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2008.12.9
 
 


蔓菜の話…


 陽が当たり ツル菜喜ぶ 浜辺かな

 藜(アカザ)の仲間は毀誉褒貶が激しい。
 ツル菜の評価はどうなのだろうか。


 冬の寒さに耐えたホウレンソウは美味しい。アカザの仲間だが、親分たるアカザが食されている話は全く聞かない。「藜の羹」(1)は貧しさの象徴だから、そこらじゅうに生えていたのだと思うが。

〜藜の仲間〜
ホウレンソウ >>>
オカヒジキ >>>
ホウキグサ >>>
 時々、同じ仲間の「つる菜」を見かけることがある。
 三角形で肉厚な葉野菜だが、表面はツルツルではなく、ガサガサ。「蔓菜」ということだろう。味はホウレンソウと似たようなものだが、葉は軟だから、茹ですぎるとグチャグチャとなり食べる気にならなくなる。面倒な野菜である。
 昔馴染の野菜らしいが、小生は、食卓で見た覚えはないから、相当昔の話だろう。

 園芸本を眺めると、色々な記述があり、実態はよくわからないが、海岸の砂地で育ち、暑さにも強い植物のようだ。ただ、海岸のゴミゴミしたところに生えている夏の蔓草イメージが浮かぶから、今一歩感があるのかも。

 海外ではNew Zealand spinachと呼ばれていて、結構サラダに使われているようだが、まあ夏の日差しにホウレンソウが耐えられないから、その代替ということだろう。
 日本では、なにか工夫しないと、流行らせるのは難しそうな気がする。春の若菜の生食ならよさそうな気もしないではないが、ホウレンソウ同様に蓚酸があるから厄介である。
 なにか話題性でも持ち上がれば別かも知れぬが。

 そう思うのは、お洒落なレストランで、お仲間の「Ice plant」(2)が登場しているから。
 表皮に水滴がついているように見える面白さと、若干の塩味がついているという、目新しさが特徴の野菜である。
 蔓菜のように葉は肉厚だから生食ならよいが、茹でるとグダッとしそうだ。もっぱら、生で飾りに使うものだろう。スーパーにパックに入って並んでいることがあるが、お値段を見るとわざわざ買う気にはならないのが実情。

 --- 参照 ---
(1) 「紙の衾、麻の衣、一鉢のまうけ、藜の羹、いくばくか人の費えをなさむ」 [徒然草 58段]
  古典文学テキスト http://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/turez_1.htm#58
(2) 「アイスプラント(プッチーナ)」 佐賀県農業協同組合
  http://jasaga.or.jp/nousanbutsu/yasai/puttina/index.html
(漢文の出典) 洪自誠:「菜根譚」後集87項 http://homepage2.nifty.com/tarubo/saikontan/saikontan7.html


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