祀については、継続性が必要だろうから、その名称は保たれる可能性が高そう。もっとも、宗教勢力の方針や社会状況で、祭祀自体の様相は王朝毎に相当変わっている筈。(尚古主義が持ち出されて変更されるので、見かけは逆に映る。) ただ、釈詁で記載している祭祀の再記に名ている場合もあり、巻建て方針が曖昧なことがわかる。 それは実情を踏まえれば致し方ないとも云えそう。そもそも、祭という概念も繹→肜→復胙とされており、中味が異なっているかも知れない訳で。しかも五行観念とは違っている。(四季+天地山川星風) 巻末は突然に軍隊用語集的な<講武><旌旃>[游車載の曲柄旗幟]となる。祭天の中核信仰を示している訳で、いかにも革命を当然視する儒教の中華帝国らしい、味わい深い並びと云えよう。北方遊牧民系の祭天と、その南方の農耕民の祭天は、全く異なる儀式だったが、王朝内で並列的に存在するようになり、そうした儀式の核が軍事行列ということ。 (簡単に言えば、軍事的優勢な遊牧民王朝が定住化する過程で、儒教信仰を統治に組み入れたということだろう。) 星名は分かり難い。(天球基準は太陽と月の2種あるし、代替星座を用いることもあり得るので、多少の異標示感は生まれるもの。) ≪二十八宿≫ 東方…角 亢 氐 房 心 尾 箕 北方…斗 牛 女 虚 危 室 壁 西方…奎 婁 胃 昴 畢 觜 参 南方…井 鬼 栁 星 張 翼 軫 ≪十二次≫ 🐲壽星 <東方…角 亢 氐> 天根 天駟 🐰大火/大辰 <東方…氐 房 (心) 尾> 🐯析木 <東方…尾 箕 北方…斗> 津 漢津 🐮星紀 <北方…斗 牽牛 婺女> 🐭玄枵 <北方…虚 危> 顓頊之虚 北陸 🐗娵訾 <北方…危 營室 壁 西方…奎> 🐺降婁 <西方…奎 婁 胃> 🐔大梁 <西方…胃 昴 畢> 西陸 🐵實沈 <西方…畢 (觜 参) 南方…井> 濁 🐏鶉首 <南方…井 (鬼) 栁> 咮 🐴鶉火 <南方…栁 (星) 張> 🐍鶉尾 <南方…張 翼 軫> 【追記-1】 出所不詳の"十干"だが、一応、色々な説に目を通して来た。しかし、どれにしても腑に落ちない。公的な重要語彙だから、それなりの理屈付けがされていそうなものだが。 そのなかで出色モノは勿論「說文解字」説。字形から人の部位の象形と見なしているが、いくら見てもそうは思えないからだ。これには、拍手喝采。📖釋魚 📖「說文解字」卷十四 そもそも、現代人には、天子の名前に"十干"というセンスが今一歩よくわからない。太陽信仰が絡んでいると想定するには余りに無理があるし。(天子の嫡子はただならない数にのぼったが、儒教型の継承騒動回避策"原則長子継承"とのドグマ存在せずか。)・・・ (嚳 → 契 → 昭明 → 相土 → 昌若 → 曹圉 → 冥 → 王亥→ [冥子]王恆 →) 上甲微 → 報乙 → 報丙 → 報丁 → 主壬 → 主癸 →湯/天乙 → 太丁→ [湯子]外丙 → 中壬 → [太丁子]太甲 → 沃丁 → [太甲子]太庚 → 小甲 → [太庚子]太戊 → [太庚子]雍己 → [太戊子]中丁 → [太戊子]外壬 → [太戊子]河亶甲 → 祖乙 → 祖辛 → [祖乙子]沃甲 → [祖辛子]祖丁 → [沃甲子]南庚 → [祖丁子]陽甲 → [祖丁子]盤庚 → [祖丁子]小辛 → [祖丁子]小乙 → 武丁 → 祖庚 → [武丁子]祖甲 → 廩辛 → [祖甲子]庚丁 → 武乙 → 文丁 → 帝乙 → 帝辛 【追記-2】 「說文解字」で気付かされるが、十干用文字が極めて古い序数とすれば、その解釈は一筋縄には行かない。このため混乱した書き方になることがあろうが止むを得ない。例えば、巳では無く、巴だった可能性もあろうとの見方もできる訳で。・・・ 己:大歳@釋天 已:茲 斯 咨 呰 已…【此】 卒 猷 假 輟…【已】 巴:n.a. 楚自漢中 南有巴 黔中[「史記」卷五秦本紀第五 秦孝公] 巳:通用 【追記-3】 一般的には、十干は序数と見なされる。「爾雅」でも、<歳名><月名>として用いられているから、甲 乙 丙・・の字義を1st 2nd 3rd・・・と見なすことになる。しかし、元義が序数であるとの見方は確定的とは言い難い。月令で考えればわかるが、正月を何月にするかは、王朝がよって立つ宗教観で決まるからだ。つまり、如月=二月とは、正月の次の月(序数)の意味なのか、絶対的天体暦としての2月(固有名)か、要検討ということ。 甲乙丙・・・が、生まれて消滅する一連の順列的文字を意味するなら、これは序数ということになるが、それぞれの文字が互いに無縁で、字義自体も脈絡なく拡散しているとしたら、元義を序数と見なすのは無理がありすぎ。 甲…【狎】 昌 敵 強 應 丁…【當】 丁丁 嚶嚶…【相切直】 蕧 盜庚 倉庚 商庚 倉庚…【黧黃】 弘 廓 宏 溥 介 純 夏 幠 厖 墳 嘏 丕 奕 洪 誕 戎 駿 假 京 碩 濯 訏 宇 穹 壬 路 淫 甫 景 廢 壯 冢 簡 菿 昄 晊 將 業 蓆…【大】 允 任 壬…【佞】 ≪釋天 第八≫ 穹蒼蒼…【天】 春 爲蒼天 夏 爲昊天 秋 爲旻天 冬 爲上天 ━━四時 春 爲靑陽 夏 爲朱明 秋 爲白藏 冬 爲玄英 四氣和謂之玉燭 春 爲發生 夏 爲長嬴 秋 爲收成 冬 爲安寧 四時和 爲通正 謂之景風 甘雨時降 萬物以嘉 謂之醴泉 ━━祥 穀不熟 爲饑 蔬不熟 爲饉 果不熟 爲荒 仍饑 爲荐 ━━災 大歳在甲曰:閼逢 在乙曰:旃蒙 在丙曰:柔兆 在丁曰:強圉 在戊曰:著雍 在己曰:屠維 在庚曰:上章 在辛曰:重光 在壬曰:玄黓 在癸曰:昭陽 ━━歳陽 大歳在寅曰:攝提格 在卯曰:單閼 在辰曰:執徐 在巳曰:大荒落 在午曰:敦牂 在未曰:協洽 在申曰:涒灘 在酉曰:作噩 在戌曰:閹茂 在亥曰:大淵獻 在子曰:困敦 在丑曰:赤奮若 載…【歳】 夏曰:歳 商曰:祀 周曰:年 唐虞曰:載 ━━歳名 月在甲曰:畢 在乙曰:橘 在丙曰:修 在丁曰:圉 在戊曰:厲 在己曰:則 在庚曰:窒 在辛曰:塞 在壬曰:終 在癸曰:極 ━━月陽 正月 爲陬 二月 爲如 三月 爲寎 四月 爲余 五月 爲皋 六月 爲且 七月 爲相 八月 爲壯 九月 爲玄 十月 爲陽 十一月 爲辜 十二月 爲涂 ━━月名 南風謂之凱風 東風謂之谷風 北風謂之涼風 西風謂之泰風 焚輪謂之穨 扶搖謂之猋 風與火爲庉 迴風爲飄 日出而風爲暴 風而雨土爲霾 陰而風爲曀 天氣下 地不應曰:雺 地氣發 天不應曰:霧 霧謂之晦 螮蝀謂之雩 螮蝀…【虹】 蜺爲挈貳 弇日爲蔽雲 疾雷爲霆霓 雨霰爲霄雪 暴雨謂之涷 小雨謂之霢霂 久雨謂之淫 淫謂之霖 濟謂之霽 ━━風雨 壽星…【角亢】 天根…【氐】 天駟…【房】 大辰…【房心尾】 大火謂之大辰 析木謂之津 箕斗之間…【漢津】 星紀…【斗牽牛】 玄枵…【虚】 顓頊之虚…【虚】 北陸…【虚】 營室謂之定 娵觜之口…【營室東壁】 降婁…【奎婁】 大梁…【昴】 西陸…【昴】 濁謂之畢 咮謂之柳 柳…【鶉火】 北極謂之北辰 何鼓謂之牽牛 明星謂之啓明 彗星 爲欃槍 奔星 爲彴約 ━━星名 春祭曰:祠 夏祭曰:礿 秋祭曰:嘗 冬祭曰:蒸 祭天曰:燔柴 祭地曰:瘞薶 祭山曰:庪縣 祭川曰:浮沈 祭星曰:布 祭風曰:磔 是禷 是禡…【師祭】 旣伯 旣禱…【馬祭】 禘…【大祭】 繹…【又 祭】 周曰:繹 商曰:肜 夏曰:復胙 ━━祭名 春獵 爲蒐 夏獵 爲苗 秋獵 爲獵 冬獵 爲狩 宵田 爲獠 火田 爲狩 乃立冢土 戎醜攸行 起大事 動大衆 必先有事乎社而後出 謂之宜 振振闐闐 出 爲治兵 尚威武也 入 爲振旅 反尊卑也 ━━講武 素錦綢杠 纁帛縿 素陞齌于縿 練旒九 飾以組 維以縷 緇廣充幅 長尋曰:旐 繼旐曰:旆 注旄首曰:旌 有鈴曰:旂 錯革鳥曰:旟 因章曰:旃 ━━旌旃 ⏩続 ![]() (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |