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2006.11.14
 
 


組織能力を考えよう…

 前回は、日本企業が品質優位で競争優位を実現した根拠についての話をした。
  → 「品質優位が発揮できた理由 」 (2006年11月7日)

 簡単に言えば、“Kaizen”運動を通じて人作りに励んだことで、組織的に問題発見・解決の能力が身に付いたということ。この力を活用すれば、日本企業は飛躍できる筈なのだが。
 とはいえ、これだけでは理解しにくい。特に、組織力の本質を理解するのは、結構難しいのだ。

 そう思うのは、それこそ、研究から営業まで、すべての組織でチーム活動を盛んにして、5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)を追求している企業を見かけたりするからだ。先ずは、ここからというつもりらしい。

 まあ、確かに悪いことではない。だが、掛け声がかからなれば、こんなことさえできない組織ともいえる。そんな組織なら、なにをやらせても、成果は期待薄と言ったら言い過ぎだろうか。

 優位を発揮できる組織には、それなりの特徴がある。
 特に目立つのは、以下の5点である。

 (1) すぐにお金をかけて対処せず、先ずは自らの知恵でなんとかできないか熟考する。
 (2) 時間の価値を重視し、あくまでも合理主義的発想を貫く。
 (3) 組織を巻き込みながら、自律的に行動する。
 (4) よく勉強し、自分達で実現できそうな目標をはっきりさせ、それに向かって邁進する。
 (5) 問題を狭い範囲で見ず、全体のなかで考える習慣付けがされている。

 よく考えて見れば、他人任せにせず、文殊の知恵で対処して、成果を生むには、これらは必要条件と言えそうである。
 当然ながら、それは品質向上以外の課題でも通用する筈である。

 重要なのは、“Kaizen”運動とか、5Sといった話ではない。そこで使われる7つ道具や、様々な手法でもない。
 こうした特徴が現れる組織作りのノウハウこそが肝なのだ。これこそが、競争力の根源と考えるべきである。
 言うまでもないが、この手の組織作りのノウハウが簡単に入手できる筈がない。先端の手法を駆使すればできるというものではないからだ。

 従って、こんな組織能力があるなら、それは強力な武器になる。
 つまり、“強い技術や優れたスキル”を生かすことを考えるのは当然だが、“強い技術や優れたスキル”を生み出した組織能力を明確にして、その力を活かすことを考えれば、もっと大きな飛躍が図れるということである。
続く → (2006年11月21日予定)


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