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オジサンのための料理講座 ←イラスト (C) SweetRoom 2009.6.10 |
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素人が教授するハーブ入門[4:ハーブブレンド]…癒される よりは食い気の ハーブかな ハーブの芳香は食欲を誘う。
と言うと、「ブーケガルニ」かと考える人が多いだろうが、違う。 −−−−− エルブ・ド・プロヴァンス −−−−− 勉強するなら、“Herbes de Provence[エルブ・ド・プロヴァンス]”。文字通りプロヴァンス地方のハーブミックスだ。 ブレンドのルールは無いようで、市販製品の配合内容はマチマチ。もともと、家庭毎に、場の状況に合わせて好きなものを使っていたということだろう。 とはいっても、何が入っているか気になるので、素人的に表にしてみた。様々なハーブが混ざっているが、普通は、5〜6種類のようだ。沢山の種類を入れれば味が深まるというものではないだろうから、そんなところか。(ただ、様々な軽快な香りが感じられると愉しいが。)見ればわかるとおり、紫蘇系統ハーブが主体で、これに芹系が加わるようだ。 おそらく、魚介料理なら、チャービル、パセリ、ディルを加えることになるのだろう。 本来は、フレッシュハーブと乾燥ハーブを混ぜて使うのだろうが、滅多に使わない初心者にそんな芸当は無理。それに香りのバランスが悪くなりかねない。 乾燥品だけにするしても、5〜6種類揃えて混ぜるというのは無駄が多すぎるかも。少量使うだけで終わるものが出るので、結局のところ、捨てることになりかねないからだ。(開封すると、数ヶ月で香りがとぶものが多い。) これではもったいないから、「エルブ・ド・プロヴァンス」配合品を購入するのがよかろう。(タラゴンやベイ・リーフが入っていないものがよい。) 料理は簡単なもので試そう。 ■■■ 「エルブ・ド・プロヴァンス」入りフォッカチャ ■■■ フォッカチャはイタリアの膨らませないバター無しのパン。 ハーブはプロヴァンス地方ということで、まぜこぜ。 まあ、単なるハーブブレンドパンと考えればよい。 ハーブの香りを楽しむには最適。それに簡単に作れるし。 ・強力粉、砂糖/塩、オリーブオイル、ドライイーストを必要量用意する。 (沢山作らない。) ・ぬるま湯で混ぜて塊にまとめる。 ・「エルブ・ド・プロヴァンス」を振り入れ、適度に練る。 ・小1時間放置し膨らんだところで、パンの形態に小分けする。 (ここで捏ねない。) ・少々放置してからオーブンで焼く。 (パンに油を塗ってもよい。) ・熱いうちに頂く。食べ方は好き好き。 (焼けたらオーブンからすぐ出すこと。) ■■■ 「エルブ・ド・プロヴァンス」の鯖のグリル ■■■ ハーブご教授シリーズ第一回目で、「香草の鰯フライ」と「鯵の香草グリル」をお勧めした。それはハーブ単品だった。ブレンドとの違いを際立たせるには、青魚臭さが際立つ「鯖」が一番。 ・鯖の切り身に、塩・胡椒、「エルブ・ド・プロヴァンス」を振る。 (冷蔵庫で、気持ち、しばらく置く。) ・フライパンに、軽くオリーブオイルを引いて焼く。 (さっぱり感を得るために大蒜は使わない。もちろん、使っても美味しいが。) ・柑橘系の絞り汁やバルサミコなど好みの風味でいただく。 ----様するに、本格的ハーブソルトとして使用する訳。 −−−−− ブーケガルニ −−−−− さて、ここから、もう一方進んでおく必要があろう。ご存知、Bouquet garni「ブーケガルニ」だ。 応用はポトフが有名。まあ、肉料理用がメインと考えるべきもの。 以前、ハーブが入らない“ポトフもどき”では、スープの学びにならないとの話をしたことがあるので、多少、繰り返しになる。 → 「仏蘭西で完成されたスープの技を学ぶ」 [2008.10.1] 何故、そんなことにこだわったかと言えば、高価な食材を使うだけの“ポトフもどき”を真似て欲しくなかったから。廉価な肉でも、ハーブの効果で美味しくなるからこそ、学ぶ価値がある。と言うより、安価な食材にもかかわらず、ハーブを使って調理すると、高価な食材では出せなかった、抜群の美味しさが堪能できることもある。この嬉しさが文化ではないか。 普通、ブーケガルニはパック品を購入する。しかし、勉強のため、自分で試してみるのも悪くないのでは。 具は、ソーセージ、ジャガイモ、人参、玉葱だけとする。これを、ブイヨンを使わずに煮込むことで、ハーブ味を知ろうという企画。 うっすらではあるが、ソーセージから肉の旨み成分が湯に溶け出すからなんとかなるということ。