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■ 孤島国JAPAN ■ 2010.3.31 |
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日本の横笛考[その5]…日本人が、竹製の横笛好きだったことがおわかりいただけただろうか。これだけでは、よくわからないかも知れないので、少し説明しておこう。 間違えてはこまるが、あくまでも小生の見方として読んで欲しい。参照文献をつけていないのは、個人の体験と世界のWikipedia程度の情報だけで書いているということ。ただ、高校生の頃、読書の合間に百科事典の音楽の巻をバラバラを読んだ覚えがあるから、一般の人よりは多少知っているかも。想像力を高めるには、それは決してプラスではないのである。 世界的な視野で見ると、笛とは普通は縦笛を指すのだと思う。しかし、日本は縦笛はお好みではない。 と言っても、竹製の尺八があるが、これも古くに伝わって消えかかっていたのを宗教勢力が復活したもの。もしも、好かれていたなら雅楽に使われていただろう。すでに述べたように、笙は竹管である。雅楽以外に使うような楽器ではない。 正倉院の御物の書き物によれば、尺八だけでなく、排簫(パンフルート)も入っていたというが、こちらも消え失せた。 こんなところを見ると、龍笛が篠笛の元という説は間違いなのではないかと思う。 横笛発祥は北インドとされており、それが中国で発展してから日本に渡来したのは間違いないが、古事記にふえが登場するのだから、それ以前に北インドの文化が入っていたと考える方が自然なのではないか。 だからこそ、両者を違う笛としているのでは。 龍笛は、明らかに古代日本で四神が流行し、都作りに陰陽道が使われた状況に合わせたもの。そして、雅楽用なのである。 雅楽とは、俗楽と対比するための儒教的な用語。律令国家樹立に不可欠な音楽だったのは間違いない。今まで当然のようにして使っていた笛をそのまま使う訳には行かなかったということではないか。桜樺巻化で俗楽と区別したということ。 もう一つ特徴的なのは、律令国家のための演奏会は続くのだが、古代から続いてきた言葉としての音楽を捨てた訳ではないので、雅楽が変えられてしまったように見える点。 当たり前だが、国家のための大演奏会を行うのだ。現代でいえば、フルオーケストラで大きな音を出すフルオーケストラ編成が常識。しかし、それは、歌の世界とは相容れないから、簡素化が図られる。 詩歌管弦の遊びに合うような、室内楽に適した楽器以外は使われなくなるということ。 ここら辺りが、大きな音が出にくい横笛好みになる由縁でもあろう。 そもそも、大きい音を出すものは、音楽鑑賞用ではないということ。金管楽器など、どう考えても軍隊用である。太鼓と合わせて、進軍とか、連絡に使うもの。まあ、もともとが、動物の骨とか角から来たもので、狼よけや通信用と考えるのが自然である。 もちろん、日本にも、このような楽器はある。そう、ご存知ホラ貝。山伏が持つから宗教用途とされるのは、古代からの貝信仰の繋がりだが、戦乱でも使う。枕草子の表現から見れば、突然吹いたりするのだから、集合とか時刻を知らせる用途に使っていたのである。 言葉の世界を音楽と考える日本では、当然ながら、ホラ貝を楽器に進化させる動きはでてこないのだ。 従って、高音が出る横笛に対する日本人の感覚は、西洋とは相当異なる筈である。例えば、ピッコロは美しい音色を狙った高音演奏用のフルートではないということ。遠くまで音が伝わる持ち運び易いものというだけ。多分、主用途は軍事。 美しい音を出す楽器は、フルート・ダモーレなのである。 なにはともあれ、欧州の横笛の歴史は極めて浅い。横笛文化を比較しても、たいした意味はないのである。 日本の場合、おそらく音の決め手は、龍笛・篠笛の高音。神を呼ぶような透明感が生まれるかだ。基本は独奏なのだと思う。 もしそうなら、中華帝国の文化とは違うものと考えた方がよかろう。中国を通したかどうかはわからぬが、天竺伝来と見るのが自然である。今でも、インドには、その名残のBansri[サンスクリット語のbamboo+musical note]があるそうだ。伝来によればクリシュナ神の楽器らしい。穴数は6と7で、かなり長いものが多いようだ。 日本では、おそらく、アニミズムからシャーマニズムに変わる辺りで、今までの笛がこの形に統一されてきたのでは。ともあれ、この7つ穴の笛は祭祀用具。鈴と一緒で、甲高い音が神をお呼びすると考えられていたのだと思う。 「孤島国JAPAN」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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