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水母の話  2018年3月15日

しろがや の話

 ウチナーは
 無闇に海には
 入らぬゾ


 地雷(オニオコゼ)はあるし
 鉄砲玉(ダツ)も飛んでくる。
 それに、抱き付きハブ野郎(水母)まで。
 羊歯(シロガヤ)に触れたらえらいこと。


御椀水母[→]、エイレネ水母[→]、八口水母[→]、とヒドロ虫【軟水母】に属す種を取り上げてきたので、代表種を見ておかねば。

それは、カヤの木の葉に似ているヒドロ虫の一群である。
漢字では榧(針葉樹)だが、百科事典ではどういう訳か萱(草のスゲだが、普通は茅[カヤ]と呼ぶ。音便でガヤとなることが多い。)で記載されているので、そちらを使うことにした。

岩場で繁茂する群体であり、ダイバーにはよく知られている。
  白萱
高さは10〜20cm。ヒドロ虫の群体であり、節がついた幹でつながり、枝が左右に伸びている。
白色"刺"羊歯と呼びたいところだが。
「危険! 羽のようなところに毒」という警告をよく見かける。被害者がさっぱり減らないのだと思う。
もちろん、ダイバーはその危険性を百も承知の助だが、海に入れば目移りするからついつい不用心になるもの。ふいに触れてしまいえらい目に合う訳で、確率的にやられるのであろう。環境保護を考えて、強靭なグローブをつけないせいもありそうだが。
類縁は色々。ありすぎて、なにがないやらの集団と言ってよいだろう。近縁だけで、こんな感じに並ぶ。
  赤 黒 羽 団栗 筒 簾・・・。
当然ながら、色は様々だが、なかには枯葉色をしていたりする。
団栗とはナンナンダとなるが、これは生殖体の形を指しているのだろうか。

葉のかt地にしても、色々ある。カヤの木よりヒノキの方に似ているグループも。
  海檜

これらほど幹が立ってはいない種もある。
  海芝
岩礁に張り付くこともあるが、蟹や海綿に付着したりもする。
ほとんど、立ち上がらない種だとまるで苔のよう。

いよいよ、ヒドロ虫のトリ。

🔾 円盤を 命の原に 放りけり
数mmしかない4放射相称の円盤状"クラゲ体"を産む。釜から出す円盤状パンの如しと示唆する命名。ココが胆。
  枝太オベリア
"ポリプ体"は岩や海藻に付着し、クローン増殖で細かく枝分れして叢状に。高さはせいぜい2cm。もちろん、15cmになる近縁種もある。環境対応で変わるだけのこと。どうあれ、ポピュラーな系統。
実体顕微鏡がなくても観察できるヒドラなので勉強には好都合。
小生は、「変態してストロビラ(ポリプに襞)→放出されたエフィラ(融着花弁の薄板的姿)」を経由するライフサイクルは標準ではなく、異端と見る。標準とみなす根拠がわからないからである。
一方、ヒドロ虫全体を見ていくと、オベリア的プロセスが基本と、どうしても感じてしまうのである。
世界の始原は円盤状という古代感覚を呼び戻そうとの命名かも、と思ってしまったせいもある。

と言うことで、ヒドロ虫【軟水母】をざっと眺めた訳である。

【刺胞動物/Cnidaria
花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着)

Jellyfish/Medusozoa
┼┼ヒドロ/Hydrozoa
【Leptolinae】
┼┼┼水母[有鞘]Leptomedusae (=Thecaphorae or Thecatae)
┼┼┼《Conica》
┼┼┼{Plumularioidea}
┼┼┼-Aglaopheniidae
┼┼┼┼○Aglaophenia・・・シロガヤ類
┼┼┼┼┼太萱 or 南萱(cupressina)
┼┼┼┼┼白萱(whiteleggei)
┼┼┼┼┼赤萱(suesoni)
┼┼┼┼┼Toothed feather hydroid(pluma)
┼┼┼┼○Cladocarpus
┼┼┼┼┼(bocki)
┼┼┼┼○Gymnangium・・・ドングリガヤ類
┼┼┼┼┼団栗萱(hians)
┼┼┼┼┼Feather hydroid(longicauda)@カリブ
┼┼┼┼○Lytocarpia・・・クロガヤ類
┼┼┼┼┼黒萱(nigra)
┼┼┼┼○Macrorhynchia・・・ウミヒノキ類
┼┼┼┼┼海檜(phoenicea)
┼┼┼┼┼Smoky feather hydroid(filamentosa)
┼┼┼┼┼マニラ海檜/White stinger(philippina)
┼┼┼┼┼Bush hydroid(robusta)
┼┼┼┼○Monoserius
┼┼┼┼┼(pennarices)
┼┼┼-Halopterididae
┼┼┼┼○Antennella
┼┼┼┼┼羽箒萱(integerrima)
┼┼┼┼┼鬚萱(secundaria)
┼┼┼-Kirchenpaueriidae
┼┼┼┼○Pycnotheca
┼┼┼┼┼(mirabilis)@南ア
┼┼┼-Plumulariidae
┼┼┼┼○Dentitheca
┼┼┼┼┼簾萱(habereri)
┼┼┼┼○Plumularia
┼┼┼┼┼羽萱(setacea)
┼┼┼{Campanulinoidea}
┼┼┼-Blackfordiidae
┼┼┼┼○Blackfordiidae
┼┼┼┼┼豆澱水母(virginica)
┼┼┼-Calycellidae
┼┼┼-Campanulinidae
┼┼┼┼○Tripoma
┼┼┼┼┼三葉姫コップ萱(arboreum)
┼┼┼┼○Calycella・・・エントツガヤ類
┼┼┼┼┼煙突萱(syringa)
┼┼┼-Lineolariidae
┼┼┼{---}
┼┼┼-Haleciidae
┼┼┼┼○Halecium・・・ホソガヤ類
┼┼┼┼┼細萱(flexile)
┼┼┼┼○Hydrodendron・・・ホソトゲガヤ類
┼┼┼┼┼細棘萱(mirabile)
┼┼┼-Hebellidae
┼┼┼┼○Hebella・・・コップガヤ類
┼┼┼┼┼コップ萱(parasitica)
┼┼┼┼┼曲コップ萱(dyssymetra)
┼┼┼┼┼ブロックコップ萱(brochi)
┼┼┼┼○Anthohebella・・・ハナコップガヤモドキ類
┼┼┼┼┼姫花コップ萱擬(brevitheca)
┼┼┼┼┼ナジマ花コップ萱擬(najimaensis)
┼┼┼┼┼花コップ萱擬(parasitica)
┼┼┼┼┼波形花コップ萱擬(tubtiheca)
┼┼┼-Lafoeidae
┼┼┼┼○Acryptolaria
┼┼┼┼○Cryptolaria
┼┼┼┼○Filellum
┼┼┼┼○Grammaria・・・ウレモキセルガヤ類
┼┼┼┼○Lafoea・・・キセルガヤ類
┼┼┼┼┼煙管榧(fruticosa)
┼┼┼┼○Zygophylax・・・タバキセルガヤ類
┼┼┼{---}
┼┼┼-Syntheciidae
┼┼┼┼○Synthecium・・・ツツウミシバ類
┼┼┼┼┼筒海芝(elegans)
┼┼┼{Sertularioidea}
┼┼┼-Sertulariidae
┼┼┼┼〇Abietinaria・・・カレヒバ類
┼┼┼┼┼枯檜葉(costata)
┼┼┼┼〇Amphisbetia・・・ウミカビ類
┼┼┼┼┼姫海黴(furcata)
┼┼┼┼〇Dynamena・・・チガイウミシバ類
┼┼┼┼〇Idiellana
┼┼┼┼○Salacia・・・ヒトヒラウ(ユ?)ミシバ類
┼┼┼┼┼一片海芝(tetracythara)
┼┼┼┼〇Sertularella・・・ウミシバ類
┼┼┼┼┼アメリカ海芝(wallacei)
┼┼┼┼〇Sertularia・・・フシバナレウミシバ類
┼┼┼┼○Selaginopsis
┼┼┼┼┼海杉擬(diaphana)
┼┼┼┼┼(fusca)
┼┼┼┼〇Symplectoscyphus・・・ミナミウミシバ類
┼┼┼┼○Thyroscyphus
┼┼┼┼┼Algae hydroid(fruticosus)
┼┼┼-Thyroscyphidaeキセルガヤモドキ
┼┼┼{---}
┼┼┼-Aequoreidae
┼┼┼┼○Aequorea・・・オワンクラゲ類
┼┼┼┼┼御椀水母(coerulescens)
┼┼┼┼┼火灯[ヒトモシ]水母(macrodactyla)
┼┼┼┼┼台湾御椀水母(aiwanensis)
┼┼┼┼┼Crystal jellyfish(victoria)
┼┼┼{---}
┼┼┼-Aequoreidae
┼┼┼┼○Aequorea・・・オワンクラゲ類
┼┼┼┼┼御椀水母(coerulescens)→[2008.11.14]
┼┼┼┼┼火灯[ヒトモシ]水母(macrodactyla)
┼┼┼┼┼台湾御椀水母(aiwanensis)
┼┼┼┼┼Crystal jellyfish(victoria)
┼┼┼-Cirrholoveniidae
┼┼┼┼○Cirrholovenia・・・マキヒゲクラゲ類
┼┼┼┼┼巻髭水母(tetranema)
┼┼┼-Clathrozoidae
┼┼┼┼○Clathrozoon・・・カゴメウミヒドラ類
┼┼┼┼┼篭目海ヒドラ(wilsoni)
┼┼┼┼○Pseudoclathrozoon・・・キセルカゴメウミヒドラ類
┼┼┼┼┼煙管篭目海ヒドラ(cryptolarioides)
┼┼┼-Dipleurosomatidae
┼┼┼┼○Dipleurosoma・・・キタヒラクラゲ類
┼┼┼┼┼北平水母(typicum)
┼┼┼-Eirenidae
┼┼┼┼○Eirene ・・・マツバクラゲ類
┼┼┼┼┼松葉水母(hexanemalis)
┼┼┼┼┼エイレネ水母(menoni)→[2018.3.13]
┼┼┼┼┼瘤エイレネ水母/Eirene jellyfish(lacteoides)
┼┼┼┼┼┼┼@鳥羽水族館水槽内
┼┼┼┼○Eugymnanthea・・・カイヤドリヒドラクラゲ類
┼┼┼┼┼貝宿りヒドラ水母(japonica)
┼┼┼┼○Eutima・・・コノハクラゲ類
┼┼┼┼┼木葉水母(japonica)
┼┼┼┼○Eutonina・・・シロクラゲ類
┼┼┼┼┼白水母(indicans)
┼┼┼┼○Helgicirrha
┼┼┼┼○Tima・・・ギヤマンクラゲ類
┼┼┼┼┼ギヤマン水母(formosa)
┼┼┼-Eutimidae
┼┼┼-Laodiceidae
┼┼┼┼○Laodicea・・・ヤワラクラゲ類
┼┼┼┼┼柔軟[やわら]水母(undulata)
┼┼┼┼○Melicertissa・・・ハッポウヤワラクラゲ類
┼┼┼┼┼八方柔軟[やわら]水母(orientalis)
┼┼┼┼○Ptychogena・・・マツカサクラゲ類
┼┼┼┼┼松毬水母(lactea)
┼┼┼┼○Staurostoma・・・サラクラゲ類
┼┼┼┼┼皿水母/Cross jellyfish(mertensii)
┼┼┼-Phialellidae
┼┼┼┼○Phialella・・・ヒトエクラゲ類
┼┼┼┼┼単衣水母(fragilis)
┼┼┼-Lovenellidae
┼┼┼┼○Eucheilota・・・コモチクラゲ類
┼┼┼┼┼糸巻子持水母(multicirris)
┼┼┼┼┼子持水母(paradoxica)
┼┼┼┼┼(taiwanensis)
┼┼┼┼┼(tropica)
┼┼┼┼○Lovenella・・・コマヒメコップガヤ類
┼┼┼┼┼(assimilis)
┼┼┼┼┼皺姫コップ(corrugata)
┼┼┼-Melicertidae
┼┼┼┼○Melicertum・・・ハナクラゲモドキ類
┼┼┼┼┼花水母擬(octocostatum)
┼┼┼-Mitrocomidaeクロメカキクラゲ
┼┼┼-Sugiuridae
┼┼┼┼○Sugiura・・・スギウラヤクチクラゲ類
┼┼┼┼┼杉浦八口[ヤクチ]水母(chengshanense)
┼┼┼┼┼┼┼…八口は別種。
┼┼┼-Tiarannidaeサガミクラゲ
┼┼┼┼○Modeeria・・・コヤネヒメコップ類
┼┼┼┼┼コヤネ姫コップ(rotunda)
┼┼┼┼┼相模水母(sagamina)
┼┼┼┼○Stegolaria
┼┼┼┼┼多葉コヤネ姫コップ(operculata)
┼┼┼-Tiaropsidae
┼┼┼┼○Tiaropsis・・・クロメクラゲ類
┼┼┼┼┼髪黒目水母(multicirrata)
┼┼┼┼○Tiaropsidium
┼┼┼┼┼黒目水母(roseum)
┼┼┼《Proboscidoidea》
┼┼┼-Bonneviellidae
┼┼┼┼○Bonneviella・・・ツリガネガヤ類
┼┼┼┼┼釣鐘萱(grandis)
┼┼┼-Campanulariidae
┼┼┼┼○Gastroblasta
┼┼┼┼┼八口[ヤクチ]水母(chengshanensis)→[2018.3.14]
┼┼┼┼┼(raffaelei)
┼┼┼┼┼(timida)
┼┼┼┼○Campanularia・・・ウミサカヅキガヤ類
┼┼┼┼┼アフリカ海盃萱(africana)
┼┼┼┼┼相模海盃萱(brachycaulis)
┼┼┼┼┼足長海盃萱(caliculata)
┼┼┼┼┼縦筋海盃(groenlandica)
┼┼┼┼┼インド海盃(indopacifica)
┼┼┼┼┼ヨレ海盃(volubilis)
┼┼┼┼○Clytia・・・ウミコップ類
┼┼┼┼┼姫海コップ(delicatula)
┼┼┼┼┼小皿水母(discoida)
┼┼┼┼┼(folleata)
┼┼┼┼┼丸葉海コップ(gigantea)
┼┼┼┼┼細襞海コップ(gracilis)
┼┼┼┼┼Gregarious jellyfish(gregaria)
┼┼┼┼┼(hemisphaerica)
┼┼┼┼┼房海コップ(languida)
┼┼┼┼┼枝海コップ(linearis)
┼┼┼┼┼子持ち沖海コップ(mccradyi)
┼┼┼┼┼廓海コップ(multiannulata)
┼┼┼┼┼斜葉海コップ(obliqua)
┼┼┼┼┼二重海コップ(paulensis)
┼┼┼┼┼オーストラリア海コップ(serrulata)
┼┼┼┼○Obelia・・・オベリア類 (Sea fur)
┼┼┼┼┼痩オベリア/Sea thread hydroid(dichotoma)
┼┼┼┼┼枝太オベリア/Bell hydroid(geniculata)
┼┼┼┼┼ヒラタオベリア(plana or longissima)
┼┼┼┼┼支那オベリア(chinensis)
┼┼┼┼┼尖葉オベリア(oxidentata)
┼┼┼┼┼Doubletoothed hydroid(bidentata)
┼┼┼┼○Orthopyxis
┼┼┼┼┼鋸コップ萱(crenata)
┼┼┼┼┼ヒラタ足長コップ萱(platycarpa)
┼┼┼-Phialuciidae
┼┼┼《-》
┼┼┼-Malagazziidae

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