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2010.8.30 |
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政治が不況の引き金を引きかねない…〜 民主党政権はなにをしたいのか訳がわからぬ。 〜菅首相には呆れた。冗談にしても限度がある。 → 「ただただ首相交代を願うのみ 」 (2010.8.21) 戦略的方向性を打ち出す任務を帯びた主要閣僚だったにもかかわらず、沖縄の基地問題には頬かむりし続けた上、米国との軍事同盟の意義についても何の発言にしないできた。それなら、経済方針について発信したかといえば、それもさっぱり。ニュースに流れた発言と言えば、“市民の生活を護る”というもの。安全保障や経済政策に関して、何の定見も無いと見られて当たり前。 首相になっても、なんの包括的な経済指針も打ち出せない。一体なんなんだ。 しかも、政治主導と言うだけで、どう進めるのか、発言がないからさっぱりわからぬ。“友愛”首相も理解できなかったが、それ以上。ただただマスコミを通して、“空気”を読みながら、ご都合主義的な意思決定に徹しているようにしか見えない。そういった政治手法でのし上がってきたということかも。 一方、マスコミはそんな問題を棚上げにしたままで、政局話で大いに盛り上がるばかり。御蔭で、この政権は一体何をしようとしているのか、全く読めない。 そういう意味で、代表選は大歓迎である。首相が何をしようとしているのか、明らかにせざるを得なくなるからだ。 しかし、対立候補にはまいった。これで、首相不適格者の二者択一方式の選挙になってしまった。と言ってもそれは見物人の感想でしかなく、結果ははなから見えている。無記名投票だから、次の選挙で有利そうに見える方に票が集まるだけのこと。 ともかく、どちらの方向に進むのか曖昧状態では、皆、動きようがない。これは一番こまる。そこだけでもはっきりしてもらえばとりあえずはよしとするしかない。それもできないのでは、二大政党の政権交代時代到来の意味が無くなる。と言うか、こんな調子での政権運営を続けていれば、そのうちデマゴーグが登場し、政治を左右しかねなくなる。政局解説だけの日本のマスコミは、その歯止め役にはなれないどころか、お先棒を担ぎかねないから怖い。 〜 株安・債権安は当然の流れだが、どう対処しようというのだろうか。 〜 ともあれ、政権の評判は悪い。 なかでも、評判を落としたのは、円高への対処の仕方。今頃になって政府が大騒ぎするのだから、ピント外れもはなはだしい。 円高の影響など全く考慮してもいなかったようで、無策との批判の大合唱に驚いて、“動いていますよ”とマスコミに写真を流させるようでは逆効果。 できないことはできないのである。そういう時に、どう発言すべきか予行演習もしていなかったと見える。基幹産業が大騒ぎし始め、ようやく「断固たる措置」との声明を出すようようでは、“政治主導”のお粗末トリオと見なされるだけ。 (突然のように日銀に圧力をかける姿勢を見せれば、周囲の発言に左右されるだけの、判断力を欠く政治家との印象が強まるだけ。グローバル経済下で、日銀が単独でできる政策は限られており、デフレ阻止や為替水準変更ができる訳もなく、産業界がそれを理解していない訳ではない。) 金融市場から素人政治とレッテルを貼られ、見捨てられないことを祈るだけ。そうなったら、取り返しがつかない。恐ろしい話だ。 簡単に言えば、日経平均が8,000円を切るということ。 右図のように、いい加減な20年レンジのグラフを作ってみても、ドルが80円程度になってもおかしくないのは素人でも予想の範囲。 なにせ、世界経済の牽引車たる米国経済が不調なのだから。しかも、オバマ政権は輸出促進で雇用増進を目指すというのだし。 ユーロも動揺しており、グローバル企業の収益が回復しても、経済規模拡大の結果ではないから、ユーロ高になる可能性も低かろう。 → 「株安・債権安の時代か 」 (2010.7.6) そんな状態だから、どの先進国の中央銀行も低金利・資金供給政策採用にならざるを得ない。その結果、世界中でマネーが溢れ、行き先を探している。短期的に日本にマネーが流れ込んでもおかしくないのは当たり前。 これで、円高基調にならない方がどうかしている。 〜 日本の経済成長率低下は加速して当然 〜 だが、ここでの急激な円高は、確かに大問題である。 日本経済がグローバル企業の頑張りでどうにかもっているからだ。雇用にしても、こうした大企業が支えているからなんとかなっているだけのこと。ここが崩れれば、社会全体に雇用不安が広がりかねないのだ。 