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2002.10.28
 
 


半導体装置モジュール化の意義…

 日本の半導体産業の危機的状況が知られるようになったため、オランダの半導体リソグラフィー装置メーカーASMLの躍進が業界外にも注目されるようになった。1990年頃はシェアが1桁%だった企業が、豊富な技術蓄積を持つ日本企業の独壇場と呼ばれていた分野で、リーダーの地位を獲得したからである。

 この原動力となったのが、モジュール化に基づく技術マネジメントである。
 そもそもの訴求点は、装置をモジュール化すれば、半導体メーカーはグレードアップ時に投資額を削減できる、というものだったが、実際にモジュール更新が行われた訳ではない。
 据付調整時間の短縮や、メインテナンスの容易性が競争力向上に寄与したのである。

 しかし、業界外で注目を浴びているのは、これ以外の点だ。モジュール化が開発スピードの向上に果たした役割である。モジュール化で、ASMLが先行体制を確立したからだ。(http://www.asml.com/NASApp/asmldotcom/show.do?rid=&ctx=1562)
レーザー源 ArF(200-300mmウエハ) 2
110-130nmルール 1年以上先行
100nmルール 半年以上先行 約半年先行
90nm- ルール 約半年先行
70nmルール 2-3ヶ月先行

 といっても、日本企業がモジュール化に無縁だった訳ではなく、ASMLの技術マネジメントが優れていたにすぎない。もともと、ASMLは光学部分を外部(カールツアイス)に頼っており、モジュール化を意識的に進めざるをえなかった。そのため、最適なモジュール分割ができたのである。  日本企業は、光学部分が社内に存在する。問題がおきれば、モジュールの壁を超えた調整作業が簡単にできる。計算通りに動く製品ではないから、かつては、これが強みだった。この優位に寄りかかりすぎた結果、背水の陣で臨んだ企業に追いぬかれたといえよう。

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      ・「半導体露光装置/ステッパーのこれから…」へ


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