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2004.8.18 |
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CRTテレビの復権…思ったより時間がかかったというのが正直な感想である。32インチの薄型CRT(ブラウン管)テレビの上市の話である。2004年7月、Samsung SDI が2005年に販売を開始すると発表した。(1) Sarnoff Corporation が薄型CRTテレビを発表したのが2001年8月のことだから、実に、3年要したことになる。 → 「Sarnoffの底力」 (2001年10月10日) Samsung SDI の製品の厚さは35cmだそうだから、液晶の15cmと比べれば、まだまだ厚いではないか、と声がかかりそうだが、ディスプレー部分をいくら薄くしても、支える台や一緒に設置するDVD機器を考えると、どうしてもこの程度の奥行きは必要となる。従って、ここまでくれば現実にはたいした違いではない。 おそらく、目だった差は、画面の周辺部分の画像の鮮明度と、機器重量ということになろう。 このどちらもが、視聴者にとってマイナーな問題なら、市場は一気に拡大する可能性が高い。 いくら価格が低下したとはいえ、液晶テレビは廉価とは言い難い。これに対して、CRTテレビなら、現行の大量生産設備で対応していけるから、圧倒的な低価格を実現できる。 実際、Samsung SDI は150万ウォン程度で販売する予定のようだ。これに対して、液晶テレビは3倍はする。 米国市場では、おそらく、1,000ドルをかなり切る。液晶テレビは3,000ドル程度が限度だろう。 この差は大きい。 Samsung SDI は、「Vixlim」とのブランドで浸透を図るそうだから、一大チャンスと見ているのは間違いない。注力することになろう。 一方、L.G. Philips Displays も、32インチは開発中(2)だが、対抗して、年初から量産を始めると思われる。 これで、32インチテレビ市場の活性化は間違いあるまい。 大型画面はたいした意味はないとされていたが、実際家庭に入ると、その「嬉しさ」は格別なもののようで、二度と大型から離れることはない。 安価な大型画面テレビが登場すれば、一気に普及する可能性も高いと見るべきだろう。 画面が十分美しいなら、これが、大型テレビの標準になるかも知れない。 特に注意すべきはサイズである。「32インチ」という数字は戦略的に鍵を握る数字なのである。 と言うのは、32インチは大型画面の、小さい方の標準サイズなのである。 すでに液晶版が登場しており、普及を目指して量産が始まった。一方、プラズマ版は早くから超小型化して、このサイズに対応したため販売好調と伝えられる。 ここにダイレクトにCRT型でぶつけるのだ。 32インチはCRT型、40インチは液晶型、50インチ以上はプラズマ型、という流れを作ろうとしていると思われる。 すでに、2004年に入り、Samsung SDI はプラズマ型で日本企業を抜いてシェア世界1になったといわれており、フルラインで果敢な展開を繰り広げることになろう。 こうなると、日本企業の弱点がさらけだされる。 言うまでもないが、日本企業はCRT型の戦いに参加できない状況にある。CRTテレビでの競争から脱落してしまったためである。熾烈なコスト競争の結果、CRTテレビはグローバル寡占化が一気に進み、一握りのメーカーしか残れない様相を呈しているのである。 → 「テレビ市場の競争激化」 (2003年11月27日) プラズマ型も、日本のトップ企業が得意とするのは32インチである。優れた技術で小型化に成功したのである。ここに32インチCRT型が対抗馬として登場するのである。 又、日本企業が注力している32インチの液晶型も入ってくるから、競争は熾烈化する。現行ガラス基板の大きさを考えれば、32インチの生産量を増やす可能性が高いからである。 これに対して、韓国企業は、液晶では、次世代の一回り大きなガラス基板で参入する。おそらく、40インチを中心にして、32インチを避けると思われる。大型基板のコスト削減効果は大きいから、安価な40インチ液晶が登場するだろう。そうなると、32インチ液晶の割高感が醸成されよう。 それでなくとも、32インチCRT型との競争に巻き込まれて、低価格化の圧力がかかる。競争激化による収益低下の可能性は高い。 これを避けるには、45インチ(3)に進む方向もあり得るが、歩留まりを考えると、こなれた価格は簡単に実現できまい。 ・・・まさに、テレビを巡った知恵比べである。 --- 参照 --- (1) http://www.hankyung.com/cgi-bin/kisaview.cgi?NewsID=2004071966551&Date=200407&Cid=16&Sid=0507 (2) http://www.lgphilips-displays.com/english/superslim.html (3) http://www.sharp.co.jp/corporate/news/040614-a.html 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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