(日本人なら、薄い旨みでも十分堪能できる。)そして、ソーセージに入っているハーブに期待して、鍋に肉用のスパイスを入れずに済まそうという魂胆。 実に、お手軽料理だが、目的は深遠。自分ブレンドのブーケガルニの香りをじっくり味わおうというのだから。 さて、そのブーケガルニだが、どんなハーブをバンドルするかの解説を見ると、色々あるようだ。それぞれの家庭の隠し味があるとの説明も少なくない。これでは初心者は往生してしまう。それこそ、「エルブ・ド・プロヴァンス」とどこが違うの、ということになりかねまい。 ということで、整理してみた。 (1) 臭みを消す2種の“乾燥”ハーブ ・thym[タイム]+laurier[ベイ・リーフ/月桂樹の葉] ・この2つは必須。特に、肉にはベイが鉄則。 ・乾燥品であること。(その方が効果が高いからだ。) ・尚、月桂樹の葉は変色したらゴミ行き。 (拙宅では、生葉を乾燥させている。保存が悪いと褐色になる。) ・芳香用でないから、役割を終えたらすぐに出す。忘れると失敗。 (2) 愉しみの素である芳香を発する芹系ハーブ ・“生”ハーブが望ましい。 ・最適はpersil[パセリ]: 茎だけで十分。 ・望ましい追加品:セロリ ・さらなる複雑化(オプション): コリアンダー、マジョラム、フェンネル (3) さらに好みの香りを追加 ・必須ではない。。 -「エルブ・ド・プロヴァンス」定番: ローズマリー、セイボリー -紫蘇系: オレガノ、バジル、セージ、ディル、等 ・特徴的な香りがあるので好まれるものもある。 -ヨモギ系のestragon[タラゴン] Tarragon [2009.5.26] >>> -野菜だが、ネギ系のpoireau[リーキ] ・単純に種類を増やすとよくなる訳ではない。 (4) 特定機能の追加品(初心者は避けよう) ・どうしても色を付けたい場合もある。 -safran[サフラン] ・ニンニク無しではつまらぬという人もいよう。 ・肉の雑味を弱めたいなら、肉向けの香料を。 -ハーブではないが、クローブ、ナツメグ、シナモン ・魚の鍋風味を追求したいなら工夫が必要である。 -紫蘇系ハーブの強化 -生姜、葱類の追加 -生でなく、香りが強い乾燥ハーブも ・柑橘系の風味が欲しい。 -乾燥レモン、オレンジピール おわかりだろうか。初心者は、乾燥ハーブとしてベイ・リーフ(ローレル)とタイムの2つ。さらに、生野菜のパセリとセロリを使おうということ。他になにか乾燥野菜のホール品があったら少量加えたらよい。香味用だから、煮込んだら、そのままにせず、すぐに取り出すこと。 ポトフで試して味がわかったら、肉の煮込みを作ってみよう。 ■■■ 牛もも塊肉のビール煮込み ■■■ ・肉を鍋で軽く炒める。 ・肉を皿にとり、同じ鍋でタマネギを弱火で時間をかけて徹底的に炒める。 ・肉を戻してビールを注ぐ。 ・インスタントブイヨンとブーケガルニを入れ弱火で煮込む。(最低2時間) ■■■ 豚ロース塊肉の赤ワイン煮込み ■■■ ・肉を鍋で軽く炒める。 ・塩・胡椒を肉にふり、赤ワインを注ぐ。 ・ブーケガルニを入れ弱火で煮込む。(最低2時間)
ついでに、もう一つ、情報だけ提供してこの項を終わろう。 それは、“Fines-Herbes[フィーヌゼルブ]”。 表のようなハーブが持つ芳香ブレンドを楽しむもの。もちろん、この他のハーブも加えることもある。 文字通り、微塵切りハーブである。(包丁は使わず、手で千切るべき。)従って、ソースに生の香りをつけるために使うのが一番適切だと思う。しかし、生を揃えるのは簡単でないから、無理に試す必要はなかろう。(乾燥ブレンド品も販売されているが、タラゴンの香りが強烈なものが多く、初心者にはお勧めできない。) もし、フレッシュなハーブが揃ったら、先ずは、卵焼きに混ぜて食べてみたらよいだろう。イタリアンパセリ(平葉パセリ)とチャイブ(細葱系)を沢山入れればよいだけ。当然ながら、縮れ葉パセリとアサツキで代替できないこともない。(尚、チャービルとタラゴンは少な目に。くどいが、特に後者は効くから極く少量に抑えること。) --- 参照 --- (ハーブの情報源) Wikipedia-French (Bouquet garniの写真) [Wikipedia] (C) Rainer Zenz http://fr.wikipedia.org/wiki/Fichier:Bouquet_garni_p1150476_extracted.jpg 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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