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2009.10.7
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平成版洋食サラダ…



 サラダ好きは、自分が野菜好きと考えていたりする。
 傍から見ると、そうは映らないのだが。

↑ (C) Hitoshi Nomura NOM's FOODS iLLUSTRATED http://homepage1.nifty.com/NOM/

先ずは、つまらぬお話から。
 真っ暗な駅前で、山から帰るために、夜汽車待ちをした時代があった。
 そんな人を対象にしているのか、一軒だけ呑み屋が灯りを点しており、入ったことがある。他のお客さんゼロ。
 オニオンスライスはないか、と聞いたら、都会ではないからできないよとのお返事じ。単に玉葱を超薄切りにして、軽くブランデー風味付けをして、醤油をかけるだけのものだせ、と言ったら、ふん、そんなもの食べるのかいということで、話題が変わったのだが、暫くしたら丼一杯の玉葱の薄切りがでてきた。ブランデー風味はついてはいなかったが、美味しかった。
 お礼を言ったら、大将が一言。こんな、ちっとも美味しくないものを、よく食べる気になれるものだ、とのこと。
 食習慣とは不思議なものである。

自製ドレッシングもよいが、市販品も色々あるし。
 オニオンスライスの話をしたいのではない。サラダを考えていたら、たまたま思い出しただけ。古いことが記憶の底から浮かぶようになると老人化の兆候と言われるから恐ろしいが、まあ、レシピに頭を使っていれば、なんとかなるかな。
 サラダのコンセプトはフレンチと言われているが、基本はシンプル。葉野菜等にドレッシングをかけるだけ。ただ、レストランでは凝ったドレッシングや、素材に拘ったものが登場したりするから、結構重要な料理と見なされているようだ。
 家庭では、出来合いのドレッシングを購入することが多いようで、常温だけでなくチルド品もあるし、価格帯は広く、様々な種類の製品が棚にあふれかえっている。
 拙宅では、材料毎の計量目盛りがついたガラス瓶を使って自製する。まあ、器具などなくても、酢+油+塩+スパイスを瓶に入れて徹底的に振り、よく混ぜるだけでできるのから、目分量で味を見ながら作ってもよいのだが、バラエティもあるから、レシピの備忘録としては重宝するというところ。そのお陰か、失敗はないし。
 ただ、スパイス類の消費量が少なすぎると、古くて香りが悪いものを使う羽目に陥るのが問題ではある。

サラダを勉強しても、面白いものではない。
 美味しいサラダの作り方といっても、そうたいしたものではない。廉価な“今日のサラダ”をメニューに並べているビストロタイプの店で一度話をきくとよいかも。もっとも、シェフが暇そうにしている時はなかなかないが。多分、次のような答えが返ってくる。
  ・葉野菜はバラシてよく洗う。
  ・しばらく冷水に漬けておく。
  ・取り出したら、水分をしっかり取り去る。
  ・葉野菜を手でちぎり、ボールに入れる。
  ・他の野菜や具を加えて、軽く混ぜる。
  ・ドレッシングをスプーンで満遍なくふりかける。
  ・空気が含まれるように、冷えているサラダ皿に盛る。
  ・トッピングしたら、皿の縁の汚れを拭き取る。
 考えてみれば当たり前のことばかり。ボーとしていると手抜きになるが、まあ、それでもドレッシングの味が気に入っているなら、それなりのものができあがる。従って、こんなものを何度も練習する気にはなるまい。
 お金をとるサービスなら、深い追求も意味がありそうだが。

 それに、野菜を沢山食べたいなら、フレンチのサラダを検討するより、“蒸根菜”や葉野菜の御浸しの方がよさそうだし、生ならディップ(味噌でもOK)やバーニャカウダーの方が優れていると思う。
  → 「蒸し料理の話」“蒸根菜” [2008.1.17]

油抜きのサラダもどきでも考えてみるか。
 とは言うものの、折角考え始めたので、レシピを作っておこうか。洋食のように、換骨奪胎式に、ご自分の口に合うサラダを作ってみたら面白いかな。
 オイルフリードレッシングも売れているようだから、ここは油抜きサラダ(モドキ)でいこうか。銘打って、「平成版洋食サラダ」。
 要するに、油の嬉しさで食べるのではなく、野菜そのものが持つ味を楽しもうという企画。

 ただ、ご注意頂きたい点がある。余りに工芸化された栽培品、癖なくして軟さを追求した高級品、といった野菜は不適という点。それに、ドレッシング味と野菜の口ざわりで食べていた人は、美味さをさっぱり感じない可能性が高い点。この2点を考慮した上て試されたし。おことわりしておくが、すべて、料理というほどのものではない。
  A. 生野菜1種類のみで賞味(混ぜると面白みなし)
     (1) ほのかな苦味をじっくり味わおう
     (2) 果物の薄い甘さで野菜の食感を愉しもう
     (3) 生のトマトを和風味で食べよう
  B. 加熱処理した野菜を混ぜて賞味
     (4) 焼野菜のサラダ風
     (5) 茹で野菜のサラダ風

 以下、ご説明しておこう。

■■■1■■ほのかな苦味をじっくり味わおうタイプ■■■
対象野菜は2つ。ただ、野菜だけだと寂しいので、苦味を消さないものを追加した方がよかろう。
[1] 春菊+油揚
油揚は添え物なのでなんでもよいが、厚いものは袋を裂き2枚にして薄くする。オーブントースターでカリカリに焼き千切りにして冷ましておく。
春菊はサラダ用と銘打っていない菊の香りが強いものをお勧めする。洗ってよく水を切り、冷蔵庫で気持ち水分を減らしたら、葉を手でむしり取るだけ。この葉と千切りした焼油揚をまぜ、ポン酢をかける。
おっと、これでは「洋食」にならぬか。
[2] チコリ+チーズ → 「Chicory」
[2009.10.6]
チコリは最近よく見かける。一枚づつはがし、洗った上で、水を拭き取り、冷蔵庫で冷やす。もちろん30分以下で十分である。取り出したら、包丁で一口大に切る。
これにカッテージチーズ(ブルーチーズの方がよいと思うが。)を盛り、塩・胡椒。

