表紙 目次 | ■■■■■ 2014.2.24 ■■■■■ 烏芋こと荸薺の話 浪華の人によみてつかはしける 思い出る 鱧の骨きり すり流し 吹田の烏芋(くわゐ)天王寺蕪 蜀山人こと大田南畝 狂歌集「あやめ草」 クワイの漢字は「慈姑」。 中国の文字だと「慈菇」と草冠がつく。この字は茸系のようだ。 → 【漢語】「野菜」[2010.7.29] しかし、日本で、昔からこの漢字を使っていた訳でもなく、基本はあくまでも和語の「くわゐ」。そこが、どうも腑におちぬ。 → 「くわゐ」[2008.7.15] 先日、中国からの輸入水煮缶詰を見たら、「慈姑」と表記されていたが、それは「くわゐ」ではなかった。大きな英語表記がされており、"Water chestnut"。日本の「くわゐ」はThreeleaf arrowheadだから別モノ。コレ、中国名では「荸薺」。日本ではかつて「烏芋」と呼ばれていたモノに違いなかろう。皮が黒いのだから。 もっとも、普通は、「オオクログワイ」と呼ばれていたらしい。しかし、今では、その名前はほとんど使われることはない。お店に並ばなくなってしまったから。生で見かける「くわゐ」の皮の色は黒ではなく、薄い泥色であり、それを剥いているので藍色がかっている。俗称、「アオグワイ」だ。大黒v.s.藍でわかり易い。 ところがどっこい、オオグロという名称は栽培品だけ。植物名としては「シログワイ」。混乱させるために、ワザとそんな名称にしたのではないかと思うほど訳がわからぬ状況。 しかし、そうする理由はなんとなくわかる。 と言うのは、クログワイは地下茎を持つ、強靭な多年生雑草で、稲作農家なら知らない人なき状況だからだ。まあ、憎悪の対象。都会人だと、稲作の大敵の雑草として「ホタルイ」を耳にしている程度だが、それに匹敵する悪者のようだ。名前を聞くだけで不快感を催すのはわかる。そんなものを栽培したり、販売している輩は、爪弾きの憂き目間違い無しでは。 ところで、中国の荸薺だが、別名もある。生で食べる地域では「水栗」だし、じっくり煮てしまう地域では「馬蹄」と呼んでいる。 おそらく、生で食べるのが好きになると、甘栗とおなじように皮剥きが面倒にもかかわらず、食べ始めると止まらなくなる手の食材。 一度、生食を試してみたいものだと思うが、日本でそんな話をきかないところを見ると、病原菌か寄生虫の危険性があるのかも知れぬ。まあ、水煮缶で我慢ということか。 そうなると珍しくもなんともない。八宝菜を中華料理店で注文する方は、もともと、しょっちゅう食べているからだ。 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2013 RandDManagement.com |