■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[17r釋鳥]■■■ 以下のどれに当たるか位は述べておきたい。ここらを曖昧にしておいて、鳳凰の原初モデル鳥云々も無いだろうし。 ①山の[主]奇(怪 or 異)鳥の類 ②[山懐]在住部族トーテム(キメラ偶像)系 ③部族統合標章 ④抽象化された神鳥(孔子代替偶像) この場合、ポイントは<崑崙>の扱い方。 「爾雅」は極めて淡泊で、地名紹介に徹している。鳳凰との関係を示唆する記述は無い。・・・ 西北之美者 有崑崙虚之璆琳琅玕焉━━"九府" 觚竹 北戸 西王母 日下 謂之"四荒"@釋地 "丘" 一成爲敦丘 再成爲陶丘 再成鋭上爲融丘 三成爲崑崙丘 @釋丘 河出崑崙虚色白 所渠并千七百一川色黃 百里一小曲 千里一曲一直━━"河曲" @釋水 一方、「山海經」は対極的記述。源流域に存在しているとの記載は詳細だが、山系を語ることはない。地誌的に説明していると云うより、いかにも到達し難きトンデモない地として描いていると言った方がよさそう。記載の中心はあくまでも神や動植物の存在。鳳皇&鸞鳥が目立つ。 他の山の書き方も、地勢上の繋がりを感じさせないし、崑崙讃的まとめ方をしている様に映る。・・・ --- 「山海經」海内西経 --- 《流沙》西 ▲昆侖山@西胡西 (海内昆侖之虚:方八百里,高萬仞) <帝之下都>・・・八隅に巖 ∬赤水が際 [羿の仁が莫いと巖の岡は上れない。] 百神 ∬赤水⇒南海厭火東 ∬河水⇒渤海,⇒海外,⇒禹所導▲積石山 ∬洋水 ∬K水⇒南入海@羽民南 ∬弱水 ∬青水⇒過畢方鳥東 <昆侖南淵>深三百仞 9人面首虎類神獣開明獣・・・守九門 <開明西> 鳳皇、鸞鳥・・・戴蛇踐蛇 鸞…神靈之精 赤色 五采 雞形 鳴中五音 頌聲作則至 (周成王時氐羌獻鸞鳥)@「說文解字」 膺、赤蛇 …<膺 身…【親】>@釋言 <回毛在膺 宜乘>@釋畜[馬屬] <開明北> 視肉→📖 鳳皇、鸞鳥・・・戴瞂 離朱 <開明東> 巫彭、巫抵、巫陽、巫履、巫凡、巫相、 夾窫窳之尸・・・操不死之藥 窫窳・・・蛇身人面 (←殺←貳負臣) 三頭人・・・服常樹 <開明南> 樹鳥・・・六首 蛟、蝮、蛇、蜼、 豹、 誦鳥、鶽、 視肉 ▲蛇巫之山 [人]操柸・・・東向立 ▲龜山 西王母・・・梯几 戴勝 三青鳥・・・取食for西王母@昆侖虚北 --- 「山海經」大荒西経 --- 西海之南 流沙之濱 赤水之後 黒水之前▲大山:崑崙之丘 [人面]神・・・虎身有文有尾皆白 弱水之淵@山下・・・環状 ▲炎火之山@外側・・・投物輒然 [人]西王母・・・戴勝虎齒豹尾 穴住居 [萬物盡存在する山である。] (--- 「山海經」南山経 --- 鳳皇@▲丹穴之山▲南禺之山)
・・・鳳皇はもっぱら崑崙の鳥と見られていたのでは。その崑崙だが、最古の文明地、現代からすれば四川盆地(成都〜重慶)域で生まれた地名で、大河源流の西方奥地の山岳を意味していたと見るのが自然。神々しいものの、それは恐怖感の裏返しでもあり、西王母もそうしたパワーの象徴だっただろう。 こうした観念は、儒教的中華帝国の祭祀とは相容れない訳で、荒々しい西王母ではなく、天子との親和性を発揮する姿に改変する必要があるし、鳳凰も崑崙の鳥ではなく王朝政治体制を寿ぐ象徴へと改造せざるを得なかった筈。 (帝の下都とされており、中華帝国の天子とは無縁な地とする訳にはいくまい。怪なる生き物とは、降りた帝の守護役であり、無視すれば厄介なことになる。できる限り「山海經」を遠ざけるのが方針とはいえ、焚書にして消滅させるのは無理と踏んだ、儒教的合理主義からすればこの方針しかなかろう。) 古代文明については、最近の出土品以上の情報を欠くが、「山海經」からすれば、崑崙で描かれているのは山經の部族トーテムとは次元が違っている筈。崑崙が持つ霊力を示しているのだから。これは、各部族に属す巫の必須の知識でしかない。それが、この地の紐帯となっていたと思われる。 ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME | ||||||||||||