■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[明朙]■■■
正確に語るなら、明と朙は異体字の関係ではなく、別字である。しかし、小篆創成段階でほとんど同義とされているというのが「說文解字」の見方だろう。
甲骨にも両文字が存在していたようだし。

 :n.a.🅱㊎🆂
  
 :照 🅱㊎🆂

#231【日】🅱㊎🆂:實 太陽之精不虧[囗一 象形]
#237【月】🅱㊎🆂:闕 大陰之精[象形]  (→𡇹)
#239【朙】🅱㊎🆂:照
#240【囧/𡆾/𡇇/𭍛】🅱㊎🆂:窻牖麗廔闓明
          [象形 (賈侍中說 讀與明同)]

「說文解字」では、"明"は項目に上がっていないが、釋義には数多く登場しており、漢代に於いては、"明"に"朙"の字義が包含されてしまっており別字として収録しないことにしたと書いているようなもの。
📖
 晤 旳 晄 曠 曉 昈 ラ 晟 映 旦 朗 焞 炳 焯 照 光 …明
 昧 暏 マ…旦明
 暗:日無光
ただ、「爾雅」には"朙"が収載されていないので、どうしても<明=朙>感覚に陥ってしまう。"朙"の雅語扱いを忌避したと考える方が自然だと思うが。・・・
  功 績 質 登 平 考 就…【成】 @釋詁
  明…【朗】 蠲 茅 翌…【明】 @釋言
  明明 斤斤…【察】 @釋訓
  夏爲朱明  明星謂之啓明 @釋天
  :n.a.
  緝熙 烈 顯 皓 熲…【光】  覲 サ 覿…【見】 @釋詁

・・・こうした見方は白川論に反する点があるので注意されたい。(但し、"明"の独自性を捨象する姿勢は「說文解字」と同じ。)

勿論、合字以前の原義について、異なる訳ではない。
 日:Sun
 月:moon
 囧:window
合字の字義解釈が違うというだけのこと。・・・
 明{日+月}:"陽/月"光が天から降り注ぎ"明るい"。
 朙{囧+月}:月光が窓から差し込み"明けた"。
両文字の概念は根本的に異なっているのでは。
   窓から月光が入りこむことを明という。
   卜文・金文の字はすべて囧に従う。@「字通」
   (甲骨に{月+日}字形がある。)


対照文字も見ておこう。・・・

 :n.a.🅱㊎🆂
  
 :日無光 🆂         ⇔𣈇 闇[:閉門]

日  #231🅱㊎🆂
│         暗:日無光[日+音]
│         昏:日冥[日+氐省 氐者…下]
├┬┐
旦││#232🅱㊎🆂
倝││#233
㫃││#234🅱㊎🆂
 冥│#235🆂:幽日數十 十六日而月始虧幽 ⇔𠖇/暝
 ││    dim[冖+日+六]
 ││       鼆:冥
 晶│#236:精光[三日]         ⇔𣇵/𦜳
  │
  月#237

・・・下手に考え込んだりすると、哲学的境地にひきこまれかねない字体と言えよう。倭語からすると、赤≒明でK≒暗でもあるだけに猶更。漆黒と呼ぶから、Kは色彩で、闇は光遮断の陰影の極限と見なすのが現代の常識的感覚だが、それを越えた観念を感じさせるからでもある。

Kとは、光が投入しても行ったきり戻ってこないブラックホール。色彩無き暗黒の世界だ。一方、全面針の無響壁だと、反射光が無いから真っ暗闇化。そんな現代の知識を想い起さずにはいられない。

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