表紙 目次 | by Muriel Gottrop (CC)BY-SA-3.0 ■■■ 2017年12月11日 ■■■ ミクロミトラ…腕足動物Brachiopoda (Lamp shell)は二枚貝に見えるが、左右に貝殻がある訳でなく、背と腹にあるというどういう設計思想かにわかに解らぬ類である。要するに、貝のような足がないということ。 → 「しゃみせんがい」[2006年9月8日] 従って、体躯は内臓がある胴体部分に吻が附属し、それを、殻形成の外套膜が被う形態となり、柄のような固着器官が付属する。(柄を欠く種は腹側殻がセメント固着。) 生物学のテキスト調だが、三味線貝が貝ではないとことは、そんなことでわかる訳ではない。貝殻の中身は軟体動物的な食用部分になっていないのである。(名称から見て、有明海では食用にされていたことは間違いないと思うが。) 所属する分類が"触手冠"とされているのは、その部分を見れば一目瞭然。大正解。 → [PHOTO by Didier Descouens]Liospiriferina rostrataの化石 "珪化した触手冠が観察できる。" ただ、おそらく、様々な殻のコレクターである貝屋さんから見折ればこれは貝殻類であって、そんな分類は似つかわしくない訳だと思う。 と言うのは、化石種の写真を見て驚いたのだが、流石、古代に大繁栄していただけあって、その貝殻形態は様々なのである。その時代から生き延びてきた三味線貝はそのうちの特別な種であると考えた方がよさそうである。(残念ながら、様々な解体を一同に会したサイトが見つからないのでご紹介できないのが残念至極。) 何故に、貝殻にこだわるかと言えば、軟体動物の貝より優れた設計がなされていると想定するから。 素人からすれば、そこらが、軟体動物と腕足動物の大きな差と見たいのである。 わかりずらいか。 軟体動物系は蛸・烏賊・帆立貝でおわかりのようにポンプで強烈な水流を起こす能力を持っている。しかし、移動の基本はあくまでも足だった筈で、このポンプは餌を寄せ集める流れを生むための器官である。腕足動物には無い機能である。 このことは、貝殻に餌が勝手に入ってくるのをただただ待ち続けるしかなく、そういう状態であれば殻の形態で成果は大いに左右されるに違いなかろう。おそらく、プラモデルを造って検討すればその設計思想もわかる筈である。 ただ、いくら素晴らしい形態にしたところで、真正の貝君が側にやって来れば餌はすべてそちらにとられしまうだろう。そんな状態で三味線貝だけが生き延びることができた訳である。(その理由についての記述は見つからなかった。) マ、軟体動物とは違うとはいうものの、キンベレラ---オドントグリフス---ウィワクシア---ハルキエリアといった化石種[→]の近隣と考えるべき種であろう。 従って、代表種はミクロミトラとしたい。 → [PHOTO]"Micromitra burgessensis" (C) ROYAL ONTARIO MUSEUM 典型的な二枚貝風の殻だが蝶番がない。そのかわりそこには足的な柄があり、底面に固着する。釜足や吸管が無いから、殻貝殻の間からは触手冠的な繊毛が沢山出ていたことになる。尚、大きさはせいぜいが数mmの微小化石。 《Craniformea》 {Craniida} ◆碇提灯 or 頭殻Craniida<オルドビス紀-現生> ○[現生]碇提灯Craniscus japonicus ◇[化石]Craniopsida<カンブリア紀-石炭紀> ○[化石]ヘリオメドゥーサHeliomedusa【澄江】 ◇[化石]Trimerellida<オルドビス紀-シリル紀> 《Linguliformea》 ◆三味線貝 or 舌殻Lingulida<カンブリア紀-現生> ○[現生]緑三味線貝Lingula unguis ○[現生]薄葉三味線貝Lingula reevii ○[化石]リングレラLingulella【バージェス】【澄江】【シリウスパセット】 ◇[化石]Acrotretidaアクロトレタ<カンブリア紀-デボン紀> ◇[化石]Siphonotretida<カンブリア紀-オルドビス紀> - ◇[化石]Paterinidaパテリナ<カンブリア紀-オルドビス紀> ○[化石]ミクロミトラMicromitra【バージェス】<カンブリア紀> 《Rhynchonelliformea》 ◇[化石]Chileida<カンブリア紀> ○[化石]ロングタンクネラLongtancunella【澄江】 ◇[化石]Dictyonellidina<オルドビス紀-ペルム紀> - ◇[化石]Obolellida<カンブリア紀> - ◇[化石]Kutorginata<カンブリア紀> - ◇[化石]Billinogselloidea<カンブリア紀-オルドビス紀> ◇[化石]Triplesiidina<オルドビス紀-シリル紀> ◇[化石]Orthotetidina<オルドビス紀-ペルム紀> ◇[化石]Clitambonitidina<オルドビス紀> ◇[化石]Strophomenida<オルドビス紀-石炭紀> ○[化石]ラフィネスキナRafinesquina ◇[化石]Productida<シリル紀-ペルム紀> - ◇[化石]Protorthida<カンブリア紀> ◇[化石]Orthidaオルチス<カンブリア紀-ペルム紀> ◇[化石]Pentameridaペンタメルス<カンブリア紀-デボン紀> ◆嘴提灯 or 嘴殻Rhynchonellida<オルドビス紀-現生> ◇[化石]Atrypida<オルドビス紀-ペルム紀> ◇[化石]Spiriferidaスピリファー<シリル紀-ジュラ紀> ◆テキデラThecideida<三畳紀-現生> ◇[化石]Athyridida<シリル紀-三畳紀> ◆鬼灯貝 or 穿殻Terebratulida<デボン紀-現生> ○[現生]鬼灯提灯Laqueus rubellus ○[現生]子亀貝Pictothyris picta ○[現生]縦筋提灯Terebratulina japonica ○[現生]縦筋鬼灯Coptothyris grayi 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |