表紙 目次 | (C) Laurentb ■■■ 2017年12月13日 ■■■ ディノミスクス…冠輪動物系に触手冠を持つ一群あり。そのうちの腕足動物は眺めたので[→]、残りをザッと。 尚、この群の中核生物は以前とりあげたことがある。 → 「こけむし」[2009年4月24日] ┌────軟体動物 ┤ │┼┼┌─腕足動物/Brachiopoda │┼┌┤ │┼│└─箒虫動物/Phoronida(Horseshoe worm) │┼│┼┼ │┌┤触手冠典型 │││ │││┌─内肛動物/Entoprocta ││││┼(Sessile aquatic worm or Goblet worm) ││└┤ ││┼└─外肛動物 ││┼┼┼or 苔虫/Ectoprocta or Bryozoa(moss animal) └┤ ┼└───紐形動物, 環形動物 先ず、箒虫動物Phoronidaだが、成体はそれなりの大きさにもかかわらず、名前を聞いたことがある程度でしかない。どのような姿でどこに棲んでいるか等々、ほとんど知られていない生物であろう。ヒトの生活に係りが少なかったからか。 しかし、それは成体の方であって、浮遊幼生"アクチノトロカ"actinotrochaは珍しいものではないらしい。 箒型触手冠系動物であるから、もちろん固着棲。代表たる箒虫と名付けられている種は長さが10cm近いようで、大型だと20cmに達するという。柄は自作の管である。ところが、面倒くさがり屋も少なくないようで、その場合は花巾着の棲管で共生するようだ。砂泥層の穴掘りが厄介なのか、場所取り競争は得策ではないと気付いたかのどちらかなのだろうが。 しかし、よく見かける写真は単体や共生の姿ではなく、群体の方。多数の管が互いにループ状になって複雑に絡み合った状態。 どのタイプが多いのか見当もすたぬが。 研究者が少ないからか、棲み分けして発展しようとの気力が無いのかわからぬが、種の数は少ないようである。 尚、上記分岐図で腕足動物は姉妹群だが、外肛動物の近隣でもあるらしいし、軟体動物の方に近いという見方も有力とか。 次は、内肛動物Entoprocta。肛門が触手冠の内側にあるということで、外側にある苔虫から分別された一群。 せいぜいが数mmサイズ。しかし、目に着くのは、個虫が走根でつながって群体をつくるから。確かに、苔でよく見かけるような拡がり方である。その体躯がどうなっているのかは図絵におまかせしよう。 → 「スズコケムシの体制模式図」(C) 大多和鐘三 @コトバンク/小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この手の生物だと化石無し、と思いきや、ガーベラ花柄の"ディノミスクス"Dinomischusが該当するらしい。現生種と違ってかなり大きいサイズだから、たとえ細部の特徴が一致していても、この一群に属すのかはなはだ疑問ではあるが。素人からすれば、棘皮動物の海百合タイプの化石とイメージがダブルからでもある。マ、そうではないらしいから、妥当と考えるしかないか。 残るは、外肛動物Bryozoa or 苔虫Ectoprocta(moss animal)。 珊瑚的な形状の石灰質骨格群体をつくる。苔虫と名付けられる通り、マット状態で広がってはいくものの、カーペット的なイメージではなく、小さな枝が集合しているといったところ。 大分昔のことだが、露店を出していた苔業者から聞いた話では、苔は多種多様なので人によってそのイメージは千差万別だそうな。従って、名称は好みで自分でつけた方がよいゾとのこと。苔以外にない商売人でさえ生物学的分類は教えてもらってできるようにはならぬというのである。苔虫も同じようなものだったりして。 【箒虫動物Phoronida】 ○Phoronis・・・フォロニス類 箒虫>(australis) 姫箒虫(jimai) 砂子[イサゴ]箒虫(psammophila) 天草箒虫(emigi) 他4種 ○Phoronopsis・・・フォロノプシス類 "3種 【内肛動物Entoprocta】 -[化石] ○Dinomischus・・・ディノミスクス【バージェス】【澄江】 …ガーベラ花柄型 -[現生]Barentsiidae ○Barentsia・・・スズコケムシ類 鈴苔虫 or 海優曇華(discreta) 数珠苔虫(benedeni) 甘藻[アジモ]苔虫(laxa) 松島苔虫(matsushimana)@松島湾 ○Pseudopedicellina・・・偽ペディケリナ -[現生]Pedicellinidae ○Pedicellina・・・ペディケリナ類 -[現生]Loxokalypodidae -[現生]Loxosomatidae ○Loxosoma・・・ロクソソマ類 ○Loxosomella・・・ロクソソメラ類 【外肛動物Bryozoa or 苔虫Ectoprocta】(moss animal) {狭喉Stenolaemata}…化石種多し ◆Cyclostomatida 《[化石]隠口Cryptostomida》 ○Ptilodictya・・・プティロディクティア類 《[化石]変口Trepostomatida》 ○Batostoma・・・バトストマ類 《[化石]胞孔Cystoporida》 ○Constellaria・・・コンステラリア類 《[化石]窓格Fenestrida》 ○Fenestella・・・フェネステラ類 《[現生]円口Cyclostomata》 -Lichenoporidae皿苔虫 {裸喉Gymnolaemata}…海棲 ◆唇口Cheilostomata -Membraniporidae網目苔虫 -Phidoloporidae網苔虫 -Adeonidae角苔虫 -Bugulidae房苔虫 -Candidae棘苔虫 -Celleporidae瘤苔虫 -Conescharellinidae砂粒苔虫 -Exochellidae硝子苔虫 -Microporellidae臼苔虫 -Watersiporidae稚児苔虫 -Lacernidae -Lepraliellidae ◆櫛口Ctenoostomata -Flustrellidridae鶏冠苔虫 -FVesiculariidae袋苔虫 ○Zoobotryon {掩喉Phylactolaemata}…淡水棲 ◆Plumatelida -Cristatellidae歩苔虫 -Fredericellidae唐草苔虫 -Lophopodidae姫点苔虫 -Pectinatellidae大毬苔虫 -Plumatellidae羽苔虫 -Stephanellidae雛苔虫 (参考) 馬渡静夫:「付着動物の種類査定法(5) 苔虫類」付着生物研究 Marine Fouling 3(1), 1981 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |