■■■ 分類の考え方 2013.9.7 ■■■

鮪は魚類代表とは言いかねる

「魚」の先祖と称される生物の話と、陸に上がった「魚」の話を書いていて、つくづく考えさせられた。素人が、インターネットリソースを読んでいると、そのうち、なにがなにやらの混沌状態に陥ること必定と言った方がよいか。
 → 「両生類分類を眺めて」 [2013.8.31]
 → 「魚への道のわかりにくさ」 [2013.9.2]
結局のところ、到達したのは、トンデモない結論。要するに、単系統と分岐について、説明してくれないままで、分類結果と整理されちない細々した情報を伝えてくれるから、まともな思考ができないということか。
ともあれ、こんな風に考えた。・・・正真正銘の海を遊泳しまくる「お魚」さんとは、ハイスピード遊泳で知られる鮪の皆様方ではなく、亜流と見なされている鮫君の方。

まあ、こんな素人の馬鹿話を聞かされたのではたまらぬとなるだろうが、まあ、それも一興と思ってお読みいただければ幸い。どうして、そんなことになったか感じとって頂ければ、「思考訓練」の一助位にはなる可能性もなきにしもあらず。

と言うことで、早速、ご説明といこう。

世間一般の分類の常識を、多少用語を変えて並べると、以下のようになる。先ずは、ここが出発点。
 水中棲脊索動物
  ↓
 水中棲脊椎動物
  ├無顎
  └有顎(顎口)
    ├軟骨
    └硬骨
      ├条筋鰭
      └葉状鰭(肉鰭)
        ├肺魚
        └総(ふさ)状鰭
          ↓
          水陸棲四肢動物


この分類と全体の流れはよしとすると、はたして「魚」の範囲は?

別に難しい話ではない。有顎脊椎動物と答えれば正解とされる。言うまでもないが、その進化した姿とされる両性類から先を除くが。

専門家だとこれでは通用しないから、細かく規定されているようだが、その辺りはご勘弁いただこう。ただ、小生としては、有顎脊椎動物というだけでなく、「背鰭を持つ」という点が決め手だと思う。それでよいのか、素人なのでなんとも言えぬが、理由は単純明快。水中遊泳するタイプであることを、背鰭に象徴させただけのこと。
もちろん、これが基本形というだけで、該当しない魚がいてもおかしくない。鯨が魚ではなく哺乳動物とされるようなもの。(四肢が退化していても、四肢動物のカテゴリーに入る訳である。)素人には厄介極まる考え方だが、分岐分類だから、そうせざるを得ない。

さあ、これだけで、何が言いたいか、ご想像がつくだろうか。
「水中遊泳」が「魚類」の肝となると、上記の分類で見ると、ドンピシャは有顎軟骨脊索動物だろう。要するに、それだけの話である。

で、ここで、一寸、別な話題に跳ぼう。
魚の上陸の観点で上記の分類を眺めて流れを感じるだろうか?
などと書くと、多分、こんな質問、およそ馬鹿げてると感じるのでは。小生もそう思っていたのである。魚と見なすべきか疑問も感じさせる「肺魚」が含まれている、肉鰭類が登場すれば、それはいかにも魚の上陸第一歩間近という気になるからだ。
しかし、真の魚の代表が「鮫」として、上記の流れを見返すと、それは第一歩じゃなかろうとなる。こういうこと。・・・
 ・最初の一歩を踏み出したのは、無顎類の一部。
 ・硬骨魚の誕生こそが、第二歩目そのもの。
 ・硬骨魚のなかの肉鰭類の一部が三歩目を記した。
 ・無顎類から有顎類軟骨へと進化したのが真の魚。
つまり、上記の分類はミスリーディングな代物ということ。
 ・無顎類には様々なタイプが混在している。
 ・鮫を、「真魚類」と命名したい。
 ・硬骨タイプの基本形は、水辺棲生物である。
いわゆる「お魚さん」の硬骨魚とは、海に棲む哺乳類と同じで、もともとは海中遊泳タイプではないということ。

考えてみれば、軟骨魚が海中遊泳の代表という考え方は当たり前の話。海中遊泳に硬骨など不要だからだ。海中では浮力が生じるから、ご大層で立派な骨で体を支える必要など無い。海中遊泳にはプラスには働かない。にもかかわらず、今の今までそんな感覚で鮫を見たことがなかった。
このことは、硬骨タイプは海中棲生物でなかったことを意味しているのではなかろうか。海面上にも体を出すことがあったからこその構造と違うか。
一度作り出してしまった構造は後に引けない。そこだけ見れば、海中には不適だが、別な機能を持ってしまったことが幸いしたとは言えまいか。
そう言えばおわかりだろう。「肺」である。肺魚の話をしている訳ではない。鮪や鯛の体構造を言っているのだ。彼等には、退化してしまった「肺」があるではないか。そう「浮き袋」だ。硬骨という丈夫な構造体があるので、浮力調整が機能する訳だ。
「肺」は、どう考えたところで、「水中遊泳」動物に不要な器官。と言うか、鰓が機能しない環境下でも、呼吸可能にするための器官である。そんな仕組みが、硬骨魚には備わっていることになる。つまり、もともと「水中遊泳」型動物ではないということを意味している。
ところが、知恵者が、肺を浮き袋に変えた訳である。このことで、海中での「硬骨魚帝国」化を成し遂げた訳だ。

そうなると、軟骨魚としての正統派たる鮫一族はつらい。現世種で歩けるタイプもいる位だから、陸上生活に挑戦もできた筈だが、頑丈な脊椎骨の生物とは太刀打ちできないから諦めざるを得まい。結局のところ、海でのマイナーな地位に甘んじ、顎の王者と呼ばれることで満足するしかないことになる。

以下、苦労に苦労を重ね(嘘)、素人がまとめてみたもの。インターネットリソースを眺めると、用語は統一されていないし、対立した主張や、違った分類がワンサカ状態。しかも、化石なので説明してもらっても、情報が断片的とくる。その状態で全体像をつかむのはえらく大変。それに、言語のハンディも大きい。命名の真意がわからないので、すべてナマの綴りだけで読むしかなく、結構つらいものがある。

無顎」 無対鰭的

無鎧 円口 ゲル化毒性粘液放出皮膚
├・・・・・・→(1) 「ヌタウナギ」 ウナギ形状 ハグして内蔵頂戴 穿口蓋
├・・・・・・→(2) 「ヤツメウナギ」 ウナギ形状 鰓穴並ぶ 不穿口蓋

甲皮(頭胸部鎧)
 強敵からの防御用盾だらけ 淡水や底棲に避難か
<カンブリア紀分岐>
├→ 化石(3) (コノドント)
├→ 化石(4)ヘテロストラビス[異甲]
   緻密構造の骨型兜では無く象牙質(歯質で鮫肌類似)
   全体が円筒形で尾鰭発達 2眼は側面 2鼻孔
    [e.g. プテラクビス]
├→ 化石(5)アナスピス[欠甲]
   丸みを帯び外甲は一部欠落か
    [e.g. ビルケニア]
├→ 化石(6)テロドント
<オルドビス紀分岐>
├→ 化石(7)ガレアスピス
├→ 化石(8)緻密構造兜に小骨板モザイク[骨甲]
   平板な体躯で馬蹄形の「頭甲」が代表
   外側は緻密骨構造の兜と小骨板モザイク
   肩骨と胸鰭が発生しているものも
   頭甲上部中央に2眼,1松果体孔,1鼻孔 口鰓は腹面
    [e.g. ケファラピス,トレマタスピス]
U

有顎」 左右対鰭
 開口部面積拡大で鰓流量増大
 挟んで押さえので餌が大型化
 ということで、エネルギッシュに

├→化石棘状化背/腹鰭[棘皮]」系
   体躯は紡錘形で小振り---棘で飲み込まれ防止
   もっぱら淡水系
   <頭蓋のみ「硬骨」で背骨は「軟骨」>

├→化石堅板状外皮[板皮]」系 (雑多)
|  | 極めて堅固な、盾のような外皮で防御
|  | 動きは相対比較では遅かったか
|  | <兜防御無顎と鮫肌軟骨魚の中庸イメージ>
|  |
|  ├→(a) 化石「Acanthothoraciformes」
|  |
|  ├→(b) 化石ガンギエイ型[堅鮫]
|  |
|  ├→(c) 化石蟹足似の腕形態胸鰭[胴甲]
|  |  腹迄盾板:底魚的 顎小型 鰭極小
|  |
|  ├→(d) 化石全身盾に肩棘
|  |
|  ├→(e) 化石ギンザメ型
|  |  豪州発掘3.8億年前のMaterpiscis attenboroughiは真胎生
|  |
|  └→(f) 化石有関節の頚部[節頚]
      口からの流入量増加 餌保持力強大化
U

軟骨魚」系
<カンブリア紀分岐>
├→(1) 化石脳頭蓋と上顎一体化[全頭]」 系(有鰓蓋)
   復元図は実に奇妙な姿である。
    [e.g. エキノキマエラ,ベラントセア,イニオプテリクス,メトパカンタス]
   U
   
 (1') 「ギンザメ」

「板状の鰓[板鰓]」系 (無鰓蓋=呼吸用小孔)
<オルドビス紀分岐>
├→(2) 化石Cladoselache クラドセラケ[枝鮫]
       絶滅鮫類の祖形か 現代の鮫と違う点も多々あり。
        [顎は最前部,先頭は尖鋭でなく丸味,広い鰭,水平尾翼付属]

<デボン紀分岐>
├→(3) 化石「Eugeneodontida」
├→(4) 化石「Symmoriida」
├→(5) 化石Xenacanthus クセナカンサス[側棘]
       頭に棘一本
├→(6) 化石「Ctenacanthiformes」

真正の「板状の鰓」
├→(7) 化石Hybodus ヒボダス

新しい「板状の鰓」系
<三畳紀分岐>
├→(8) 「ネズミザメ/メジロザメ,テンジクザメ」系
|    & 「ネコザメ」
├→(9) 「ツノザメ」系
└→(10) 「エイ」系

(復元図) 古世界の住人 by 川崎悟司 http://ameblo.jp/oldworld/
(歩く鮫のリリース) Newest "Walking" Shark Heralds Brighter Future for Indonesia's Sharks and Rays By Dr. Mark Erdmann Conservation International


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