■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[狼]■■■
日本犬に慣れ親しんでいると、現代生物分類学的には狼と犬の"種"としての峻別は無理ではないかという気もする。(遺伝子の発現形質上でどれだけ差異が認められるかとの観点で、果たして、どれだけ峻別できるのか、素人でも疑問を感じるからだ。…犬とは、単に、特定形質を顕著にさせただけとの主張に有効な反論できないのでは。)
外見上では、細身で前足の位置が若干後ろ側でしかない。常識的には、持久走向きな体形ということになろうか。

これだけの目視的差異だが、古代人からすれば、全く異なる種であることは常識だったと考えるべき。
それが「爾雅」に記述してある獸迹。

  狼…其跡 迒

足跡は極めて特徴的で、結構大きい。(泥地や深雪でも足をとられにくいということか。)逃げる鹿は迅速実現のために小さいから、対照的。しかも、方向が定まれば乱れることはほとんどなく、極めて規則正しく、前後の足跡は重なる。

・・・「說文解字」は叙で、漢字の由緒とは鳥の跡と紹介しているので書いてみたのだが。

はてさて、実際はどうなのだろう。・・・

  #377≪犬≫【狼】🆂
…牡 獾 牝 狼 其子 獥 絶有力 迅@釋獣
≪犬≫
:犬屬 𦝫已上黃 𦝫已下K 食母猴
:似犬 銳頭 白頰 高前 廣後
:如狼 善驅羊
:狼屬

「字通」によれば、甲骨文字は偏と旁が反対で、ケモノ旁に、━入りの○の上下に||が付いた、多少小さめの偏の構造。
これが"良"に当たるらしいが、風箱(不良穀やゴミの分別器具)、と認定している。
目から光線が拡がっている様な図形にも見えるが、足跡の形状ではない。

素直に読めば3つの特徴とも言えそうだが。
  ①緊張感溢れる立耳
  ②眼光鋭き目
  ③外見での特徴は無いが、特化能力発揮の足
  ○非表示(下垂尾)
なんといっても犬との違いは眼差しの鋭さ。動物園で見ればこれこそ"蒼き"狼の輝きと感じる筈。(じっくり相対することで、こちらの存在を認知されると、突然に敵対的な視線を浴びることになる。立派な環境での飼育でも、群れが崩壊していることが一目瞭然な場合は、これは無理。)
凶暴にして残忍な上、寝泊まりする場所で食い散らかして去っていく侵略軍のイメージが重なっている筈だから
📖「酉陽雑俎」狼糞譚、農作業の道具を同音として用いるとは思えないということで、書いてみただけ。(遠吠え音は機械的音とは違うだろうし。)

【ご注意】良を形聲の音符と見なしたところで、意味は薄い。「說文解字」の収録文字の大半が該当するのだから。…理系論文なら、即座に、同音の文字はどれだけあるのか、そして、それらのうち同様に使われる異字体の有無を尋ねられる。同時に、当該文字選定理由を記載するよう求められる。その上で、同音と推定される文字群には関係性があるのか判明していなら、レビュー通過は無理。

INDEX   ------------------------------------------------------
「說文解字」検討  「爾雅」検討  📖古事記を読んで

 (C) 2025 RandDManagement.com  →HOME