■■■ 「說文解字」 卷十-鹿  ■■■
鹿 

「古事記」の鹿文字については、すでに眺めて来た。
    太安万侶:「漢倭辞典」🦌  鹿の扱いは至って淡泊

倭国では猪鹿は祭祀的狩猟の対象。
    猪の扱いで見えて来る動物観

𢊁(似山牛 一角)は、鹿と字体が似ている点があるから、麠(大鹿 牛尾一角)や麢(山羊而大者 細角)の雰囲気を持つ動物ではなかろうか。ここでの山羊とは、超高山岳部棲息で、(鹿と違って落角しない)牛属動物の大陸カモシカ/氈鹿(鬣羚)と思われ、同様に一角ではないが、山牛とすればターキン/塔金(羚牛)ではないかと推測する。(箱舟排除の暴虐な二角獣を、聖書の民は一角獣と見なしている。各国語翻訳はたいていは野獣になってしまう。)

動物表示文字の同定は情報が少なく突飛な解説だったりするので困難を極める。

"麤"の次部首である"㲋"(獸 似兔 青色而大)もその典型。
驚きの青色兔。哺乳類が青色色素を持つことなどおよそ考えられず、青色鳥の様な構造発色ということになろうが、毛モノでは無理だろう。(マンドリルの映像には驚かされたことはあるが例外的。)
ただ、倭での"アオ(青)"を考えると、驚くほどのことはない。現代色覚通念の<赤 ><白(明) K(暗)>と全く異なり、color名ならgreenやgreyに相当しており、blueとは違う概念だからだ。(青と緑の色覚上の区別が可能な動物種は滅多にいないから、自然発生的。)その感覚での古伝承であれば、青藏高原棲息の50cm程度の高原兔/灰尾兔ではなかろうか。

│ 巻九

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⑦⑦⑦⑦⑦⑦⑦ │
㣇彑豚豸𤉡易象 │ 巻十
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        ①①①①①①
        馬𢊁㲋犬鼠能
         │││ │
         ②
         鹿
         │

鹿:獸[象頭角四足之形 鳥鹿足相似 匕]
:牡鹿[鹿+叚]聲以夏至解角
:大牝鹿[鹿+粦]聲
𪋐:鹿麛[鹿+耎]聲
𪋝:鹿迹[鹿+速]聲
:鹿子[鹿+弭]聲
:鹿之絕有力者[鹿+幵]聲
:仁獸 麋身牛尾 一角[鹿+其]聲
:牝麒[鹿+吝]聲
:鹿屬[鹿+米]聲麋冬至解其角
:牝麋[鹿+辰]聲
𪊨:大麋 狗足[鹿+旨]聲
:麞[鹿+囷省]聲
:麋屬[鹿+章]聲
:麋牝者[鹿+咎]聲
:大鹿 牛尾一角[鹿+畺]聲
:麠屬[鹿+㶾省]聲
:麋屬[鹿+主]聲
:狻麑 獸[鹿+兒]聲
:山羊而大者 細角[鹿+咸]聲
:大羊而細角[鹿+霝]聲
𪊧:鹿屬[鹿+圭]聲
𪋧:如小麋 臍有香[鹿+䠶]聲
𪋮:似鹿而大[鹿+與]聲
:旅行 鹿之性 見食急則必旅行[鹿+丽]聲
:牝鹿[鹿+牝省]
     

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