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2008.10.29
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芹料理のお勧め…

 セリは草冠に斤という漢字。
 包丁で切るということなのだろうか。


 常備する野菜として、ニンジン、ジャガイモ、タマネギの3つをお勧めした。
  → 「食材調達について」 [2008.9.24]
 もう少し、この選択の意義を書いておこう。

 ご存知の通り、ニンジンはセリ科、ジャガイモはナス科、タマネギはユリ科である。科の名前はともかく、それぞれ独特の特質がある。

 先ずナス科だが、ジャガイモの芽に毒があるように、親戚のナスやトマトにも毒がある。これが一大特徴。他の動物が食べないものを、ヒトだけが頂こうという目論見の食材だろう。なかなか優れた選択である。人類の英知であるから、ジャガイモだけでなく、この類の食材は大いに利用したいものだ。
 ユリ科といえば、葱、韮、といった臭いが強い香味野菜が有名である。活発化させる力がある素材だから、この類も大いに利用したい。ただ、問題は食べすぎると臭さが残ること。量を摂るなら、会合など予定していない時に限る。ところか、玉葱だけは、熱処理すれば臭いが消える。しかも、大量に食べることができるから、秀逸。
 そして、もう一つが、セリ科だ。この特徴は強い独特な香り。しかも、これだけ強い香りがあるのに、灰汁は強くなく、生で食べられないこともないのである。
 ただ、この臭いが嫌いな人も多いようで、ニンジンはこの香りを弱める方向に改良が進んできた。
 この香りを楽しむことこそ、ヒトたるゆえんかも知れないのに、残念なことだ。と言っても、ニンジンは馬や麒麟も好物のようだが。

- 芹科の野菜 -
人参 >>>
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三つ葉 >>>
明日葉 >>>
香菜[シャンツァイ]
(コリアンダー)
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パセリ >>>
セロリ >>>
浜防風 >>>
Dill(蒔蘿) >>>
 これらの3つの科に属する野菜の利用はお勧めである。
 と言う事で、そのうちのどれを対象に料理を考えてみようか迷ったが、とりあえずセリ科の葉野菜を考えてみたい。
 そうなると、一番自然なのは、ニンジンの葉の利用。しかし、茹でて“胡麻和え”モドキで試すとわかるが、余りに硬すぎ、これはお勧めできかねる。
  → 「野菜の低温炒めの話」 [2008.9.24]  【もしも、気に入ったら、さらにお遊び。】
 セロリも葉の利用は難しいようだし。

 そうなると、三つ葉、芹、アシタバあたりが候補となる。
 だが、アシタバはお店に無いことが多いし、芹も切れていたりする。三つ葉だけは何時も入手できるので、これを選ぶことになりがち。しかし、この三つ葉、香りが薄いものが主流になっているのが問題。これでは、目的である香りを愉しむ趣旨から外れてしまうからだ。食べたいのは以下の(1)なのである。
  (1) 畑の地植モノ“根三つ葉”
  (2) 水耕栽培の極細モノ“糸三つ葉”
  (3) 水耕栽培の普通品“青三つ葉”
  (4) 日光遮断の白モノ“切三つ葉”

 それなら芹の方がよいのでは、と思い立った。
 芹なら、水耕モノでもは香りが立つし。それに、芹は歴史を感じさせる点も嬉しいではないか。

   あかねさす 昼は田賜びて ぬばたまの
     夜のいとまに 摘める芹これ   葛城王[天平元年](1)

 と言う事で、芹料理をお勧めしたい。
 鍋料理に使うとか、味噌汁に加えるというサブの使い方ではなく、芹がメインの料理に挑戦しようということ。
 以下、簡単に素人の考え方をご紹介しておこう。言うまでもないが、“芹”を“根三つ葉”に換えて頂いても結構である。

■■1■■ 保存
 ・新聞紙で全体を包む。(光遮断)
 ・これを保存袋に入れる。(乾燥防止)
 ・冷蔵庫の野菜室で保管する。(低温保管)
■■2■■ 調理の準備
 ・根の部分を切って捨てる。
 ・冷たい水で葉をほぐしながらよく洗う。(傷んだ部分をちぎって捨てる。)
■■3-1■■ お浸し
 ・塩をひとつまみ入れた沸騰水で、極く軽く茹でる。
  (先ずは、根の方を入れ、それから全部を入れる。茹ですぎないこと。)
 ・水をかけ一気に冷ましたら、よく水切りして、食べやすい長さに切る。
 ・すぐに冷蔵庫で冷やす。(食感がよくなる。)
 ・出汁に醤油を加えたかけ汁を作って冷やしておく。
 ・食卓に出す直前に、芹をよく水切りした上で、汁をかける。
 ・好みで削り鰹節をかける。
■■3-2■■ 和え物
 ・軽く塩茹でし、水切りの上、食べやすい長さに切る。
 ・調味料類をよく混ぜ、合わせる材料をつくる。
   〜白和え〜
     豆腐(水をよく切る)、白胡麻、白味噌、砂糖(あるいは味醂)
   〜胡麻和え〜
     黒胡麻、醤油、砂糖(あるいは味醂)
   〜生姜和え〜
     すりおろし生姜、白出汁、味醂
   〜荏胡麻[じゅうねん]和え〜 胡麻と類似の使い方
 ・好みで混ぜモノを食べやすい形に整える。
  (炒り子、糸蒟蒻[沸騰茹で処理後]、油揚[湯通しか軽く焼いた後]、数の子[戻してあるもの]、等)
 ・茹でた芹と合わせ味噌をよく絡める。
■■3-3■■ 煮物/肉鍋
 ・芹と肉を食べやすい長さに切る。
 ・醤油を鍋にいれ温めてから、肉を入れる。
 ・必要なら、味醂を入れて味を調整する。
 ・肉に熱が通ったら、芹を入れ軽く熱を通す。
■■3-4■■ 肉野菜炒め
 ・ジャガイモを千切りにして水でよく晒す。(足りないとくっつき合う。)
 ・芹をジャガイモの長さに揃えて切る。
 ・香りが弱い油を少量引いたフライパンで挽肉を焦げないように火力を調整して炒める。
  (挽肉でないと、野菜の食感が弱まる。)
 ・肉に熱が通ったら、出汁を加え、塩で味を調える。(煮込む必要はない。)
 ・強火にして、ジャガイモを加えて短時間炒める。(熱を通し過ぎない。)
 ・さらに芹を加え軽く炒める。(熱を通し過ぎない。)
 ・好みで胡椒をふる。
■■3-5■■ 卵とじ
 ・芹を食べやすい長さに切る。
 ・鍋で出汁を煮立て、醤油と味醂を加えて味を調整する。(煮立たせない。)
  (砂糖無しの方が芹の味がよくわかる。)
 ・芹を入れ、熱が通った感じがしたら、かき混ぜた卵を流し入れ火を止め、蓋をする。
  (余熱で蒸して、卵を半熟にする。)
 ・卵なので、鶏肉[ササミ]を入れるのも悪くはない。
  (モモ/ムネ肉なら芹でなく玉葱をお勧めしたい。)

 --- 参照 ---
(1) 万葉集20巻4455  http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/AnoMany.html
(包丁のイラスト) (C) 素材のプチッチ http://putiya.com/


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