■■■2■■果物の薄い甘さで野菜の食感を愉しもうタイプ■■■
トンカツの付け合せには山盛りのキャベツ千切りと決まっている割には、キャベツのコールスローやザワークラウトの人気はそれほどではない。味のせいかも知れぬが、野菜を沢山取りたいなら、なかなか優れた料理だと思うが。
と言うことで、2種類の千切りサラダもどき。
[1] 千切りキャベツ+薄切り林檎
ポイントは千切りキャベツだけでも、美味しいものであること。林檎は蜜入りのような糖度の高いものは向かない。薄切りできないようなものはお話にならない。紅玉が良いが、他の品種より相当高価な筈。安価だったら、古いものだから避けた方がよい。
両者を混ぜて、レモン汁と塩・胡椒をかけるだけ。キャベツにたっぷりソースをかけないと食べれない人はさっぱり美味しくないので、そのつもりで。
[2] 千切り白菜+薄切り柿
キャベツを白菜にかえただけ。熱を通す中華料理では、日がたって乾燥した白菜ほど美味しいが、これはそういう訳にはいかないので間違えないこと。林檎と同じで、柔らかい柿は駄目である。まだ硬い取立てのガリガリに近い柿の薄切りが一番。あとは[1]と同じ。
尚、干しぶどうを加えるとさらに食べやすくはなるが、野菜の味がわかりにくくなる。

■■■3■■生のトマトを和風味で食べようタイプ■■■
これは、スーパーで売られているオイルフリーの和風ドレッシングに習っただけ。ドロリ感を与えるレシピのようだから、それなら、自家製は簡単。ゼラチンを湯で溶かし、これに味を調えた「出汁+醤油+カボス汁(柚子でもレモンでもよいが)+塩・胡椒」液を加えて冷蔵庫で冷やしたものでも十分いける。と言うか、こちらの方が食べる時のドロリ感が濃厚である。
重要なのは熟したトマトを使うこと。真っ赤になって、安売りされているものの方がよい。もちろん、皮は湯剥きする。適当に切って、固化したゼラチン調合液をかぶせるだけのこと。彩りには、三つ葉をちらすとよい。

■■■4■■焼野菜のサラダ風■■■
野菜を軽く焼いて食べようという実に単純極まる料理。焦げないように、しっかり熱を通すことさえできれば結構美味しいものである。野菜毎に熱の通り方が違うので、焼き9加減に気を使う必要はあるが、表面に焼き色がつけばよいだけのことなので熟練が必要な訳ではない。もちろん、一部、焦げ付き失敗品もでるが、廃棄すればよいだけのこと。彩りを考えて、多種を用いるとよいだろう。
焼き方は2種類あり、それぞれに向いた野菜がある。焼き加減が難しそうと感じる人は下記の[1]に留めておいた方がよい。
〜輪切り対象野菜〜
-種類- -OK- -今一歩-
芋類 山芋
里芋
馬鈴薯
薩摩芋
瓜類 ズッキーニ 胡瓜
白瓜
ゴーヤ
根菜類 人参 大根
牛蒡
蓮根
[1] すべての野菜を一気に焼く場合
胡瓜を輪切りにするような要領で、すべてを数mmの厚さに切り、フライパンに重ならないように並べて、箸で裏返しながら、焼けたら取り出し新しいものを入れて全てを焼ききる。似た形状でないと上手くいかないので対象は限られるが、そこからお好きなものを選べばよいだけのこと。但し、水っぽすぎる野菜や、今一歩の焼け具合になり易いものもある。
[2] 順次野菜を焼く場合
房状のいわゆるブラシカ類の、カリフラワーかブロッコリーを基調にするとよい。これに、パプリカかピーマンで色をつける。新鮮な細アスパラガスあれば、お勧め。大量入荷の安売り品が最高だが、古いので安売りされているものと間違うと硬くでひどい目にあう。サヤインゲン類も同じだが、こちらは取立てでなくても値段は変わらないから、見極めが難しい。カボチャの薄切りも加えたいところだが、硬いものを簡単に切る自信がない場合は、大怪我しかねないので避けること。尚、焼肉屋の「野菜焼」にしたいなら別だが、そうでないなら玉葱、人参、茸は加えない方がよいと思う。
さて、ドレッシングだが、そう呼べるような代物ではない。お好きな味噌を出汁で緩めるだけでよい。もちろん、物足りなければ、香辛料を少々加えてもよいだろう。

■■■5■■茹で野菜のサラダ風■■■
茹で野菜というと、御浸しや、胡麻和えのイメージがでてしまうが、これらを酸っぱくしても、口に合うまい。しかし、玉葱だと結構いける筈。実は、オニオンスライスで思い出したのがコレ。玉葱を千切りにして、極く軽く湯通して冷やしたものと、茹でた緑モノと混ぜ、レモンの絞り汁と塩・胡椒で食べる。緑モノとは、アスパラガスのようなもの。袖切りにしてから塩を入れた湯で軽く茹で、冷水でよく冷やす。

 --- 参照 ---
(ポテトサラダのイラスト) (C) Hitoshi Nomura NOM's FOODS iLLUSTRATED http://homepage1.nifty.com/NOM/


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