しかも、こうした社会安定は、グローバル企業の競争力弱体化という大きな代償を払ったから実現できたのである。・・・国内市場で見れば、企業が多すぎ、非効率そのもの。生産能力も過大で、設備は古くなりつつある。経営原則からすれば、大胆な合理化必至だが、国をあげ、できる限り変化を抑制してきたのだ。しかも、日本企業の強みとして一般化できないものまで、経済学者に強みと言わせたりしてまで現状維持に励んだのである。いわば慣性力でここまで持ったのである。 だが、その御蔭で競争力は落ちる一方。ドルが80円になれば、大半はどうにか生きているだけの状態に陥りかねない。いくらキャッシュがあろうが、本業が傾けばどうにもならない。日本経済を支えてきた柱がついにその役割を果たせなくなるということ。 株価もついに惨憺たるレベル。世界に羽ばたいていた企業のPBRが1以下だらけ。このまま経営を続けるよりは清算して頂いた方がましとの評価。今のやり方なら、国内事業と国内工場はマイナスの価値しか生まないと見られている訳だ。要するに、溢れるキャッシュで、伸びる海外市場に出て行くとともに、国内事業の再編を進めるしか手がないということ。この先、国内投資は例外的。IT投資だけは微増だろうが、リーマンショック時には程遠い低さでの推移となろう。国内は黄昏経済化必至。 そして、この株安は個人の資産減少を意味するから、高額商品の国内市場は急速に縮小する可能性が大きい。しかも、エコカーとエコポイント家電による先取り需要の“官製景気”が終わる。消費はさらに沈むこと間違いなし。 すでに、2010年4〜6月のGDP速報値が、直前の1〜3月期比で0.1%増、年率換算では0.4%増。誤差を考えれば、常識的にはこれは経済成長ゼロ。何が効いたのかよくわからないが、この程度で収まって幸運というのが実情。 (2010年8月1日推計値では、総人口は-0.12%、15〜64歳人口は-0.70%の国である。) なにせ、よりもよってこんなご時世にサラ金規制である。消費性向の高い人が借金できなくなるのだから、消費抑制間違いなしである。しかも、一番の借り手である中小企業もその抑制の対象になってしまうから、資金繰りが悪化したのは間違いないところ。もともといつ破綻してもおかしくない企業は少なくないが、商売手仕舞い続々の筈である。 (超短期高金利の借金だが、手続きに時間を潰されないし、必要な時だけ借りるので年間支払い利息を抑えることができる。不安定な経営の零細企業にとってはえらく役に立つ金融である。) 産業構造を変える気もないのに、わざわざ経済状況悪化に繋がる施策を打ち出したのだから、成長率の数字が悪くなって当たり前である。 〜 雇用状況悪化は誰の目にも明らかになっていくに違いない。 〜 驚くことに、この政権はさらに経済悪化のための施策を追加したいらしい。 言うまでもないが雇用規制である。 例えば、最低賃金は10円上げるだけでも、雇用が落ちるというのが、常識的な見方。同じようなスーパーが並び、その傍に同じ商品を売る昔からの店があるような地方の実情を考えれば、どうなるかわかりそうなもの。儲からなくても、ただただ現状維持の経営であり、費用が増えて首が回らなくなれば、雇用を削る以外に手はない。だが、この政権はその流れを着々と進めてきた。まあ、比較的良好な職場に勤めている人達は給与が少し増えることになり、民主党政権支持に繋がるということなのだろう。 これで済ませるだけかと思ったら、続けて、もう一歩踏み出すらしい。 雇用を固定化させるような規制を打ち出すようだ。 これはえらいことになる。余剰人員を抱えるリスクが著しく高くなるから、できる限り雇用を減らした体制で事業を続ける工夫を始めるからだ。大企業の場合、そんなリスクを負う業務を止めることになろう。工場・店舗続々閉鎖ということ。まあ、資本コストを割り込むような国内業務を切り、資本を海外に向けるのは、円高の好機を生かすことにもなり、経営的には正論だが、日本の社会安定性は失われることになる。 現政権が追求しているのは、ミクロでは雇用減少をくい止める策になるが、マクロでは強烈な雇用縮小策である。何を考えているのだろう。 今、中小企業の雇用がどうなっているのかは、数字を見れば一目瞭然。今のままなら、これがさらに加速するのは間違いない。 自由経済の息の根を止め、社会主義国家に変えたいなら別だが、こんな政策を続けていればどうなるかわかりそうなものだと思うが。 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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