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2002.11.15
 
 


深部高温岩体発電は先端科学の領域…

 日本は、サンシャイン計画の一環として高温岩体発電をとりあげ、米国での10MW発電実証試験に参画した。(深度3000メートル200℃の花崗岩盤) 同時に、1985年から、国内でも(肘折地区) 研究をスタートし、地下2000メートルに人工貯留層を造成し、データ収集実験を行っている。(http://www.gerd.co.jp/randd/hdr/hdr.html)
 1997年には、研究を行っている国と組織で[日、米、EC(EU)、スイス、英、オーストラリア、(伊、独):2002年現在]IEA地熱実施協定を結んだ。(http://www.nedo.go.jp/chinetsu/iea/index.htm)

 こうした動きを見て、「21世紀初頭の実用化へ向け、成果が期待される。」と発言する人もいる。 (http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/Bio/200008/15-3.html)

 クリーンなエネルギーだから、期待したい気持ちもわかるが、現実を直視すべきだろう。

 2000メートルもの深度にある高温岩盤に水圧で割れ目を作り、ここに水を投入し、熱水を回収するのである。人工貯留層の状況は、割れ目で発生する音を拾い、シュミレーションで想像するしかない。この結果をもとにして、最適運転条件を設定する。(石田毅著「岩盤破壊音の科学」近未来社 1999) シュミレーション技術は今後飛躍的進歩が見込まれるから、実際に熱水が得られれば、基本要素技術完成は間近との印象を与える。

 しかし、1箇所の実験で成立したモデルが、岩盤が異なる地区でも通用するとは限らない。例えば、雄勝地区で行われた花崗岩ボーリング実験結果では、水の回収率は僅か24%だった。(http://ge-rd-info.denken.or.jp/ge-leaflet/pdf/U99020.pdf) 高温岩体に関するデータは、油井のデータとは違い、極めて少ないから先は長い。
 水の回収率が実用性レベルに入っても、この値が20年近く続く保証はない。検証データすべてを揃えるには、最低20年は必要だろう。もちろん、膨大な資金投入になる。

 注力しても、早くて20年先に目処がつく技術といえよう。

 しかも、日本ではオーストラリアのように既存の井戸活用はありえないから、成功してからようやく掘削工事が始まる。エネルギー問題の対処策としては、余りに遅すぎる。
 深部高温岩体発電は基礎科学研究としては価値があるが、エネルギー政策に組み込む対象ではなかろう。

   過去記載の
   → 「地熱発電技術開発にかけるべきか?」へ (20021106)
   → 「貯留熱水層発電の見込み」へ (20021108)
   → 「地熱発電の国際比較」へ (20021110)
   → 「火山発電の見込み」へ (20021112)


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